一頁のおまけ
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手の中にある小さな工具を眺める。砂子さんが、お守りとして渡してきたレンチ。
レンチって、あんた。なんでレンチを鍵に付けてんだよ?
パッと見、ホテルのルームキーに見えなくもねーけど。
黒トリガー絡みのゴタゴタが終わってから、遠征組は、みんなカウンセリングを受けることになってる。
だから、今日の俺は、“クライアントの子供”か。つまんねーの。
カウンセリングルームのドアをノックする。
「はい。どうぞ」
「失礼します」
「こんにちは、当真くん」
「こんにちは」
「さぁ、かけて」
「はい」
俺を座らせ、テーブルの上に、マグカップに入れた紅茶とバナナチップスを置いた。
俺が、バナナ好きって知ってんのか? 気遣い? 偶然?
「何か、変わったことは?」
「なんもねーよ」
「そう」
「そうそう。これ、ありがとうございました」
「ああ、それね。返してくれて、ありがとう」
レンチを受け取り、鍵に付ける砂子さん。
「なんで、レンチ付けてるんですか?」
「工具が好きでね。特にレンチが好き。家には、色んなサイズのレンチがあるよ」
「へぇ」
変な人。面白い。よく分かんねー。
砂子さんは、呑気にバナナチップスを口に入れて、噛んでる。そして、紅茶を一口飲んだ。
「美味しいよ?」
俺の視線に気付いて、そんなことを言う。聴きたいのは、そんなものじゃない。
「いただきます」
退屈を噛みちぎるように、バナナチップスを食べた。
本当に聴きたいのは、心からの悲鳴・怒号・笑い声。心の叫びってやつ。
それを引き出したくて仕方ない。じっと、一回り歳上の人間を見る。
長い黒髪を一本の三つ編みにしていて。眼鏡をかけている。レンズの奥には、ふたつのタレ目。いつもの白衣。その下は、無難っつーか、地味っつーか。そんな服を着てる。そういや、スカートを穿いてるとこを見たことがない。靴は、黒いローファー。
「砂子さんって、自分のことどう思ってんだ?」
「私? ろくでなし。ちゃらんぽらん。不真面目。そんなとこ?」
「そうは見えねーけどな」
「私だって、少しは外面を取り繕うよ」
「なんで?」
「そうしなきゃ、役割を果たせないだろ」
「役割って? カウンセラー?」
「うん」
つまんねーな。やっぱ、この部屋はよくない。完全に線引きされてやがる。まあ、ここはあんたの城だもんな。それは、要塞とも言い換えられる。
今に見てろよ。俺が、あんたを、ただの人間に引き戻してやるから。
あんたの心臓を撃ち抜く日が、絶対にくる。
レンチって、あんた。なんでレンチを鍵に付けてんだよ?
パッと見、ホテルのルームキーに見えなくもねーけど。
黒トリガー絡みのゴタゴタが終わってから、遠征組は、みんなカウンセリングを受けることになってる。
だから、今日の俺は、“クライアントの子供”か。つまんねーの。
カウンセリングルームのドアをノックする。
「はい。どうぞ」
「失礼します」
「こんにちは、当真くん」
「こんにちは」
「さぁ、かけて」
「はい」
俺を座らせ、テーブルの上に、マグカップに入れた紅茶とバナナチップスを置いた。
俺が、バナナ好きって知ってんのか? 気遣い? 偶然?
「何か、変わったことは?」
「なんもねーよ」
「そう」
「そうそう。これ、ありがとうございました」
「ああ、それね。返してくれて、ありがとう」
レンチを受け取り、鍵に付ける砂子さん。
「なんで、レンチ付けてるんですか?」
「工具が好きでね。特にレンチが好き。家には、色んなサイズのレンチがあるよ」
「へぇ」
変な人。面白い。よく分かんねー。
砂子さんは、呑気にバナナチップスを口に入れて、噛んでる。そして、紅茶を一口飲んだ。
「美味しいよ?」
俺の視線に気付いて、そんなことを言う。聴きたいのは、そんなものじゃない。
「いただきます」
退屈を噛みちぎるように、バナナチップスを食べた。
本当に聴きたいのは、心からの悲鳴・怒号・笑い声。心の叫びってやつ。
それを引き出したくて仕方ない。じっと、一回り歳上の人間を見る。
長い黒髪を一本の三つ編みにしていて。眼鏡をかけている。レンズの奥には、ふたつのタレ目。いつもの白衣。その下は、無難っつーか、地味っつーか。そんな服を着てる。そういや、スカートを穿いてるとこを見たことがない。靴は、黒いローファー。
「砂子さんって、自分のことどう思ってんだ?」
「私? ろくでなし。ちゃらんぽらん。不真面目。そんなとこ?」
「そうは見えねーけどな」
「私だって、少しは外面を取り繕うよ」
「なんで?」
「そうしなきゃ、役割を果たせないだろ」
「役割って? カウンセラー?」
「うん」
つまんねーな。やっぱ、この部屋はよくない。完全に線引きされてやがる。まあ、ここはあんたの城だもんな。それは、要塞とも言い換えられる。
今に見てろよ。俺が、あんたを、ただの人間に引き戻してやるから。
あんたの心臓を撃ち抜く日が、絶対にくる。