A級9位!秋津隊
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第一次近界民侵攻で、半身を喪った。
夏海恭一の幼馴染み、御影は、トリオン器官を抜かれて殺されてしまったのである。
それからというもの、夏海の“ふわふわ”に拍車がかかった。どこか浮き世離れした雰囲気を持つ、天然男子。魂の半分を、“あの日”に置いて来てしまった者。それが、夏海恭一。
彼がボーダーに入ったのは、御影との約束があるから。
“俺がいなくなっても、前を向いて歩くこと”
天然ボケな夏海を心配して放たれた言葉が、今では別の意味を持っている。
月命日には、必ず御影の墓参りをする夏海。
フラワーショップ楓で買った花を手に、霊園を訪れる。
「来たよ、御影くん」
夏海は、近況報告をした。家族のこと。ボーダーで出来た親友、当真勇のこと。秋津隊の仲間のこと。任務のこと。遠征のこと。
「私は、御影くんのところには行けないかもしれないよ」
だってね、人を殺したんだ。
「愛してたよ、御影くんのこと」
最上の友愛を捧げた。
しばし、墓前で手を合わせる。御影が安らかに眠れるように祈った。
そうしているうちに、スマートフォンにメッセージが届く。
『猫』
とだけ書かれたもの。続いて、画像が届いた。ハチワレ猫が、道を横切るところが切り取られている。
『可愛いね』
『野良猫?』
『だと思うぜ』
『勇くん、猫好きだから、よかったね』
『まーな』
私は、半分になっちゃったけど、生きて行こう。
家族がいる。友達がいる。仲間がいる。大切な人たちを守るために、歩こう。
「御影くん、また来るね」
バイバイ、と手を振る。
墓前に備えた竜胆と百合の花が、静かに揺れていた。
◆◆◆
三門市立第一高校三年A組の教室。
眠そうにしている夏海の元に、当真がやって来た。
「恭一、小テストどうだったよ?」
「凡ミスで、90点。勇くんは?」
「完璧な0点」
平然と答える当真。
「放課後、空いてるよ?」
「わりーな」
「ううん。友達は支え合うものだから」
「支えた覚えねーけど」
「そんなことないよぉ。凄く助かってるんだ」
「あ、そうそう。コーラ買ってやるよ。お礼に」
「ありがとう」
恭一は、朗らかに笑った。
勇くんは、私を頼ってくれる。だから、私はがんばれる。それって、いいことだと思う。
夏海は、この友人関係を大切に思っている。
当真は、くしゃりと夏海の頭を撫でた。
「ほんと、猫みてーな触り心地だな」
「あはは。よく言われる」
猫みたいに自由気ままに見えて、案外しっかりと芯がある夏海は、猫とも犬ともつかない。ただの人間。
それが、近くで彼を見ている当真の所見である。
面白い人間は好きだ。撃ち抜いてやりたくなる。
だから、その最高の瞬間を待っていた。
夏海恭一の幼馴染み、御影は、トリオン器官を抜かれて殺されてしまったのである。
それからというもの、夏海の“ふわふわ”に拍車がかかった。どこか浮き世離れした雰囲気を持つ、天然男子。魂の半分を、“あの日”に置いて来てしまった者。それが、夏海恭一。
彼がボーダーに入ったのは、御影との約束があるから。
“俺がいなくなっても、前を向いて歩くこと”
天然ボケな夏海を心配して放たれた言葉が、今では別の意味を持っている。
月命日には、必ず御影の墓参りをする夏海。
フラワーショップ楓で買った花を手に、霊園を訪れる。
「来たよ、御影くん」
夏海は、近況報告をした。家族のこと。ボーダーで出来た親友、当真勇のこと。秋津隊の仲間のこと。任務のこと。遠征のこと。
「私は、御影くんのところには行けないかもしれないよ」
だってね、人を殺したんだ。
「愛してたよ、御影くんのこと」
最上の友愛を捧げた。
しばし、墓前で手を合わせる。御影が安らかに眠れるように祈った。
そうしているうちに、スマートフォンにメッセージが届く。
『猫』
とだけ書かれたもの。続いて、画像が届いた。ハチワレ猫が、道を横切るところが切り取られている。
『可愛いね』
『野良猫?』
『だと思うぜ』
『勇くん、猫好きだから、よかったね』
『まーな』
私は、半分になっちゃったけど、生きて行こう。
家族がいる。友達がいる。仲間がいる。大切な人たちを守るために、歩こう。
「御影くん、また来るね」
バイバイ、と手を振る。
墓前に備えた竜胆と百合の花が、静かに揺れていた。
◆◆◆
三門市立第一高校三年A組の教室。
眠そうにしている夏海の元に、当真がやって来た。
「恭一、小テストどうだったよ?」
「凡ミスで、90点。勇くんは?」
「完璧な0点」
平然と答える当真。
「放課後、空いてるよ?」
「わりーな」
「ううん。友達は支え合うものだから」
「支えた覚えねーけど」
「そんなことないよぉ。凄く助かってるんだ」
「あ、そうそう。コーラ買ってやるよ。お礼に」
「ありがとう」
恭一は、朗らかに笑った。
勇くんは、私を頼ってくれる。だから、私はがんばれる。それって、いいことだと思う。
夏海は、この友人関係を大切に思っている。
当真は、くしゃりと夏海の頭を撫でた。
「ほんと、猫みてーな触り心地だな」
「あはは。よく言われる」
猫みたいに自由気ままに見えて、案外しっかりと芯がある夏海は、猫とも犬ともつかない。ただの人間。
それが、近くで彼を見ている当真の所見である。
面白い人間は好きだ。撃ち抜いてやりたくなる。
だから、その最高の瞬間を待っていた。