煙シリーズおまけ
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第一次近界民侵攻の折、家が破壊され、ひとりだけ在宅していた男の両脚は潰された。それからは、ずっと義足で生きている。
ミョウジナマエは、両脚を失ったことなんて、どうでもよかった。それよりも、両親が行方不明になったことが問題だった。
外の世界は、苦痛そのもの。しかし、もう引きこもりではいられない。
ミョウジナマエは、両親のためにも社会に馴染む努力をした。
そんな中で、好きな人が出来たのが、とても憂鬱である。
「諏訪」
「よう、ミョウジ」
ボーダーに入ってから知り合った男。ミョウジの好きな者。諏訪洸太郎は、面倒見のいい、優しい人物だった。
「夏は、義足の人間には辛れぇよ。汗で、脚が気持ち悪い」
「そうなのか」
「というワケで、トリガー起動」
トリオン体に換装する。
両脚が生えてるって便利。義足と生足の間に汗が溜まることもないし。
ミョウジは、溜め息をついた。
「こっちのが落ち着くな、やっぱ」
「……そうか」
「今日、防衛任務一緒だろ? 行こうぜ」
「おう」
ミョウジと諏訪は、連れ立って任務にあたる。
その後。つつがなく務めは終わり、ふたりは共に帰ることにした。
トリガーをオフにすると、ミョウジは度々ふらつく。そして、それを支えるのは、いつも諏訪だった。
「悪い」
「気にすんな」
「トリオン体から生身に戻ると、どうしてもな。両脚ないんだったなぁって」
「…………」
「あーあ。神は天にいまし、すべて世は事もなしってな」
「なんだったっけか? それ」
「神様はバカンスしてて、人間のことなんて知らねぇってよ」
「ゼッテーそんな意味じゃねーだろ」
「まあね」
夏の夜。虫の声を聴きながら、ミョウジと諏訪は歩く。
「家、寄る?」
「ああ」
「じゃ、途中で飯買おうぜ」
コンビニで、夜ごはんやアイスやビールを買い、今はひとりだけしか住んでいないミョウジ宅へ。
「たでーま」
「邪魔する」
「いいよ」
ふたりで、食卓に着き、歓談した。その途中で、ミョウジは叫んだ。
「あーっ! 痒い! 義足外すわ!」
膝から下の義足を取り外し、床に投げ出す。
「はー、すっきりした!」
「そんなにか」
「そうだよ」
それからも、しばらく、ふたりは大学の講義の話や麻雀の話や読書の話などをした。
「諏訪、ソファー行きたい。運んで」
「仕方ねーな」
頼めば、いつだって、そうしてくれるんだろうな。
ミョウジは、薄暗い喜びを覚えた。
諏訪は、正面からミョウジを抱えて運ぶ。
おまえが抱き締めてくれるなら、両腕も失くしたって構わないんだ、オレは。
諏訪の首元に絡めた腕を見ながら、ミョウジはそんなことを考えている。
ミョウジナマエは、両脚を失ったことなんて、どうでもよかった。それよりも、両親が行方不明になったことが問題だった。
外の世界は、苦痛そのもの。しかし、もう引きこもりではいられない。
ミョウジナマエは、両親のためにも社会に馴染む努力をした。
そんな中で、好きな人が出来たのが、とても憂鬱である。
「諏訪」
「よう、ミョウジ」
ボーダーに入ってから知り合った男。ミョウジの好きな者。諏訪洸太郎は、面倒見のいい、優しい人物だった。
「夏は、義足の人間には辛れぇよ。汗で、脚が気持ち悪い」
「そうなのか」
「というワケで、トリガー起動」
トリオン体に換装する。
両脚が生えてるって便利。義足と生足の間に汗が溜まることもないし。
ミョウジは、溜め息をついた。
「こっちのが落ち着くな、やっぱ」
「……そうか」
「今日、防衛任務一緒だろ? 行こうぜ」
「おう」
ミョウジと諏訪は、連れ立って任務にあたる。
その後。つつがなく務めは終わり、ふたりは共に帰ることにした。
トリガーをオフにすると、ミョウジは度々ふらつく。そして、それを支えるのは、いつも諏訪だった。
「悪い」
「気にすんな」
「トリオン体から生身に戻ると、どうしてもな。両脚ないんだったなぁって」
「…………」
「あーあ。神は天にいまし、すべて世は事もなしってな」
「なんだったっけか? それ」
「神様はバカンスしてて、人間のことなんて知らねぇってよ」
「ゼッテーそんな意味じゃねーだろ」
「まあね」
夏の夜。虫の声を聴きながら、ミョウジと諏訪は歩く。
「家、寄る?」
「ああ」
「じゃ、途中で飯買おうぜ」
コンビニで、夜ごはんやアイスやビールを買い、今はひとりだけしか住んでいないミョウジ宅へ。
「たでーま」
「邪魔する」
「いいよ」
ふたりで、食卓に着き、歓談した。その途中で、ミョウジは叫んだ。
「あーっ! 痒い! 義足外すわ!」
膝から下の義足を取り外し、床に投げ出す。
「はー、すっきりした!」
「そんなにか」
「そうだよ」
それからも、しばらく、ふたりは大学の講義の話や麻雀の話や読書の話などをした。
「諏訪、ソファー行きたい。運んで」
「仕方ねーな」
頼めば、いつだって、そうしてくれるんだろうな。
ミョウジは、薄暗い喜びを覚えた。
諏訪は、正面からミョウジを抱えて運ぶ。
おまえが抱き締めてくれるなら、両腕も失くしたって構わないんだ、オレは。
諏訪の首元に絡めた腕を見ながら、ミョウジはそんなことを考えている。