煙シリーズおまけ
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ただ、ずっと面白い人だなと思っていた。
ミョウジナマエは見ていて飽きない男だった。彼は、真剣であればあるほど、やることが面白くなる。
ミョウジは、単純なバカであるが故に、自身を複雑怪奇にしてしまう男であった。
先日、彼が片想い相手に対し、一生からかえるぐらいの珍事を起こした。それはもう、抱腹絶倒といった具合におかしいものを。
とはいえ、彼の恋を笑いながらも応援していた。ほんの少し前までは。
太刀川慶はミョウジナマエをよく見ていて、彼の真摯な想いをよく見てきて、それが段々欲しくなってしまったのだ。
ところで、ミョウジは友達が少ない。
諏訪と太刀川くらいしか、親しいと言える人間はいないようだった。
何故、彼は自分ではなく諏訪を好きになったのだろう。どうして、あの想いを向けられるのが自分ではないのだろう。
身勝手な疑問が次々と浮かぶ。
「諏訪さんが、ミョウジさんの想いに応えてくれないままで辛くないの?」
ある日、そのひとつをミョウジにナマエ接ぶつけてしまった。
隊室に遊びに来ていたミョウジは、太刀川の質問に驚いた表情になり、その後に「ああ?」とあからさまに不機嫌そうな声を出して睨んでくる。ガラが悪い。
「いや、いいもんだよ。片想い」
「どうして?」
「両想いだと、喜びよりも、いずれ別れるかもしれない不安の方が大きそうじゃん?」
「暗っ!」
「誰が、根暗お喋り野郎だコラァ!」
「そこまで言ってない! あと俺、ミョウジさんのこと好きです……!」
「へぇーえぇ~ッ?!」
ビックリして後ずさるミョウジ。
「告白されたの?! オレが?! あ! これ罠か!?」
「非モテ丸出し! 罠じゃないですって」
「つまり……それは…………」
「本当に好きですよ?」
太刀川の真剣な眼差しから、ミョウジは逃げたくなる。
「それは、本当に……困るな……嬉しいけど、困る…………」
「絶対、俺にしといた方がいいって」
「そんな簡単に割り切れるかよ……」
「ま、考えといてくださいよ」
その日は、そこで別れた。
ミョウジは、初めて人に好きだと言われたものだから、どうしたらいいか分からない。
◆◆◆
「諏訪さん、ミョウジさんを解放してあげてくださいよ」
「ああ?」
ガラが悪い。全く、ミョウジさんと本当に仲良しなんだから。
「可哀想でしょ。報われない片想いなんて」
「なんで、おまえが決めてんだよ?」
「俺、ミョウジさんが好きなんで、もらいます」
「はぁ!?」
「誰のものでもないんだから、いいでしょ?」
「そりゃ、そうだけどよ。ミョウジは…………」
あんな“恋”を抱えてる男が、他の奴に乗り換えられんのか?
諏訪の考えをよそに、数日後。結論から言って、ミョウジは、太刀川の提案を呑んだ。
片想いを捨てたいという一欠片の気持ちが、そうさせたのである。
「そのうち、俺のこと好きになってよ」
「善処シマス」
「棒読み~」
太刀川は、それはもう嬉しそうに堂々とミョウジの手を握り、ボーダー本部内を連れ回した。
他人の視線が心地好い。ミョウジナマエは、自分のものだ。その想いも、いずれは手に入れる。
「太刀川」
「はい」
「なんでオレのこと好きなの?」
「いじらしいから」
「……そう」
自分を上目遣いで見つめる様に、満足した。
「キスしていいですか?」
「えぇ? ここで?」
「誰もいないし」
隊室には、確かにふたりきりだが。
「……い、いよ」
「ありがとうございます」
遠慮なく、ミョウジの頬に手を添えて、口付けた。
「んっ」
舌を絡めたら、ミョウジは、びくりと体を震わせる。
「可愛い」
「うるせ」
ファーストキスだぞ、これ。と、ミョウジは文句を垂れた。
「ふーん。ミョウジさんの初めて、全部欲しいな」
「怖~。おまえの恋も大概だな」
「お似合いでしょ? 俺たち」
太刀川は、笑みを浮かべて、ミョウジを抱き締める。ぎこちなく抱き締め返してくる腕を、愛しいと思った。
早く、ミョウジナマエの全てが欲しい。
ミョウジナマエは見ていて飽きない男だった。彼は、真剣であればあるほど、やることが面白くなる。
ミョウジは、単純なバカであるが故に、自身を複雑怪奇にしてしまう男であった。
先日、彼が片想い相手に対し、一生からかえるぐらいの珍事を起こした。それはもう、抱腹絶倒といった具合におかしいものを。
とはいえ、彼の恋を笑いながらも応援していた。ほんの少し前までは。
太刀川慶はミョウジナマエをよく見ていて、彼の真摯な想いをよく見てきて、それが段々欲しくなってしまったのだ。
ところで、ミョウジは友達が少ない。
諏訪と太刀川くらいしか、親しいと言える人間はいないようだった。
何故、彼は自分ではなく諏訪を好きになったのだろう。どうして、あの想いを向けられるのが自分ではないのだろう。
身勝手な疑問が次々と浮かぶ。
「諏訪さんが、ミョウジさんの想いに応えてくれないままで辛くないの?」
ある日、そのひとつをミョウジにナマエ接ぶつけてしまった。
隊室に遊びに来ていたミョウジは、太刀川の質問に驚いた表情になり、その後に「ああ?」とあからさまに不機嫌そうな声を出して睨んでくる。ガラが悪い。
「いや、いいもんだよ。片想い」
「どうして?」
「両想いだと、喜びよりも、いずれ別れるかもしれない不安の方が大きそうじゃん?」
「暗っ!」
「誰が、根暗お喋り野郎だコラァ!」
「そこまで言ってない! あと俺、ミョウジさんのこと好きです……!」
「へぇーえぇ~ッ?!」
ビックリして後ずさるミョウジ。
「告白されたの?! オレが?! あ! これ罠か!?」
「非モテ丸出し! 罠じゃないですって」
「つまり……それは…………」
「本当に好きですよ?」
太刀川の真剣な眼差しから、ミョウジは逃げたくなる。
「それは、本当に……困るな……嬉しいけど、困る…………」
「絶対、俺にしといた方がいいって」
「そんな簡単に割り切れるかよ……」
「ま、考えといてくださいよ」
その日は、そこで別れた。
ミョウジは、初めて人に好きだと言われたものだから、どうしたらいいか分からない。
◆◆◆
「諏訪さん、ミョウジさんを解放してあげてくださいよ」
「ああ?」
ガラが悪い。全く、ミョウジさんと本当に仲良しなんだから。
「可哀想でしょ。報われない片想いなんて」
「なんで、おまえが決めてんだよ?」
「俺、ミョウジさんが好きなんで、もらいます」
「はぁ!?」
「誰のものでもないんだから、いいでしょ?」
「そりゃ、そうだけどよ。ミョウジは…………」
あんな“恋”を抱えてる男が、他の奴に乗り換えられんのか?
諏訪の考えをよそに、数日後。結論から言って、ミョウジは、太刀川の提案を呑んだ。
片想いを捨てたいという一欠片の気持ちが、そうさせたのである。
「そのうち、俺のこと好きになってよ」
「善処シマス」
「棒読み~」
太刀川は、それはもう嬉しそうに堂々とミョウジの手を握り、ボーダー本部内を連れ回した。
他人の視線が心地好い。ミョウジナマエは、自分のものだ。その想いも、いずれは手に入れる。
「太刀川」
「はい」
「なんでオレのこと好きなの?」
「いじらしいから」
「……そう」
自分を上目遣いで見つめる様に、満足した。
「キスしていいですか?」
「えぇ? ここで?」
「誰もいないし」
隊室には、確かにふたりきりだが。
「……い、いよ」
「ありがとうございます」
遠慮なく、ミョウジの頬に手を添えて、口付けた。
「んっ」
舌を絡めたら、ミョウジは、びくりと体を震わせる。
「可愛い」
「うるせ」
ファーストキスだぞ、これ。と、ミョウジは文句を垂れた。
「ふーん。ミョウジさんの初めて、全部欲しいな」
「怖~。おまえの恋も大概だな」
「お似合いでしょ? 俺たち」
太刀川は、笑みを浮かべて、ミョウジを抱き締める。ぎこちなく抱き締め返してくる腕を、愛しいと思った。
早く、ミョウジナマエの全てが欲しい。