煙シリーズおまけ
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想い人が、見知らぬ女に告白されているのを見てしまった。
死んでください。死んで。死ね。頼むから、死んでください。
ミョウジナマエは、恋敵の死を願った。
諏訪洸太郎に、オレはフラれたんだ。オレのものにならなくてもいいから、誰のものにもならないで。
この恐ろしい執着に、ミョウジは“恋”と名付けた。一方で、“祟り”だとも思っている。
ゆるせない。許せない。赦せない。
おまえが、誰かのものになるなんて嫌だ。絶対に嫌だ。
優しいせいで。人が好いせいで。面倒見がいいせいで。いつも、人に慕われている。
呪わしいよ、その人間性。性格。存在。消えてほしい。嘘。全部欲しい。全部ください。
関わるんじゃなかった。他人なんかに。おまえに。
ずっと、居心地のいい揺りかごの中にいればよかったんだ。
ああ、でも、揺りかごは壊されたんだっけ。
だから、えーと。
思考が、ぐちゃぐちゃになる。ミョウジは、爪を噛んでいたことに気付き、代わりに煙草を取り出し、火を着けた。
ほんのりバニラの香りがする煙草は、少し気分を落ち着かせる。
しかし、ギラつくその眼光は、荒い呼吸は、獣のようだった。
声をかけたのは、自分から。でも、優しくしてなんて頼んでないし。優しくされたから、好きになってしまっただけ。オレがおかしくなったのは、おまえのせいだろ?
責任を取れよ。オレを化物にした責任を。
「は、はは…………」
片手で、口元を隠す。この牙で、おまえに喰らいついてやろうか?
ミョウジは、ふらふらと歩く。偶然、喫煙室まで人に会わなかったから、歩き煙草を注意されなかった。
無人の喫煙室で、ミョウジは項垂れる。
病院行ったら、治してくれんの?
そんなことを考えていると、諏訪がやって来た。
「よう、ミョウジ」
「おう」
平静を装う。ちゃんと笑えてるかは、分からないけれど。
諏訪が、自然に隣に座るから、ミョウジは叫びたくなる。
いや、諏訪からしたら、オレは友達だし。隣に座るのなんて、特別なことじゃないし。
ミョウジは、必死に自分の中の獣性を押さえ付ける。
「ミョウジ」
「なに?」
「煙草、危ねーぞ」
「……ああ、サンキュ」
短くなった煙草が、指を焼こうとしていた。急いで、灰皿に押し付ける。
オレは、世界で一番、おまえのことが好きなんだから、おまえの一番がオレじゃなきゃ嫌だ。
友達のひとりじゃ、我慢出来ない。仲間のひとりじゃ、我慢出来ない。ただの他人には、戻れないんだよ。
オレのことを好きな人を好きになれたらよかったのに。
ミョウジナマエの、重くて粘性のある感情には、果てがない。
死んでください。死んで。死ね。頼むから、死んでください。
ミョウジナマエは、恋敵の死を願った。
諏訪洸太郎に、オレはフラれたんだ。オレのものにならなくてもいいから、誰のものにもならないで。
この恐ろしい執着に、ミョウジは“恋”と名付けた。一方で、“祟り”だとも思っている。
ゆるせない。許せない。赦せない。
おまえが、誰かのものになるなんて嫌だ。絶対に嫌だ。
優しいせいで。人が好いせいで。面倒見がいいせいで。いつも、人に慕われている。
呪わしいよ、その人間性。性格。存在。消えてほしい。嘘。全部欲しい。全部ください。
関わるんじゃなかった。他人なんかに。おまえに。
ずっと、居心地のいい揺りかごの中にいればよかったんだ。
ああ、でも、揺りかごは壊されたんだっけ。
だから、えーと。
思考が、ぐちゃぐちゃになる。ミョウジは、爪を噛んでいたことに気付き、代わりに煙草を取り出し、火を着けた。
ほんのりバニラの香りがする煙草は、少し気分を落ち着かせる。
しかし、ギラつくその眼光は、荒い呼吸は、獣のようだった。
声をかけたのは、自分から。でも、優しくしてなんて頼んでないし。優しくされたから、好きになってしまっただけ。オレがおかしくなったのは、おまえのせいだろ?
責任を取れよ。オレを化物にした責任を。
「は、はは…………」
片手で、口元を隠す。この牙で、おまえに喰らいついてやろうか?
ミョウジは、ふらふらと歩く。偶然、喫煙室まで人に会わなかったから、歩き煙草を注意されなかった。
無人の喫煙室で、ミョウジは項垂れる。
病院行ったら、治してくれんの?
そんなことを考えていると、諏訪がやって来た。
「よう、ミョウジ」
「おう」
平静を装う。ちゃんと笑えてるかは、分からないけれど。
諏訪が、自然に隣に座るから、ミョウジは叫びたくなる。
いや、諏訪からしたら、オレは友達だし。隣に座るのなんて、特別なことじゃないし。
ミョウジは、必死に自分の中の獣性を押さえ付ける。
「ミョウジ」
「なに?」
「煙草、危ねーぞ」
「……ああ、サンキュ」
短くなった煙草が、指を焼こうとしていた。急いで、灰皿に押し付ける。
オレは、世界で一番、おまえのことが好きなんだから、おまえの一番がオレじゃなきゃ嫌だ。
友達のひとりじゃ、我慢出来ない。仲間のひとりじゃ、我慢出来ない。ただの他人には、戻れないんだよ。
オレのことを好きな人を好きになれたらよかったのに。
ミョウジナマエの、重くて粘性のある感情には、果てがない。