私という一頁の物語
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ソファーで眠ると、何故か、いい明晰夢か悪夢を見る。今日は、悪夢を見た。
私が“騙した”人々に復讐される夢。でも、面の皮の厚い私は、「私は悪くない」と言いながら逃げ回っていた。
私は、嘘が言えない。建前とかお世辞とか社交辞令とか。そういうものが言えない。でも、人は騙せる。
そもそも、私は私のためにしか生きられないし。他人の心を守りたいなんてのも、欺瞞的だ。
何が私の真実なのか分からなくなりそうになる度に、「おまえは、ろくでなしだろ」と言い聞かせる。
夢の内容なんて、出勤時間には関係ない。今日も、私はカウンセリングルームへ向かう。
最初のクライアントは、村上鋼くん。
椅子に座ってもらい、緑茶とみたらし団子を出す。
しばらく無言でお茶を飲んでいた村上くんが、重々しく口を開いた。
「オレが、グループの場を壊してしまう話は、前にしましたよね?」
「うん」
「それで、荒船にも酷いことをしたかもと思ってたんです」
「うん」
「でも、荒船のことは、オレの杞憂でした。来馬先輩のおかげで、それが分かりました。だから、なんで友達を信じられなかったんだろう? と、思って」
「んー。まあ、荒船くんは多くを語るタイプじゃないし。10回傷付けて、傷付けられて、11回目を信じるのは難しいことだよ」
村上くんは、しばし思案する様子を見せる。
「オレは、来馬先輩と荒船のことを尊敬しています。ふたりを、仲間たちを信じたいです」
「君はもう、覚悟を決めている。ボーダーでは、君のサイドエフェクトは重宝される。周りも、分かってくれるはずだよ」
「そうですね。内に籠らないで、訊けばよかったんですよね、きっと」
「うん。それが出来たら、いいと思う」
「サイドエフェクトに見合う、精神的な強さがほしいです」
それは、どうなんだろう? そう思いつつも、私はボーダーの体制側として言葉を放った。
「君が望むなら、手に入るよ」
村上くんが強くなると、ボーダーの駒としての価値が上がる。そういう都合のいいだけの存在にはなってほしくはない。
「ただ、無理はしないように。なんなら、メンタルトレーニングの教本を貸そう」
「ありがとうございます。借ります」
頭を下げる村上くん。
私なんかに、そんなことしなくていいよ。
デスクの横の本棚から、何冊かピックアップして、テーブルに並べる。村上くんは、興味深そうに、それらを見た。
今日も、私の“商売”は順調だ。地獄行きだろう、こんな奴は。
だからね、現世では出来るだけ楽しく過ごさせてもらうよ。自分勝手で、すまないね。
私が“騙した”人々に復讐される夢。でも、面の皮の厚い私は、「私は悪くない」と言いながら逃げ回っていた。
私は、嘘が言えない。建前とかお世辞とか社交辞令とか。そういうものが言えない。でも、人は騙せる。
そもそも、私は私のためにしか生きられないし。他人の心を守りたいなんてのも、欺瞞的だ。
何が私の真実なのか分からなくなりそうになる度に、「おまえは、ろくでなしだろ」と言い聞かせる。
夢の内容なんて、出勤時間には関係ない。今日も、私はカウンセリングルームへ向かう。
最初のクライアントは、村上鋼くん。
椅子に座ってもらい、緑茶とみたらし団子を出す。
しばらく無言でお茶を飲んでいた村上くんが、重々しく口を開いた。
「オレが、グループの場を壊してしまう話は、前にしましたよね?」
「うん」
「それで、荒船にも酷いことをしたかもと思ってたんです」
「うん」
「でも、荒船のことは、オレの杞憂でした。来馬先輩のおかげで、それが分かりました。だから、なんで友達を信じられなかったんだろう? と、思って」
「んー。まあ、荒船くんは多くを語るタイプじゃないし。10回傷付けて、傷付けられて、11回目を信じるのは難しいことだよ」
村上くんは、しばし思案する様子を見せる。
「オレは、来馬先輩と荒船のことを尊敬しています。ふたりを、仲間たちを信じたいです」
「君はもう、覚悟を決めている。ボーダーでは、君のサイドエフェクトは重宝される。周りも、分かってくれるはずだよ」
「そうですね。内に籠らないで、訊けばよかったんですよね、きっと」
「うん。それが出来たら、いいと思う」
「サイドエフェクトに見合う、精神的な強さがほしいです」
それは、どうなんだろう? そう思いつつも、私はボーダーの体制側として言葉を放った。
「君が望むなら、手に入るよ」
村上くんが強くなると、ボーダーの駒としての価値が上がる。そういう都合のいいだけの存在にはなってほしくはない。
「ただ、無理はしないように。なんなら、メンタルトレーニングの教本を貸そう」
「ありがとうございます。借ります」
頭を下げる村上くん。
私なんかに、そんなことしなくていいよ。
デスクの横の本棚から、何冊かピックアップして、テーブルに並べる。村上くんは、興味深そうに、それらを見た。
今日も、私の“商売”は順調だ。地獄行きだろう、こんな奴は。
だからね、現世では出来るだけ楽しく過ごさせてもらうよ。自分勝手で、すまないね。