一頁のおまけ
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出会った頃のことを思い出す。
「はじめまして、当真勇くん。現海砂子、カウンセラーだよ。呼ぶ時は、砂子でいい。よろしくね」
「よろしく、砂子さん」
砂子さんは、つまんねー人だった。
クライアントに誠実で、真面目に仕事して、役割以上のことはしない。機械みてーな人。
でも、それは表層だったんだ。
あの人が一番助けたいのは自分だし、一番助けるべきなのも自分だろ。
善い人なんかじゃない。ありゃ、天性の悪人だ。社会でやっていくために、自分を縛ってるだけ。
たぶん、砂子さんの本当の適職は、詐欺師かなんかだろうな。
それに、あの人は、「ろくでなし」であることを自覚してる。性質 が悪い。
ちょっと深入りすれば、ボロボロと悪性が見付かる人。
人間の振りした化物みてーだ。でも、それがいいんだよな。どうしようもなく人間で。
「当真くん」と、低めの落ち着いた声が呼ぶ。
「なんだ?」
「君は、至って健康な精神をしてるけど、なんか引っかかるんだよね」
「引っかかる?」
ああ、そうだ。確か、そんなことを言われたな。
「他者への興味の出力の仕方、かな」
「はあ…………」
「私に興味ないのは構わないんだけど、カウンセリングはちゃんと受けてね」
「はいはい」
あの時は、砂子さんのことが本当にどうでもよかった。
それが今では。
解体する者を、解体する奴なんていない。人を助ける者を、助ける奴なんていない。砂子さんは、救われない。
仕方ねーから、俺がそれになって、救うんだ。あんたは、素晴らしい“人間”だから。
“素晴らしい人間”には決してなれねーよ、砂子さんは。まあ、別になろうとはしてねーだろうが。
深層を見せてくれないなら、撃ち抜くしかないよな。
「映画、どうだった?」
「人が死ぬとこがよかった」
これは、砂子さん主催の映画鑑賞会に気まぐれで参加した時の記憶。
「人が景気よく死ぬ映画はいいよねぇ」
俺もだけど、三門で言っていい台詞じゃねーだろ。ま、んなこと言ったら、ぬるま湯みてーな映画しか流せなくなるか。
事前に何を流すかは知らせてるからな、あの人。
映画に誘ったら、すぐに釣れそうだ。今度、言ってみるか。
「わたし…………」
あの時の記憶。
「人間じゃないみたい…………」
あんたは、普通の人間だよ。
この手を取ってくれたら、絶対に助けるから。
早く、俺の前で転べばいいのに。
「はじめまして、当真勇くん。現海砂子、カウンセラーだよ。呼ぶ時は、砂子でいい。よろしくね」
「よろしく、砂子さん」
砂子さんは、つまんねー人だった。
クライアントに誠実で、真面目に仕事して、役割以上のことはしない。機械みてーな人。
でも、それは表層だったんだ。
あの人が一番助けたいのは自分だし、一番助けるべきなのも自分だろ。
善い人なんかじゃない。ありゃ、天性の悪人だ。社会でやっていくために、自分を縛ってるだけ。
たぶん、砂子さんの本当の適職は、詐欺師かなんかだろうな。
それに、あの人は、「ろくでなし」であることを自覚してる。
ちょっと深入りすれば、ボロボロと悪性が見付かる人。
人間の振りした化物みてーだ。でも、それがいいんだよな。どうしようもなく人間で。
「当真くん」と、低めの落ち着いた声が呼ぶ。
「なんだ?」
「君は、至って健康な精神をしてるけど、なんか引っかかるんだよね」
「引っかかる?」
ああ、そうだ。確か、そんなことを言われたな。
「他者への興味の出力の仕方、かな」
「はあ…………」
「私に興味ないのは構わないんだけど、カウンセリングはちゃんと受けてね」
「はいはい」
あの時は、砂子さんのことが本当にどうでもよかった。
それが今では。
解体する者を、解体する奴なんていない。人を助ける者を、助ける奴なんていない。砂子さんは、救われない。
仕方ねーから、俺がそれになって、救うんだ。あんたは、素晴らしい“人間”だから。
“素晴らしい人間”には決してなれねーよ、砂子さんは。まあ、別になろうとはしてねーだろうが。
深層を見せてくれないなら、撃ち抜くしかないよな。
「映画、どうだった?」
「人が死ぬとこがよかった」
これは、砂子さん主催の映画鑑賞会に気まぐれで参加した時の記憶。
「人が景気よく死ぬ映画はいいよねぇ」
俺もだけど、三門で言っていい台詞じゃねーだろ。ま、んなこと言ったら、ぬるま湯みてーな映画しか流せなくなるか。
事前に何を流すかは知らせてるからな、あの人。
映画に誘ったら、すぐに釣れそうだ。今度、言ってみるか。
「わたし…………」
あの時の記憶。
「人間じゃないみたい…………」
あんたは、普通の人間だよ。
この手を取ってくれたら、絶対に助けるから。
早く、俺の前で転べばいいのに。