A級9位!秋津隊
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産まれた時に、母は死んだ。代わりに生き残ったのは、秋津家三男の豊久である。
咲き誇る花は、いずれは枯れて、無に還る。
そんな無情の世界で生きている秋津豊久は、幼い頃から、剣の道を進んでいた。
祖父も、父も、ふたりの兄も、剣道の士である。
男所帯で育ち、ひたすらに竹刀を振る日々。辛くはなかった。努力すれば、しただけ、上手く闘えるようになるから。
祖父から父に師範代が変わった頃には、ふたりの兄に半分は勝てるようになっていた。
ただ、豊久には、少し驕りがある。真剣だったら、必ず勝てるのに。という、物騒な驕り。
しかし、家族を殺したいワケでもなし。豊久は、そんな思いは、捨て去った。
その日は、突然やってくる。第一次近界民侵攻。秋津家の男たちは、皆、道場の門下生の避難誘導をしていた。
そこに、一体のトリオン兵、モールモッドが来る。
「なんだ、ありゃあ?」
「親父、下がれ! きっと三門を襲ってる奴だ」
「不届きものめが」
「爺ちゃん、下がって下がって」
「俺が行く。みんなは逃げろ」
「豊!?」
竹刀を引っ提げ、豊久はモールモッドに近付いた。
敵の刃が、豊久に迫る。
「この野郎ッ!」
肉眼では捉えきれなかった刃を、軌道を読んで竹刀で受けた。当然、竹刀ごときは破壊される。
「豊、使え!」
「ああ!」
道場の床の間に飾ってある、鉄製の模造刀をひとりだけ残った長兄が、投げて寄越した。
抜刀し、構える。
ふたつの刃が、豊久を襲った。やはり、目では見えない。だから、狙われるであろう部位を守るために刀と鞘を使った。
刀の方は、なんとか止められたが、鞘は砕かれてしまう。豊久の左脇腹に、鋭い斬撃。体が吹っ飛んだ。
「豊!」
長兄の声が、遠くに聴こえる。
「兄貴……逃げろ…………」
ブロック塀に打ち付けられた体は、ぴくりとも動かない。
死にたくない。死んでたまるか。俺は、母親を殺して産まれたんだぞ。母は、最期に俺の幸せを願ったんだ。死ぬもんか。最初で最後の願いくらい、叶えてやれないでどうする。
不意に、逃げたと思っていた祖父たちが、刀を持って戻って来た。
「豊がやられた!」と、長兄、歳久が叫ぶ。
「豊に続けぇ! 逃げるは恥だ!」と、次兄、家久が怒号を響かせた。
「全員でかかれッ!」と、父。
「いいか、おまえら! 足止めじゃ! 勝てなくともよい! 負けるな!」と、祖父。
「応ッ!」
三つの刃に立ち向かう秋津の男たち。
その光景を見て、俺はきっと大丈夫だと思う豊久。
数分の攻防の末に、ボーダーの隊員と名乗る者が現れ、モールモッドを倒した。
秋津家の者は、皆、大なり小なり傷を負っていたため、救急隊に預けられることになる。
搬送の最中に、豊久は意識を失った。
次に目を覚ました時に、豊久は、家族全員に迎えられる。ベッドの周りの面々は、「よくやった」と口々に言う。
一番大怪我をしたのが、豊久だったらしい。
もっと強くなりたい。
そう思った豊久が、ボーダーの一員になることを決意するのは早かった。
咲き誇る花は、いずれは枯れて、無に還る。
そんな無情の世界で生きている秋津豊久は、幼い頃から、剣の道を進んでいた。
祖父も、父も、ふたりの兄も、剣道の士である。
男所帯で育ち、ひたすらに竹刀を振る日々。辛くはなかった。努力すれば、しただけ、上手く闘えるようになるから。
祖父から父に師範代が変わった頃には、ふたりの兄に半分は勝てるようになっていた。
ただ、豊久には、少し驕りがある。真剣だったら、必ず勝てるのに。という、物騒な驕り。
しかし、家族を殺したいワケでもなし。豊久は、そんな思いは、捨て去った。
その日は、突然やってくる。第一次近界民侵攻。秋津家の男たちは、皆、道場の門下生の避難誘導をしていた。
そこに、一体のトリオン兵、モールモッドが来る。
「なんだ、ありゃあ?」
「親父、下がれ! きっと三門を襲ってる奴だ」
「不届きものめが」
「爺ちゃん、下がって下がって」
「俺が行く。みんなは逃げろ」
「豊!?」
竹刀を引っ提げ、豊久はモールモッドに近付いた。
敵の刃が、豊久に迫る。
「この野郎ッ!」
肉眼では捉えきれなかった刃を、軌道を読んで竹刀で受けた。当然、竹刀ごときは破壊される。
「豊、使え!」
「ああ!」
道場の床の間に飾ってある、鉄製の模造刀をひとりだけ残った長兄が、投げて寄越した。
抜刀し、構える。
ふたつの刃が、豊久を襲った。やはり、目では見えない。だから、狙われるであろう部位を守るために刀と鞘を使った。
刀の方は、なんとか止められたが、鞘は砕かれてしまう。豊久の左脇腹に、鋭い斬撃。体が吹っ飛んだ。
「豊!」
長兄の声が、遠くに聴こえる。
「兄貴……逃げろ…………」
ブロック塀に打ち付けられた体は、ぴくりとも動かない。
死にたくない。死んでたまるか。俺は、母親を殺して産まれたんだぞ。母は、最期に俺の幸せを願ったんだ。死ぬもんか。最初で最後の願いくらい、叶えてやれないでどうする。
不意に、逃げたと思っていた祖父たちが、刀を持って戻って来た。
「豊がやられた!」と、長兄、歳久が叫ぶ。
「豊に続けぇ! 逃げるは恥だ!」と、次兄、家久が怒号を響かせた。
「全員でかかれッ!」と、父。
「いいか、おまえら! 足止めじゃ! 勝てなくともよい! 負けるな!」と、祖父。
「応ッ!」
三つの刃に立ち向かう秋津の男たち。
その光景を見て、俺はきっと大丈夫だと思う豊久。
数分の攻防の末に、ボーダーの隊員と名乗る者が現れ、モールモッドを倒した。
秋津家の者は、皆、大なり小なり傷を負っていたため、救急隊に預けられることになる。
搬送の最中に、豊久は意識を失った。
次に目を覚ました時に、豊久は、家族全員に迎えられる。ベッドの周りの面々は、「よくやった」と口々に言う。
一番大怪我をしたのが、豊久だったらしい。
もっと強くなりたい。
そう思った豊久が、ボーダーの一員になることを決意するのは早かった。