私という一頁の物語
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失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。
あの子は、ボーダーを“やめたかった”んだ!
それなのに私は、気付けなかった!
あの子は、ボーダーをやめた。私に詰め寄られて、心を痛めて、去って行った。
私が、人の心が分からない化物だから。だから、他人を傷付ける。
私が放ったナイフは、あの子に突き刺さった。
もう、謝る機会さえもらえない。謝罪したところで、言い訳にしかならない。
「クソッ!」
自分の頭を殴る。
どうして、私はいつも間違える? 慎重に言葉を選んだ“つもり”。人の気持ちを推察出来た“つもり”。カウンセリングをしている“つもり”。
「おっと。お取り込み中?」
「…………」
カウンセリングルームに繋がる曲がり角。その先から、当真勇くんがやって来ていた。
「今の…………」
「聴こえたし、見ました」
「わたし…………」
両手で、顔を覆う。
お願いだから、見ないでくれ。
「あんたも人間だったんだな」
「おれ…………」
言葉が出てこない。
落ち着け。俺に泣く資格なんてないだろ。
「私、人間じゃないみたい」
やっとのことで、それだけ絞り出した。
「いや、人間だろ。人助けマシンかと思ってたけど」
人助け? 私は、自分のエゴで動いてるだけだ。
マシン? それは、そうかもしれない。人にはなれない、機械。
「私は、ただ……過去の自分を助けたいだけだよ…………」
「いいんじゃねーの? 理由はどうあれ、砂子さんは役に立ってる」
「存在意義を、毎日問われてるんだ。おまえの価値はなんだと、訊かれてるんだ。ここは、そういうところだから」
どんなにもがいても、結局、俺は俺のまま。
「ごめん。忘れて。私、平気だから」
例え、何者にも選ばれなくてもいい。私は、生きなくてはならない。誰に迷惑をかけようとも。精神病棟送りになった時に、決めたろ?
「無理言うなよ。忘れらんないですよ」
少し困ったように、当真くんは言う。
「……ごめん。さよなら」
彼に、背を向ける。その私の背中に、当真くんは疑問を投げた。
「誰が、あんたを救ってくれるんですか?」
私は、その問いには答えず、彼から逃げるように、カウンセリングルームへ入る。
閉じたドアの前で、私は座り込んだ。
続けろ。現海砂子の物語を。
決して、時は戻らないんだから。
「……おまえがやるしかないんだよ」
これは、おまえの人生だ。
地べたを這いずりながらでも、進め。喉が潰れるまで、声を上げろ。
おまえは、そうすることしか出来ないんだろ?
あの子は、ボーダーを“やめたかった”んだ!
それなのに私は、気付けなかった!
あの子は、ボーダーをやめた。私に詰め寄られて、心を痛めて、去って行った。
私が、人の心が分からない化物だから。だから、他人を傷付ける。
私が放ったナイフは、あの子に突き刺さった。
もう、謝る機会さえもらえない。謝罪したところで、言い訳にしかならない。
「クソッ!」
自分の頭を殴る。
どうして、私はいつも間違える? 慎重に言葉を選んだ“つもり”。人の気持ちを推察出来た“つもり”。カウンセリングをしている“つもり”。
「おっと。お取り込み中?」
「…………」
カウンセリングルームに繋がる曲がり角。その先から、当真勇くんがやって来ていた。
「今の…………」
「聴こえたし、見ました」
「わたし…………」
両手で、顔を覆う。
お願いだから、見ないでくれ。
「あんたも人間だったんだな」
「おれ…………」
言葉が出てこない。
落ち着け。俺に泣く資格なんてないだろ。
「私、人間じゃないみたい」
やっとのことで、それだけ絞り出した。
「いや、人間だろ。人助けマシンかと思ってたけど」
人助け? 私は、自分のエゴで動いてるだけだ。
マシン? それは、そうかもしれない。人にはなれない、機械。
「私は、ただ……過去の自分を助けたいだけだよ…………」
「いいんじゃねーの? 理由はどうあれ、砂子さんは役に立ってる」
「存在意義を、毎日問われてるんだ。おまえの価値はなんだと、訊かれてるんだ。ここは、そういうところだから」
どんなにもがいても、結局、俺は俺のまま。
「ごめん。忘れて。私、平気だから」
例え、何者にも選ばれなくてもいい。私は、生きなくてはならない。誰に迷惑をかけようとも。精神病棟送りになった時に、決めたろ?
「無理言うなよ。忘れらんないですよ」
少し困ったように、当真くんは言う。
「……ごめん。さよなら」
彼に、背を向ける。その私の背中に、当真くんは疑問を投げた。
「誰が、あんたを救ってくれるんですか?」
私は、その問いには答えず、彼から逃げるように、カウンセリングルームへ入る。
閉じたドアの前で、私は座り込んだ。
続けろ。現海砂子の物語を。
決して、時は戻らないんだから。
「……おまえがやるしかないんだよ」
これは、おまえの人生だ。
地べたを這いずりながらでも、進め。喉が潰れるまで、声を上げろ。
おまえは、そうすることしか出来ないんだろ?