A級9位!秋津隊
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その少年は、お姫様だから、なんでも叶う。
八方美人のお姫様。コミュニティのみんなに愛される。
「奈良坂、おれのどこが好き?」
出し抜けに、隣に座る恋人に問う、春日井香介。
訊かれた奈良坂透は、一瞬躊躇してから、答えた。
「俺のことを特別にしてくれるところ、とか。あと、狙撃手としてのスタンスが同じところと……可愛いところ……」
「あはっ。ありがと。奈良坂に褒められると嬉しいよ」
感情制御のサイドエフェクトを解除している春日井は、心の底からそう思う。
そっと、奈良坂の手に、自分の手を重ねた。ほんの少し、奈良坂の手の方が大きい。
春日井家の香介の部屋で、並んでベッドに座っているふたりは、仲睦まじく過ごしている。
いつか、きみになら、おれの暗い過去を話せるかな?
春日井は、奈良坂を見つめながら考えた。
春日井香介の人生は、生まれた時から、他者に合わせて自由自在に仮面を着け変えられるものである。空気が読めるなんてものではない。彼には、場の空気を掌握出来た。
笑顔を欲しがる者に、笑顔を。泣き顔を欲しがる者に、涙を。何でも与えられた。
隙を見せたら最後、春日井に、そうとは知らずに利用し尽くされてしまう。
可愛い顔と併せて感情制御を使えば、何者でも支配出来た。
偽りのお姫様。その末路、あるいはハッピーエンドのその先は。奈良坂透という個人と向き合うことで、春日井の人生は変わりつつある。
奈良坂とふたりの時は、感情制御を使わない。そう約束した。嬉しいのも、辛いのも、本当の気持ち。整理がつかない感情は、ぐちゃぐちゃで、マーブル模様みたいにはっきりしない。
始めは、嘘だったんだよ。きみが好きだなんて。
恋をしてみたかったから、してみただけなんだ。
「奈良坂、キスして?」
「あ、ああ……」
そっと頬に手を添えられて、唇が触れ合う。
「やっぱり、きみはおれの王子様だ。凄くどきどきする」
「そうは見えないが」
「手、貸して」
「……うん」
手を差し出すと、春日井の心臓の上に手を置かれた。
「してるな、本当に」
「でしょ?」
「抱き締めていいか?」
「いいよ」
奈良坂は、春日井の頭に頬を寄せて、優しく抱き締める。
春日井は目を閉じて、奈良坂を抱き締め返した。
夢のように優しい時間。ふたりは、しばらくそのままでいた。
沈黙を破ったのは、春日井の方。
「そういえば、おれたちが付き合ってること、なんで内緒なの?」
「……春日井のことを好きな奴に攻撃されそうだから」
「そんな躾のなってない奴いないぜ?」
己の支配力に自信のある春日井。
「じゃあ、もう秘密にしない」
「オッケー! とりあえずチームのみんなに言っちゃお!」
「やっぱり、少し恥ずかしいな」
「堂々としてればいいじゃん」
春日井は、奈良坂の頬にキスを落とした。
「世界で一番大好きだよ!」
八方美人のお姫様。コミュニティのみんなに愛される。
「奈良坂、おれのどこが好き?」
出し抜けに、隣に座る恋人に問う、春日井香介。
訊かれた奈良坂透は、一瞬躊躇してから、答えた。
「俺のことを特別にしてくれるところ、とか。あと、狙撃手としてのスタンスが同じところと……可愛いところ……」
「あはっ。ありがと。奈良坂に褒められると嬉しいよ」
感情制御のサイドエフェクトを解除している春日井は、心の底からそう思う。
そっと、奈良坂の手に、自分の手を重ねた。ほんの少し、奈良坂の手の方が大きい。
春日井家の香介の部屋で、並んでベッドに座っているふたりは、仲睦まじく過ごしている。
いつか、きみになら、おれの暗い過去を話せるかな?
春日井は、奈良坂を見つめながら考えた。
春日井香介の人生は、生まれた時から、他者に合わせて自由自在に仮面を着け変えられるものである。空気が読めるなんてものではない。彼には、場の空気を掌握出来た。
笑顔を欲しがる者に、笑顔を。泣き顔を欲しがる者に、涙を。何でも与えられた。
隙を見せたら最後、春日井に、そうとは知らずに利用し尽くされてしまう。
可愛い顔と併せて感情制御を使えば、何者でも支配出来た。
偽りのお姫様。その末路、あるいはハッピーエンドのその先は。奈良坂透という個人と向き合うことで、春日井の人生は変わりつつある。
奈良坂とふたりの時は、感情制御を使わない。そう約束した。嬉しいのも、辛いのも、本当の気持ち。整理がつかない感情は、ぐちゃぐちゃで、マーブル模様みたいにはっきりしない。
始めは、嘘だったんだよ。きみが好きだなんて。
恋をしてみたかったから、してみただけなんだ。
「奈良坂、キスして?」
「あ、ああ……」
そっと頬に手を添えられて、唇が触れ合う。
「やっぱり、きみはおれの王子様だ。凄くどきどきする」
「そうは見えないが」
「手、貸して」
「……うん」
手を差し出すと、春日井の心臓の上に手を置かれた。
「してるな、本当に」
「でしょ?」
「抱き締めていいか?」
「いいよ」
奈良坂は、春日井の頭に頬を寄せて、優しく抱き締める。
春日井は目を閉じて、奈良坂を抱き締め返した。
夢のように優しい時間。ふたりは、しばらくそのままでいた。
沈黙を破ったのは、春日井の方。
「そういえば、おれたちが付き合ってること、なんで内緒なの?」
「……春日井のことを好きな奴に攻撃されそうだから」
「そんな躾のなってない奴いないぜ?」
己の支配力に自信のある春日井。
「じゃあ、もう秘密にしない」
「オッケー! とりあえずチームのみんなに言っちゃお!」
「やっぱり、少し恥ずかしいな」
「堂々としてればいいじゃん」
春日井は、奈良坂の頬にキスを落とした。
「世界で一番大好きだよ!」