A級9位!秋津隊
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
昔から、コミュニティの中の姫だったので、なんでも叶えてきた少年。春日井香介は、その愛らしい顔と、天性の才能で、他者から慕われている。
「四季さん、おれもそれ食べたいです!」
「仕方ねーな、ひとつやるよ」
澪川四季から、ソーダ味のもちもちしたお菓子をもらう。
「美味しい! 四季さん、お菓子選ぶセンスある~!」
「まーな!」
がはは、と、澪川は得意げに笑った。
自分の特性。サイドエフェクトの感情制御のことを知ってからは、自分を律しているけれど、それでも人に嫌われないように感情を操っている。
笑顔を見せたければ、嬉しい気持ちになればいい。
泣き顔を見せたければ、悲しい気持ちになればいい。
感情表現は、自由自在。他者への想いも、変幻自在。
感情を意図的に制御しないのは、映画を見る時と、恋人の奈良坂透とふたりでいる時だけだ。
あとは、ずっと嫌われないための感情を出力する。まるで、哲学的ゾンビ。
嫌わないで。おれの“本当”は、探さないでね。
「春日井。訓練に行くぞ」
秋津隊の隊室に、奈良坂が来た。
「はーい。じゃあ、おれ行きますねー」
「いってら~」
澪川に見送られ、合同訓練に向かう。
「奈良坂」
「なんだ?」
「今日もカッコいいね」
「春日井は……可愛いな……」
「ははは。おれ、可愛いよね!」
「ああ」
訓練場では、ふたりは特に話すでもなく、隣り合って的を狙い撃った。
春日井の無表情を横目に見やる。いつも通り、無感情な愛しい人。
精密な射撃。精密な感情制御。それが示すのは、引き金を引く機械。
奈良坂は、正確に的の中心を撃つ。春日井のことを考えながらでも、それが出来た。
訓練が終わり、任務もないので、ふたりで帰る。
「春日井、感情は?」
「ごちゃごちゃしてる。でも、奈良坂のこと好きなのは、はっきりしてるよ」
感情制御を解くと、いつも中身がぐちゃぐちゃになった。
「こんなに醜い中身でさ、嫌じゃない?」
「春日井の中身がどうであれ、好きだ」
「そ、ういうの、やめてよ。びっくりする」
「嬉しそうだな」
「そりゃあ、嬉しいよ。おれはいつも、外面が好かれてるだけだもん」
春日井は、少し悲しげな顔を見せる。
「秋津隊の仲間にも?」
「チームのみんなは、好きだよ。おれが駄々こねても、失敗しても、笑ってゆるしてくれる。だけど、常に本当のおれを晒すのは怖い」
仲間たちには、自然体で接したい。でも、嫌われるのが怖かった。
「少しずつ、感情を解けばいい」
「うん。そうする」
素直にうなずく春日井を、優しく見つめる。
「おれは、奈良坂に、もういらないって言われても、この“好き”を消せないんだと思う」
「いらないなんて言わない」
「うん、ありがとう」
はにかんだ顔を、可愛いと思った。
「へへ。今、可愛いって思ったでしょ?」
「思っ……たけど…………」
「おれ、お姫様だから。奈良坂は、王子様だ」
そんなことを言う春日井は、とても楽しそうで。奈良坂は、それもいいかと考えた。
「四季さん、おれもそれ食べたいです!」
「仕方ねーな、ひとつやるよ」
澪川四季から、ソーダ味のもちもちしたお菓子をもらう。
「美味しい! 四季さん、お菓子選ぶセンスある~!」
「まーな!」
がはは、と、澪川は得意げに笑った。
自分の特性。サイドエフェクトの感情制御のことを知ってからは、自分を律しているけれど、それでも人に嫌われないように感情を操っている。
笑顔を見せたければ、嬉しい気持ちになればいい。
泣き顔を見せたければ、悲しい気持ちになればいい。
感情表現は、自由自在。他者への想いも、変幻自在。
感情を意図的に制御しないのは、映画を見る時と、恋人の奈良坂透とふたりでいる時だけだ。
あとは、ずっと嫌われないための感情を出力する。まるで、哲学的ゾンビ。
嫌わないで。おれの“本当”は、探さないでね。
「春日井。訓練に行くぞ」
秋津隊の隊室に、奈良坂が来た。
「はーい。じゃあ、おれ行きますねー」
「いってら~」
澪川に見送られ、合同訓練に向かう。
「奈良坂」
「なんだ?」
「今日もカッコいいね」
「春日井は……可愛いな……」
「ははは。おれ、可愛いよね!」
「ああ」
訓練場では、ふたりは特に話すでもなく、隣り合って的を狙い撃った。
春日井の無表情を横目に見やる。いつも通り、無感情な愛しい人。
精密な射撃。精密な感情制御。それが示すのは、引き金を引く機械。
奈良坂は、正確に的の中心を撃つ。春日井のことを考えながらでも、それが出来た。
訓練が終わり、任務もないので、ふたりで帰る。
「春日井、感情は?」
「ごちゃごちゃしてる。でも、奈良坂のこと好きなのは、はっきりしてるよ」
感情制御を解くと、いつも中身がぐちゃぐちゃになった。
「こんなに醜い中身でさ、嫌じゃない?」
「春日井の中身がどうであれ、好きだ」
「そ、ういうの、やめてよ。びっくりする」
「嬉しそうだな」
「そりゃあ、嬉しいよ。おれはいつも、外面が好かれてるだけだもん」
春日井は、少し悲しげな顔を見せる。
「秋津隊の仲間にも?」
「チームのみんなは、好きだよ。おれが駄々こねても、失敗しても、笑ってゆるしてくれる。だけど、常に本当のおれを晒すのは怖い」
仲間たちには、自然体で接したい。でも、嫌われるのが怖かった。
「少しずつ、感情を解けばいい」
「うん。そうする」
素直にうなずく春日井を、優しく見つめる。
「おれは、奈良坂に、もういらないって言われても、この“好き”を消せないんだと思う」
「いらないなんて言わない」
「うん、ありがとう」
はにかんだ顔を、可愛いと思った。
「へへ。今、可愛いって思ったでしょ?」
「思っ……たけど…………」
「おれ、お姫様だから。奈良坂は、王子様だ」
そんなことを言う春日井は、とても楽しそうで。奈良坂は、それもいいかと考えた。