煙シリーズ
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目を覚ますと、いつも通りに隣におまえがいる。
オレは、毎日、それを幸福に思う。
しばらく、少し幼く見える寝顔を眺めていると、恋人が起きた。
「……はよ」
「おはよー」
あくびをしながら、ふたりで洗面所へ向かい、身支度をする。
染めた金髪にワックスをつけて立たせると、いつもの、パッと見ヤンキーなおまえになった。
そう言うオレは、染めた茶髪である。オレたちは、よくヤンキーふたり組みだと思われていた。他人のことなんて、どうでもいいけど。
「飯、何がいい?」と訊かれた。
「パンがいいな」
「了解」
オレは、料理があんまり出来ないから、基本的には作ってもらってる。
今日のメニューは、トーストと目玉焼きとカリカリのベーコンと炒めたキャベツ。それらが、ひとつの皿に乗せられて、オレの前に置かれた。
そして、向かいに座るおまえの前にも。
「いただきます」
ふたりで、声を揃える。
バターが塗られたトーストの上に、ベーコンと目玉焼きを乗せて、齧った。
「美味いな」
「おまえが作るよりはな」
「んだよ、バカ!」
「はは。悪り。おまえは、甘いもんを極めりゃいい」
恋人は、にっと笑う。その笑顔を向けられると、なんでもゆるしてしまいそう。
トーストを二枚食べ終えてから、塩コショウがかかったキャベツを食べる。
恋人は、オレが美味しそうに物を食べるのを見るのが好きらしい。時々、食事を忘れて、じっとオレを見ている。
オレが、ひとりだと、散々な飯を食ってるのを知ってるからだろう。
ゼリー飲料ひとつ。袋ラーメンを砕いてバリバリ食う。プロテインバーを一本だけ。バナナとヨーグルトのみ。そんな感じになる。
「そりゃあ、餌だろ」って言われたっけ。
確かに、おまえと一緒に住み始めてからは、食生活が改善されたけど。
餌って言うほどヤバいの?
「ごちそうさま」
食後。淹れてもらったコーヒーを飲む。オレのは、砂糖とミルクとチョコレート入りだ。甘党だから。
おまえが窓の外を見てるから、オレも視線をやった。
庭の木の青葉が、風に吹かれて揺れている。
外は、きっと気持ちいいだろう。
「庭に出て、煙草吸おうぜ」
「賛成」
オレの提案に乗ってくれた。
ステンレスの灰皿を持って、庭へ出る。心地よい風と木漏れ日を受けながら、オレたちは煙草に火を着けた。
「ふう」
すっかり慣れた、お互いの煙草の匂い。オレの、ほんのりバニラの香りがする煙草と、おまえの煙草の香り。
「昼は、面倒見れねーんだから、ちゃんと食えよ」
「はいはい」
「忙しくても、ゼリー飲料だけで済ますな」
「はーい」
仕事に行くまで、穏やかな時間を過ごした。
そんな、五月の新緑の頃。
オレは、毎日、それを幸福に思う。
しばらく、少し幼く見える寝顔を眺めていると、恋人が起きた。
「……はよ」
「おはよー」
あくびをしながら、ふたりで洗面所へ向かい、身支度をする。
染めた金髪にワックスをつけて立たせると、いつもの、パッと見ヤンキーなおまえになった。
そう言うオレは、染めた茶髪である。オレたちは、よくヤンキーふたり組みだと思われていた。他人のことなんて、どうでもいいけど。
「飯、何がいい?」と訊かれた。
「パンがいいな」
「了解」
オレは、料理があんまり出来ないから、基本的には作ってもらってる。
今日のメニューは、トーストと目玉焼きとカリカリのベーコンと炒めたキャベツ。それらが、ひとつの皿に乗せられて、オレの前に置かれた。
そして、向かいに座るおまえの前にも。
「いただきます」
ふたりで、声を揃える。
バターが塗られたトーストの上に、ベーコンと目玉焼きを乗せて、齧った。
「美味いな」
「おまえが作るよりはな」
「んだよ、バカ!」
「はは。悪り。おまえは、甘いもんを極めりゃいい」
恋人は、にっと笑う。その笑顔を向けられると、なんでもゆるしてしまいそう。
トーストを二枚食べ終えてから、塩コショウがかかったキャベツを食べる。
恋人は、オレが美味しそうに物を食べるのを見るのが好きらしい。時々、食事を忘れて、じっとオレを見ている。
オレが、ひとりだと、散々な飯を食ってるのを知ってるからだろう。
ゼリー飲料ひとつ。袋ラーメンを砕いてバリバリ食う。プロテインバーを一本だけ。バナナとヨーグルトのみ。そんな感じになる。
「そりゃあ、餌だろ」って言われたっけ。
確かに、おまえと一緒に住み始めてからは、食生活が改善されたけど。
餌って言うほどヤバいの?
「ごちそうさま」
食後。淹れてもらったコーヒーを飲む。オレのは、砂糖とミルクとチョコレート入りだ。甘党だから。
おまえが窓の外を見てるから、オレも視線をやった。
庭の木の青葉が、風に吹かれて揺れている。
外は、きっと気持ちいいだろう。
「庭に出て、煙草吸おうぜ」
「賛成」
オレの提案に乗ってくれた。
ステンレスの灰皿を持って、庭へ出る。心地よい風と木漏れ日を受けながら、オレたちは煙草に火を着けた。
「ふう」
すっかり慣れた、お互いの煙草の匂い。オレの、ほんのりバニラの香りがする煙草と、おまえの煙草の香り。
「昼は、面倒見れねーんだから、ちゃんと食えよ」
「はいはい」
「忙しくても、ゼリー飲料だけで済ますな」
「はーい」
仕事に行くまで、穏やかな時間を過ごした。
そんな、五月の新緑の頃。