戦いの舞台。センターポジションに立つ、ふたりの男。攻撃手のミョウジナマエと、銃手の諏訪洸太郎。
　スコーピオンを両手に持ち、ミョウジナマエは戦闘態勢に入る。
　敵は、諏訪洸太郎。彼は、散弾銃を両手に持つ。

「オレは、罪人だ…………」
「おまえは、何も悪くねーよ」

　ミョウジによる、自罰のレヴュー。諏訪による、真実のレヴュー。ふたりは、相容れない。
　まず、ミョウジはカメレオンを起動して、距離を詰める。
　諏訪は、ミョウジが来るであろう方向を、自身の左側だろうと賭けて、散弾を放った。その、面での攻撃をミョウジはギリギリ避ける。

「ハッ！　よく分かるぜ、おまえの考えてること」
「チッ」

　攻撃を読まれたことに、舌打ちをした。足に何発か食らったが、まだ平気だ。
　ミョウジは、すかさずスコーピオンを投擲する。

「甘めー！」
「おまえがな」

　スコーピオンを撃ち落とそうとした諏訪に、もう一本のスコーピオンが投げられた。
　それを、片方の銃身で弾く。しかし、“三投目”のスコーピオンが、諏訪の左腕に刺さった。

「なっ！？」
「ははは。ざまあねぇ」

　ミョウジは、薄暗く笑っている。

「ワイヤーか、くそったれ！」

　ご明察。ミョウジは、二本のスコーピオンの柄に、ワイヤーを付けていた。一本目を素早く回収し、再度投げたのである。
　このチャンスは、逃さない。グラスホッパーで一気に近付く。狙うは、首。
　だが、諏訪には、ミョウジが左側に来ることは分かっていた。

「左腕狙ったのは、そういうことだろ！」
「うぜぇんだよ、正論とか、真実とか」

　向けられた銃口を、ふたつの刃で弾き飛ばす。
　そして、腕を断ち切った。

「俺は、ただ、おまえが心配なんだよ！」
「おまえは、オレのなんだってんだ？！」

　諏訪の足払いで、ミョウジは地面に転がる。

「ぐっ！」
「おまえのダチで、仲間だろーが！」
「やめてよ…………」

　腹に銃を突き付けられたミョウジは、涙声を出した。優しくしないでくれ。ほっといてくれ。
　オレには、なんの価値もないんだから。

「オレみたいな出来損ないには、おまえは眩し過ぎる」
「うるせー。俺は、ただのおまえのダチだ。勝手に大それたもんにすんな」
「オレは、真実より、安息のための嘘が欲しいんだ。オレだけが悪者でいいんだ……」
「何度でも言うぜ。おまえは悪くねーんだよ」

　自分を騙すための嘘と、他者を解放するための真実のレヴューは、終幕した。
　諏訪は、片手でミョウジを起こす。

「疲れるだろ？　オレと関わると」
「バーカ。自分を悪く過大評価してんな」

　そう言った後に、諏訪は、ミョウジの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
　列車は必ず次の駅へ。では舞台は？　オレたちは？
　終着駅は、まだ分からない。