煙シリーズおまけ
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愛されたかった。愛してもらえるなら、オレは別に人間じゃなくなったっていい。
かくして、ミョウジナマエの願いは叶った。
◆◆◆
雨の中、捨てられていた黒猫を拾う。
諏訪洸太郎は、とりあえず、自宅に猫を連れ帰った。
雨に濡れた猫を綺麗なタオルで拭いてやり、温めたミルクを与える。
「どうすっかな」
猫を飼える者を探さなくてはならない。メッセージアプリを起動し、とりあえず同い年の仲間のグループチャットに猫の画像を送った。
『捨て猫拾った』
すぐに、既読がつく。そして、3人分のメッセージが返ってきた。
『猫に煙草はダメだな』
『手分けして飼える奴を探そう』
『りょ』
ミョウジからだけ、反応が一切ない。
「っかしーな、ミョウジから返事がねーなんて」
「にゃー!」
「どうした?」
「にゃ」
抱き上げると、猫は嬉しそうにゴロゴロと喉を鳴らした。
頭をすり寄せて、甘える猫。
「ははっ。なつっこいな、おまえ」
「にゃ~ん」
猫は、上機嫌で返事をする。
諏訪は、優しく頭を撫でてみた。
「にゃんっ」
「………」
黒猫は、目を閉じて、諏訪を信頼し切っているように見える。
「……可愛いな」
「にゃー」
この猫の飼い主が見付かるまで、禁煙しよう。
それから、三日後。猫の飼い主候補が何人か見付かったが、黒猫は諏訪以外には懐かなかった。酷く暴れるので、仕方なく、諏訪は猫と同居し続けている。
他にも、心配事があった。
ミョウジナマエが消えてしまったのである。家は、もぬけの殻。連絡もつかない。
「ナマエ…………」
ぽつりと、友人の名前を呟くと、「にゃあ!」と猫が返事をした。
「どうした? おまえ、ナマエって名前なのか?」
「にゃあ!」
「ははは……」
猫の“ナマエ”は、諏訪の頬を舐める。
「コラ。ざらざらするだろ」
「にゃー」
「ナマエ」
「にゃあ!」
「ミョウジナマエは、どこ行ったんだ?」
「にゃ!」
何も言わずに消えられるような男じゃねーんだよ。アイツは。
つまり、“何も言えずに”いなくなったということ。事件? 事故?
心配になる。不安になる。煙草が吸いたい。
「にゃ~」
「ああ、大丈夫だ、俺は。アイツも、ナマエみたいに素直な奴だったらよかったんだけどな」
「にゃん」
「アイツ、俺のことが好きなんだと。ったく、好きな奴に心配かけんなよ」
「にゃ~」
ナマエは、何故か申し訳なさそうな鳴き声を上げる。
「おまえは、急にいなくなんなよ」
「にゃ!」
「本当に、俺の言ってることが分かるみてーだな」
そんなはずないのに。
「アイツ、見付けたらシバくぞ、流石に」
「にゃ~ん」
腕の中の黒猫が、慰めるように鳴いた。
かくして、ミョウジナマエの願いは叶った。
◆◆◆
雨の中、捨てられていた黒猫を拾う。
諏訪洸太郎は、とりあえず、自宅に猫を連れ帰った。
雨に濡れた猫を綺麗なタオルで拭いてやり、温めたミルクを与える。
「どうすっかな」
猫を飼える者を探さなくてはならない。メッセージアプリを起動し、とりあえず同い年の仲間のグループチャットに猫の画像を送った。
『捨て猫拾った』
すぐに、既読がつく。そして、3人分のメッセージが返ってきた。
『猫に煙草はダメだな』
『手分けして飼える奴を探そう』
『りょ』
ミョウジからだけ、反応が一切ない。
「っかしーな、ミョウジから返事がねーなんて」
「にゃー!」
「どうした?」
「にゃ」
抱き上げると、猫は嬉しそうにゴロゴロと喉を鳴らした。
頭をすり寄せて、甘える猫。
「ははっ。なつっこいな、おまえ」
「にゃ~ん」
猫は、上機嫌で返事をする。
諏訪は、優しく頭を撫でてみた。
「にゃんっ」
「………」
黒猫は、目を閉じて、諏訪を信頼し切っているように見える。
「……可愛いな」
「にゃー」
この猫の飼い主が見付かるまで、禁煙しよう。
それから、三日後。猫の飼い主候補が何人か見付かったが、黒猫は諏訪以外には懐かなかった。酷く暴れるので、仕方なく、諏訪は猫と同居し続けている。
他にも、心配事があった。
ミョウジナマエが消えてしまったのである。家は、もぬけの殻。連絡もつかない。
「ナマエ…………」
ぽつりと、友人の名前を呟くと、「にゃあ!」と猫が返事をした。
「どうした? おまえ、ナマエって名前なのか?」
「にゃあ!」
「ははは……」
猫の“ナマエ”は、諏訪の頬を舐める。
「コラ。ざらざらするだろ」
「にゃー」
「ナマエ」
「にゃあ!」
「ミョウジナマエは、どこ行ったんだ?」
「にゃ!」
何も言わずに消えられるような男じゃねーんだよ。アイツは。
つまり、“何も言えずに”いなくなったということ。事件? 事故?
心配になる。不安になる。煙草が吸いたい。
「にゃ~」
「ああ、大丈夫だ、俺は。アイツも、ナマエみたいに素直な奴だったらよかったんだけどな」
「にゃん」
「アイツ、俺のことが好きなんだと。ったく、好きな奴に心配かけんなよ」
「にゃ~」
ナマエは、何故か申し訳なさそうな鳴き声を上げる。
「おまえは、急にいなくなんなよ」
「にゃ!」
「本当に、俺の言ってることが分かるみてーだな」
そんなはずないのに。
「アイツ、見付けたらシバくぞ、流石に」
「にゃ~ん」
腕の中の黒猫が、慰めるように鳴いた。