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ボーダー本部では、総務部から、ボーダー史編纂室に数名の者が抜擢されている。
そこの室長であるミョウジナマエは、旧ボーダー時代から所属している非戦闘員だ。
ミョウジは、ボーダーの歴史の生き証人と言ってもいい。表沙汰には出来ないことも含めて、全て知っている。
また、総務としてボーダーの事務をこなし、どこの誰に何を共有するかなどの処理も担当していた。
そんな彼の“物語”の始まりは、ミョウジナマエが子供の頃に遡る。
「ナマエくん」
「なに?」
「また怖い本読んでるの?」
「怖くないよ」
少年が読んでいるのは、七不思議を集めた児童向けの本だった。
「ふーん。じゃあ、楽しいの?」
「うん。知らないことを知るのは楽しい」
好奇心旺盛な子供。それが、10歳のミョウジナマエであった。
この時に話していたクラスメイトは、後に行方不明になる。子供たちは、誘拐されたとか神隠しだとか、口々に噂をした。
しかしミョウジは、そんな噂話に興味はない。知りたいのは、真実だけ。
いなくなったクラスメイトの足取りが消えた場所を見張ったり、三門市の郷土史を読んでみたり、自分なりに真相を追った。
結局、消えた子供の行方は分からなかったが、長い時を経て、彼の能力は旧ボーダーに拾われる。
非戦闘員ながらも、事務全般を担うミョウジは重宝された。彼は、「集めて」「まとめて」「分ける」のが得意である。
そんな情報処理に特化した男だが、実は賭け事が好きだった。いくらデータを積んでも、負ける時は負けるのが面白くて。
ミョウジナマエの現在の仕事といえば、相変わらずの事務処理と歴史の編纂である。
ボーダー史は、大まかに二種類あった。全てを記した“正史”と、表向きの活動記録の“偽史”である。
この“正史”の全容を知っているのは、ミョウジナマエ含む旧ボーダーからいる者たちだけだ。
一方、“偽史”の一部は、インターネット上で誰でも閲覧出来る。
ここで言う“偽史”とは、嘘偽りで塗り固めた歴史ではなく、ボーダーにとって都合の悪いことを書かずに作られた歴史のことである。
悪魔の契約書のようだ。
ミョウジは、そう自嘲する。
「ミョウジ」
「はい」
休憩時間。コーヒーを飲んでいると、城戸司令に話しかけられた。
「顔色が悪いな」
「慢性的な睡眠不足でして」
「倒れてくれるなよ」
「……はい。城戸さんも、ご自愛くださいね」
「ああ」
ふたりは、何も言わずに別れる。
僕がバカみたいな映画を見せて、一緒に笑ったのは、いつのことだったか。
全てはもう、過去のこと。
彼も、ミョウジナマエも、久しく笑っていない。
そこの室長であるミョウジナマエは、旧ボーダー時代から所属している非戦闘員だ。
ミョウジは、ボーダーの歴史の生き証人と言ってもいい。表沙汰には出来ないことも含めて、全て知っている。
また、総務としてボーダーの事務をこなし、どこの誰に何を共有するかなどの処理も担当していた。
そんな彼の“物語”の始まりは、ミョウジナマエが子供の頃に遡る。
「ナマエくん」
「なに?」
「また怖い本読んでるの?」
「怖くないよ」
少年が読んでいるのは、七不思議を集めた児童向けの本だった。
「ふーん。じゃあ、楽しいの?」
「うん。知らないことを知るのは楽しい」
好奇心旺盛な子供。それが、10歳のミョウジナマエであった。
この時に話していたクラスメイトは、後に行方不明になる。子供たちは、誘拐されたとか神隠しだとか、口々に噂をした。
しかしミョウジは、そんな噂話に興味はない。知りたいのは、真実だけ。
いなくなったクラスメイトの足取りが消えた場所を見張ったり、三門市の郷土史を読んでみたり、自分なりに真相を追った。
結局、消えた子供の行方は分からなかったが、長い時を経て、彼の能力は旧ボーダーに拾われる。
非戦闘員ながらも、事務全般を担うミョウジは重宝された。彼は、「集めて」「まとめて」「分ける」のが得意である。
そんな情報処理に特化した男だが、実は賭け事が好きだった。いくらデータを積んでも、負ける時は負けるのが面白くて。
ミョウジナマエの現在の仕事といえば、相変わらずの事務処理と歴史の編纂である。
ボーダー史は、大まかに二種類あった。全てを記した“正史”と、表向きの活動記録の“偽史”である。
この“正史”の全容を知っているのは、ミョウジナマエ含む旧ボーダーからいる者たちだけだ。
一方、“偽史”の一部は、インターネット上で誰でも閲覧出来る。
ここで言う“偽史”とは、嘘偽りで塗り固めた歴史ではなく、ボーダーにとって都合の悪いことを書かずに作られた歴史のことである。
悪魔の契約書のようだ。
ミョウジは、そう自嘲する。
「ミョウジ」
「はい」
休憩時間。コーヒーを飲んでいると、城戸司令に話しかけられた。
「顔色が悪いな」
「慢性的な睡眠不足でして」
「倒れてくれるなよ」
「……はい。城戸さんも、ご自愛くださいね」
「ああ」
ふたりは、何も言わずに別れる。
僕がバカみたいな映画を見せて、一緒に笑ったのは、いつのことだったか。
全てはもう、過去のこと。
彼も、ミョウジナマエも、久しく笑っていない。
