私という一頁の物語
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いけない、いけない。
うたた寝から覚めた私は、急いでカウンセリングルームへ戻った。
セーフ。休憩時間が終わる前に来られた。
散らかったデスクの上を片付け、飲み物を用意していると、ノックの音が響く。
「どうぞ」
「失礼します」
クライアント、三浦雄太くんがやって来た。
「さあ、かけて。紅茶とお菓子、どうぞ」
「ありがとうございます」
マグカップとクッキーを置く。
「最近、どう? 元気?」
「はい。オレは元気です」
オレ“は”、ね。
「そう。それならよかった」
「ただ、ろっくんが、ずっと考え事してるみたいで……」
「若村くんのことが心配?」
「はい。葉子ちゃんと色々ありましたし」
試合の時の話だろうな。
「三浦くん、若村くんは、大丈夫だと思うよ。たぶん、自省してるだけだから。本当に困った時は、君に話すよ」
「そう、ですか? ろっくん、自分を責めてませんか?」
「ある程度は、仕方ないさ。まあ、それとなく、気晴らしに付き合ったらいいんじゃない?」
三浦くんは、うなずいた。
そして、一口、紅茶を飲んでから、「砂子さん、オレは、香取隊が壊れたら嫌なんです……」と呟くように言う。
「大切なものは、自分で守らないといけない」
私は、簡潔に答える。
「はい。やっぱり、平和が一番ですよね」
「そうだね。平穏無事に生きたいねぇ」
私たちは、笑ってそう言った。
その後は、取り留めない話をして過ごす。
「時間だ。お疲れ様。何かあったら、いつでもおいで」
「はい。ありがとうございました」
三浦くんを見送り、後片付けをして、一息ついた。
「ふぅ。無謬の名探偵になりたいもんだ」
私は、ただの人間だから、間違いもする。しかし、記憶力のよさを活かして、対人関係においては、なんとかやっていた。人が見せる表情や仕草などのことは、全て理詰めで覚えている。
個人個人の、手癖から足音まで。私は、記憶していた。ノックの仕方も、そう。
そろそろ、2月が終わる。
3月には、長期遠征選抜試験か。また、忙しくなるなぁ。
私物のミツクリザメとモササウルスのぬいぐるみを抱き締め、溜め息をついた。
遠征について、思うことがないでもない。私は、一緒に行けないから。心配にもなる。
せめて、憂いなく出発出来るように努めるのが、私の役目だ。その時が来たら、精一杯がんばろう。
もうすぐ、春の歌が唱えるようになるね。
うたた寝から覚めた私は、急いでカウンセリングルームへ戻った。
セーフ。休憩時間が終わる前に来られた。
散らかったデスクの上を片付け、飲み物を用意していると、ノックの音が響く。
「どうぞ」
「失礼します」
クライアント、三浦雄太くんがやって来た。
「さあ、かけて。紅茶とお菓子、どうぞ」
「ありがとうございます」
マグカップとクッキーを置く。
「最近、どう? 元気?」
「はい。オレは元気です」
オレ“は”、ね。
「そう。それならよかった」
「ただ、ろっくんが、ずっと考え事してるみたいで……」
「若村くんのことが心配?」
「はい。葉子ちゃんと色々ありましたし」
試合の時の話だろうな。
「三浦くん、若村くんは、大丈夫だと思うよ。たぶん、自省してるだけだから。本当に困った時は、君に話すよ」
「そう、ですか? ろっくん、自分を責めてませんか?」
「ある程度は、仕方ないさ。まあ、それとなく、気晴らしに付き合ったらいいんじゃない?」
三浦くんは、うなずいた。
そして、一口、紅茶を飲んでから、「砂子さん、オレは、香取隊が壊れたら嫌なんです……」と呟くように言う。
「大切なものは、自分で守らないといけない」
私は、簡潔に答える。
「はい。やっぱり、平和が一番ですよね」
「そうだね。平穏無事に生きたいねぇ」
私たちは、笑ってそう言った。
その後は、取り留めない話をして過ごす。
「時間だ。お疲れ様。何かあったら、いつでもおいで」
「はい。ありがとうございました」
三浦くんを見送り、後片付けをして、一息ついた。
「ふぅ。無謬の名探偵になりたいもんだ」
私は、ただの人間だから、間違いもする。しかし、記憶力のよさを活かして、対人関係においては、なんとかやっていた。人が見せる表情や仕草などのことは、全て理詰めで覚えている。
個人個人の、手癖から足音まで。私は、記憶していた。ノックの仕方も、そう。
そろそろ、2月が終わる。
3月には、長期遠征選抜試験か。また、忙しくなるなぁ。
私物のミツクリザメとモササウルスのぬいぐるみを抱き締め、溜め息をついた。
遠征について、思うことがないでもない。私は、一緒に行けないから。心配にもなる。
せめて、憂いなく出発出来るように努めるのが、私の役目だ。その時が来たら、精一杯がんばろう。
もうすぐ、春の歌が唱えるようになるね。