私という一頁の物語
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
連日、フル稼働でカウンセリングをした。第二次近界民侵攻の余波だ。
ブドウ糖タブレットを齧りながら、頭を働かせ続ける。
「俺が拐われかけちまったせいで、ショックを受けた奴が、たぶんいて……」
「それは、いるだろうね。君は隊長だし、慕われてる」
「俺は、どうすればよかったんですか?」
「諏訪くんは、何も間違っていない。隊員を守っただけだ。次は、自分も守ればいいだけ」
私は、いつも通り、淡々と静かに告げた。
「からかわれもするんですけど、たまに、気遣われてるのかもしんねーって思う時があって」
「例のキューブの件?」
「はい」
「まあ、そうかもね。君は、平気なの?」
「平気です。結局、拐われてねーし。それより、拐われた隊員のことが気がかりです」
「そうか。君は、優しいね」
「俺は…………」
諏訪くんは、躊躇いがちに言葉を続ける。
「……ただ、したいようにしてるだけです」
根っからのお人好しなんだなぁ。粗野なところはあるけど、本当に善い子なんだよな。
「それがいいよ」
心と言動が同じであることは、良いことだから。まあ、基本的には。
「時間だね。また、何か話したいことがあったら、いつでもおいで」
「はい。ありがとうございました」
諏訪くんを見送った。
「はぁ…………」
溜め息をつく。優しくて気遣いが出来る人は、他者の痛みに敏感な傾向がある。他人が傷付くところを見て、心を痛めることが出来る人が辛い目に遭うなんて、そんな理不尽、見過ごせない。
自分の鈍さには、呆れる。物語が好きなのに、私は物語には愛されない気がしていた。人間が好きなのに、人間には愛されない気がする。
でも、いたんだよ、奇跡的に。世界に、たったひとりだけ。まあ、もう切ってしまったんだけどね。たったひとりの“特別”を手放すほど、ゆるせないことがあったんだ。
きっともう、誰も私を好きにならないだろうけど、いいよ。恋人というものが一度いたのが、奇跡だったワケだし。
面倒なんだよ。不定性やアセクシャルや精神疾患や家庭の事情を話すの。そして、それを受け入れてもらうこと。本当に、かったるくて堪らないね。
だから、もういいかな。体験が好きだから、結婚はしたいけど。出来れば、友情結婚がいいな。でも、友人すらいないんだよなぁ。
諏訪くんが友達だったら、よかったのに。なんて、どうしようもないことを考える。
まあ、そうなったら、諏訪くんが不憫だけど。私ほど、友達甲斐がない奴もいないだろう。
人生は、ままならないねぇ。
ブドウ糖タブレットを齧りながら、頭を働かせ続ける。
「俺が拐われかけちまったせいで、ショックを受けた奴が、たぶんいて……」
「それは、いるだろうね。君は隊長だし、慕われてる」
「俺は、どうすればよかったんですか?」
「諏訪くんは、何も間違っていない。隊員を守っただけだ。次は、自分も守ればいいだけ」
私は、いつも通り、淡々と静かに告げた。
「からかわれもするんですけど、たまに、気遣われてるのかもしんねーって思う時があって」
「例のキューブの件?」
「はい」
「まあ、そうかもね。君は、平気なの?」
「平気です。結局、拐われてねーし。それより、拐われた隊員のことが気がかりです」
「そうか。君は、優しいね」
「俺は…………」
諏訪くんは、躊躇いがちに言葉を続ける。
「……ただ、したいようにしてるだけです」
根っからのお人好しなんだなぁ。粗野なところはあるけど、本当に善い子なんだよな。
「それがいいよ」
心と言動が同じであることは、良いことだから。まあ、基本的には。
「時間だね。また、何か話したいことがあったら、いつでもおいで」
「はい。ありがとうございました」
諏訪くんを見送った。
「はぁ…………」
溜め息をつく。優しくて気遣いが出来る人は、他者の痛みに敏感な傾向がある。他人が傷付くところを見て、心を痛めることが出来る人が辛い目に遭うなんて、そんな理不尽、見過ごせない。
自分の鈍さには、呆れる。物語が好きなのに、私は物語には愛されない気がしていた。人間が好きなのに、人間には愛されない気がする。
でも、いたんだよ、奇跡的に。世界に、たったひとりだけ。まあ、もう切ってしまったんだけどね。たったひとりの“特別”を手放すほど、ゆるせないことがあったんだ。
きっともう、誰も私を好きにならないだろうけど、いいよ。恋人というものが一度いたのが、奇跡だったワケだし。
面倒なんだよ。不定性やアセクシャルや精神疾患や家庭の事情を話すの。そして、それを受け入れてもらうこと。本当に、かったるくて堪らないね。
だから、もういいかな。体験が好きだから、結婚はしたいけど。出来れば、友情結婚がいいな。でも、友人すらいないんだよなぁ。
諏訪くんが友達だったら、よかったのに。なんて、どうしようもないことを考える。
まあ、そうなったら、諏訪くんが不憫だけど。私ほど、友達甲斐がない奴もいないだろう。
人生は、ままならないねぇ。