私という一頁の物語
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彼女が言っていた。
「わたし、もっとここにいたいです…………」
日浦茜さんは、涙をこぼす。
「砂子さん、わたし、忘れられちゃいませんか……?」
「そんなことない。日浦さんは、ずっと那須隊の一員だし、私も忘れないよ」
「ほんとですか……?」
「私は、記憶力がいいんだ」
忘れたいことも忘れられないくらいに。私はいつも、忘れられる方。
「……ありがとう、ございます」
彼女に、箱ティッシュを差し出した。
そんなことがあったのが、少し前。
「砂子さん、あたし…………」
現在のクライアント、志岐小夜子さんの言葉を待つ。
「茜に、ちょっと意地悪だったかなって……反省してて…………」
「日浦さんは、気にしてないと思うよ」
「そうですか?」
「じゃなきゃ、別れを惜しまないだろう?」
三門を去った彼女は、那須隊のメンバーが大好きなんだと思う。
「志岐さん。日浦さんは、君のことも大切に想ってるよ」
「あたし……そうですね……茜のことを信じます……」
「うん」
「ありがとうございました」
頭を下げる志岐さん。
「お疲れ様。また、いつでもおいで」
「はい。失礼します」
志岐さんを見送り、後片付けをしていると、スマホが鳴った。
「はい」
『こんにちは』
「こんにちは、那須さん」
『あの、小夜ちゃんは大丈夫でしたか? 今日、砂子さんのところへ伺うと言っていたので……』
「大丈夫だよ。心配ない」
『よかった。ありがとうございます』
「那須さんは、どう?」
『私は、大丈夫です。だけど、そうですね。悲しくなったら、頼りにしてもよろしいですか?』
「もちろん。いつでもどうぞ」
『はい。では、失礼します』
「またね」
通話を切る。
全く、眩しい子たちだね。目が潰れそう。
仲間、か。私の仲間って、誰? ボーダーのみんな?
「どうだろうな…………」
私が壁を作っているから、仲間も友人も恋人もいないのかな。
そんなことないか。私には、必要ないだけかも。
デスクに戻り、冷めた紅茶を飲む。
城戸さんは、私を仲間入りさせたつもりなんだろうか?
よく分からない。ただ、彼と私は、共犯者だった。それは、間違いない。
私の近界民へのスタンスは、城戸さんとは違う。
私は、中立である。城戸派でも忍田派でも玉狛支部派でもない。
強いて言うなら、対話派かな。言葉が交わせるなら、話したい。
それを拒否されたら、私にはどうしようもないんだけど。
まあ、まずは、ボーダーのみんなと話さないとね。
そのための私だから。
「わたし、もっとここにいたいです…………」
日浦茜さんは、涙をこぼす。
「砂子さん、わたし、忘れられちゃいませんか……?」
「そんなことない。日浦さんは、ずっと那須隊の一員だし、私も忘れないよ」
「ほんとですか……?」
「私は、記憶力がいいんだ」
忘れたいことも忘れられないくらいに。私はいつも、忘れられる方。
「……ありがとう、ございます」
彼女に、箱ティッシュを差し出した。
そんなことがあったのが、少し前。
「砂子さん、あたし…………」
現在のクライアント、志岐小夜子さんの言葉を待つ。
「茜に、ちょっと意地悪だったかなって……反省してて…………」
「日浦さんは、気にしてないと思うよ」
「そうですか?」
「じゃなきゃ、別れを惜しまないだろう?」
三門を去った彼女は、那須隊のメンバーが大好きなんだと思う。
「志岐さん。日浦さんは、君のことも大切に想ってるよ」
「あたし……そうですね……茜のことを信じます……」
「うん」
「ありがとうございました」
頭を下げる志岐さん。
「お疲れ様。また、いつでもおいで」
「はい。失礼します」
志岐さんを見送り、後片付けをしていると、スマホが鳴った。
「はい」
『こんにちは』
「こんにちは、那須さん」
『あの、小夜ちゃんは大丈夫でしたか? 今日、砂子さんのところへ伺うと言っていたので……』
「大丈夫だよ。心配ない」
『よかった。ありがとうございます』
「那須さんは、どう?」
『私は、大丈夫です。だけど、そうですね。悲しくなったら、頼りにしてもよろしいですか?』
「もちろん。いつでもどうぞ」
『はい。では、失礼します』
「またね」
通話を切る。
全く、眩しい子たちだね。目が潰れそう。
仲間、か。私の仲間って、誰? ボーダーのみんな?
「どうだろうな…………」
私が壁を作っているから、仲間も友人も恋人もいないのかな。
そんなことないか。私には、必要ないだけかも。
デスクに戻り、冷めた紅茶を飲む。
城戸さんは、私を仲間入りさせたつもりなんだろうか?
よく分からない。ただ、彼と私は、共犯者だった。それは、間違いない。
私の近界民へのスタンスは、城戸さんとは違う。
私は、中立である。城戸派でも忍田派でも玉狛支部派でもない。
強いて言うなら、対話派かな。言葉が交わせるなら、話したい。
それを拒否されたら、私にはどうしようもないんだけど。
まあ、まずは、ボーダーのみんなと話さないとね。
そのための私だから。