煙シリーズおまけ
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夜道を歩いていたら、血の着いた包丁を持った男が、死体を見下ろしていて。月明かりに照らされていた。
「ミョウジ?」
「よりによって、おまえか。諏訪」
ミョウジナマエは、薄笑いを浮かべている。
「殺したのか?」
「ああ、殺したよ」
「逃げよう」
「は?」
自分でも、なんでそんなことを言ったのか分からない。
ミョウジの手を引いて、俺は歩き出した。
自宅に招き入れ、服を渡す。血塗れの包丁とミョウジの衣服は、まとめてゴミ袋に入れた。
「…………」
着替え終えたミョウジは、落ち着きなく手遊びをしている。
「行くぞ」
「どこに?」
「遠くに」
ふたりで、夜行バスに乗って、一夜明かした。
「どこ? ここ」
「さあ」
到着したのは、港町で。聞いたことない名前の土地だ。
「腹減った。ミョウジは?」
「オレも」
ミョウジと一緒に、近くにあった定食屋に入る。
港町らしく、魚料理ばかりのメニューだ。
焼き鮭定食をふたつ頼み、水を飲んで一息つく。
「なんで、何も訊かないワケ?」
ミョウジは、不思議そうにしている。
「聞いてほしいのか?」
「うーん。あんまり」
「じゃあ、訊かねーよ」
しばらくして、定食が運ばれてきた。「いただきます」と声が揃う。
「美味いな」
「うん」
食事に関して、めんどくさがりのミョウジは、焼き鮭を骨ごと食べている。
「続いては、昨夜起きた殺人と見られる事件の速報です。三門市の————」
定食屋のテレビが、ニュースを流した。
「オレのやつじゃん。早いなぁ」と、ミョウジが呑気なことを言う。
「緊張感ねーな」
「緊張したところでなぁ。捕まる時は捕まる」
「そりゃそうだろうがよ」
俺は、どこかでミョウジは犯人じゃないと思っていた。証拠なんてねーけど。
「ごちそうさま」
ふたりで、定食屋を出た。
「諏訪、アレ見て」
「ん?」
ミョウジが指を差しているのは、ボートの貸し出し所で。どうやら、ボートで海に出たいらしい。
ミョウジは、財布を持ってないから、当然俺が払うことになる。
俺たちは、ボートで海に行く。
潮風が体を撫でた。
「好きだなぁ、海」
「へぇ」
「海辺に住んでる人は、山に死体を持ってくんだってさ。で、山に住んでる人は、海に持ってくとか」
「…………」
「どっちにしろ、見付かるんだろうな」
「おまえは、どうして殺人の罪を被ろうとしてんだよ?」
「秘密」
ミョウジは、殺人を犯してないことを否定しない。
海を見つめる目が、不意に俺の方を向く。
「オレが、諏訪のこと好きだって知ってた?」
知らねーよ。
「ミョウジ?」
「よりによって、おまえか。諏訪」
ミョウジナマエは、薄笑いを浮かべている。
「殺したのか?」
「ああ、殺したよ」
「逃げよう」
「は?」
自分でも、なんでそんなことを言ったのか分からない。
ミョウジの手を引いて、俺は歩き出した。
自宅に招き入れ、服を渡す。血塗れの包丁とミョウジの衣服は、まとめてゴミ袋に入れた。
「…………」
着替え終えたミョウジは、落ち着きなく手遊びをしている。
「行くぞ」
「どこに?」
「遠くに」
ふたりで、夜行バスに乗って、一夜明かした。
「どこ? ここ」
「さあ」
到着したのは、港町で。聞いたことない名前の土地だ。
「腹減った。ミョウジは?」
「オレも」
ミョウジと一緒に、近くにあった定食屋に入る。
港町らしく、魚料理ばかりのメニューだ。
焼き鮭定食をふたつ頼み、水を飲んで一息つく。
「なんで、何も訊かないワケ?」
ミョウジは、不思議そうにしている。
「聞いてほしいのか?」
「うーん。あんまり」
「じゃあ、訊かねーよ」
しばらくして、定食が運ばれてきた。「いただきます」と声が揃う。
「美味いな」
「うん」
食事に関して、めんどくさがりのミョウジは、焼き鮭を骨ごと食べている。
「続いては、昨夜起きた殺人と見られる事件の速報です。三門市の————」
定食屋のテレビが、ニュースを流した。
「オレのやつじゃん。早いなぁ」と、ミョウジが呑気なことを言う。
「緊張感ねーな」
「緊張したところでなぁ。捕まる時は捕まる」
「そりゃそうだろうがよ」
俺は、どこかでミョウジは犯人じゃないと思っていた。証拠なんてねーけど。
「ごちそうさま」
ふたりで、定食屋を出た。
「諏訪、アレ見て」
「ん?」
ミョウジが指を差しているのは、ボートの貸し出し所で。どうやら、ボートで海に出たいらしい。
ミョウジは、財布を持ってないから、当然俺が払うことになる。
俺たちは、ボートで海に行く。
潮風が体を撫でた。
「好きだなぁ、海」
「へぇ」
「海辺に住んでる人は、山に死体を持ってくんだってさ。で、山に住んでる人は、海に持ってくとか」
「…………」
「どっちにしろ、見付かるんだろうな」
「おまえは、どうして殺人の罪を被ろうとしてんだよ?」
「秘密」
ミョウジは、殺人を犯してないことを否定しない。
海を見つめる目が、不意に俺の方を向く。
「オレが、諏訪のこと好きだって知ってた?」
知らねーよ。