私という一頁の物語
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半袖だった白衣が、長袖に変わった頃。
「砂子さん、運動しませんか?」
「ふぁ?」
食堂で、あじフライ定食を食べていると、対面に柿崎国治くんが座ってきて、そう言われた。
そして、どこからか、歌川遼くんと熊谷友子さんが現れて私の両側に座る。
「運動の秋ですよ、砂子さん」
「砂子さん、バスケとかしませんか?」
スポーツ好きに囲まれた!
「えーと。遠慮するよ。私にとっては、食欲と読書の秋だし」
「いや、たまには運動もいいと思いますよ」と、柿崎くん。食い下がるな。
「運動、嫌。出来ない」
「急に語彙力が…………」
「砂子さん、確か水泳は好きでしたよね?」
「まあ…………」
「それなら、大丈夫ですよ」
なんの理屈もないけど!?
「私は、水泳以外出来ないから!」
「分かりました。じゃあ、水泳で勝負しましょう」
「勝負事は嫌いだ!」
「じゃあ、単純にランニングマシンで走りましょう」と、熊谷さんが溌剌と言う。
「この後、時間あります?」と、歌川くん。
「あるけどぉ…………」
今日の午後は、クライアントがいないので、特にやることがない。
そうして、私は、ボーダー本部の地下運動施設に連行された。
そこには、木崎くんや風間くんや穂刈くんがいて、ベンチプレスをしている。筋肉たちだなぁ。
「珍しいな、砂子さんが来るとは」
穂刈くんが私に気付き、声をかける。
「たすけてください」
「無理だな、オレには」
「えーん」
ここには、スポーツ好きと筋トレ好きと自己鍛練好きしかいないから、誰も助けてくれそうにない。
熊谷さんに、ランニングマシンの前に引っ張られた。
「まず、ゆっくりから始めましょう」
「はい」
仕方なく、白衣を脱ぎ、スポーツシューズに履き替える。
そして。
「地獄! 地獄で滑車回してる気分!」
「喋れるなら、余裕ですね。スピード上げます」
「ひーっ!」
地獄の鬼が、スピードアップボタンを押した。
「あれ? 砂子さん?」
「諏訪くん?!」
みんな、物珍しいのか、やって来た諏訪くんに注目する。
「助けて!」
「いや、俺も走りに来たんで」
「裏切り者~!」
諏訪くんは、私を救うどころか、隣のマシンで走り出した。
「砂子さんには負けらんねー!」
「ヤニ吸ってる奴に負けられるかぁ!」
ふたりで、意地になって走り続ける。
しかし、数分後、同時にへばって座り込んだ。
「はぁ……諏訪くん、秋といえば……?」
「読書……」
ガシッと、握手するふたり。
オーディエンスたちから、がんばったで賞的な拍手をされた。いつの間にか、木崎くんや風間くんもいる。
「秋は夕暮れ。夕日のさして山の端いと近うなりたるに、烏の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛びいそぐさへあはれなり」
「おい、砂子さんが、心の安寧のために枕草子唱え出したじゃねーか」
諏訪くんが、哀れな者を見る目をした。
「砂子さん、運動しませんか?」
「ふぁ?」
食堂で、あじフライ定食を食べていると、対面に柿崎国治くんが座ってきて、そう言われた。
そして、どこからか、歌川遼くんと熊谷友子さんが現れて私の両側に座る。
「運動の秋ですよ、砂子さん」
「砂子さん、バスケとかしませんか?」
スポーツ好きに囲まれた!
「えーと。遠慮するよ。私にとっては、食欲と読書の秋だし」
「いや、たまには運動もいいと思いますよ」と、柿崎くん。食い下がるな。
「運動、嫌。出来ない」
「急に語彙力が…………」
「砂子さん、確か水泳は好きでしたよね?」
「まあ…………」
「それなら、大丈夫ですよ」
なんの理屈もないけど!?
「私は、水泳以外出来ないから!」
「分かりました。じゃあ、水泳で勝負しましょう」
「勝負事は嫌いだ!」
「じゃあ、単純にランニングマシンで走りましょう」と、熊谷さんが溌剌と言う。
「この後、時間あります?」と、歌川くん。
「あるけどぉ…………」
今日の午後は、クライアントがいないので、特にやることがない。
そうして、私は、ボーダー本部の地下運動施設に連行された。
そこには、木崎くんや風間くんや穂刈くんがいて、ベンチプレスをしている。筋肉たちだなぁ。
「珍しいな、砂子さんが来るとは」
穂刈くんが私に気付き、声をかける。
「たすけてください」
「無理だな、オレには」
「えーん」
ここには、スポーツ好きと筋トレ好きと自己鍛練好きしかいないから、誰も助けてくれそうにない。
熊谷さんに、ランニングマシンの前に引っ張られた。
「まず、ゆっくりから始めましょう」
「はい」
仕方なく、白衣を脱ぎ、スポーツシューズに履き替える。
そして。
「地獄! 地獄で滑車回してる気分!」
「喋れるなら、余裕ですね。スピード上げます」
「ひーっ!」
地獄の鬼が、スピードアップボタンを押した。
「あれ? 砂子さん?」
「諏訪くん?!」
みんな、物珍しいのか、やって来た諏訪くんに注目する。
「助けて!」
「いや、俺も走りに来たんで」
「裏切り者~!」
諏訪くんは、私を救うどころか、隣のマシンで走り出した。
「砂子さんには負けらんねー!」
「ヤニ吸ってる奴に負けられるかぁ!」
ふたりで、意地になって走り続ける。
しかし、数分後、同時にへばって座り込んだ。
「はぁ……諏訪くん、秋といえば……?」
「読書……」
ガシッと、握手するふたり。
オーディエンスたちから、がんばったで賞的な拍手をされた。いつの間にか、木崎くんや風間くんもいる。
「秋は夕暮れ。夕日のさして山の端いと近うなりたるに、烏の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛びいそぐさへあはれなり」
「おい、砂子さんが、心の安寧のために枕草子唱え出したじゃねーか」
諏訪くんが、哀れな者を見る目をした。