私という一頁の物語
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今日は、一室貸し切っての映画の上映会である。
映画好きや、暇そうにしていたボーダー隊員を集めて大きなスクリーンで、「カリガリ博士」を流した。
サイレント映画は、静かに進み、THE ENDを迎える。
「はい、では、任意ですが、私が用意した感想カードに記入してから出るように」
「なんですか、それ?」と真木理佐さんが鋭く言った。
「これは、私が初見の人の感想を摂取するための紙です」
「砂子さんに恩を売れるということですか?」
「ノーコメント」
真木さんの手に、紙を押し付ける。
「砂子さん、こっちも一枚ください」
「はーい」
荒船哲次くんに、感想カードを渡した。それから、人見摩子さんと那須玲さんも受け取ってくれる。
あとは、暇してた組である諏訪くん、風間くん、太刀川くん、当真くんにも押し付けた。
「ペンなかったら貸しまーす」
「この時ばかりは、砂子さんがただのオタクになるな」
いや、私はずっと物語オタクだよ? 荒船くん。
「書き終わったら、この箱に入れてねー」と、元クッキー缶を持ち、出口の横に立つ。
なんやかんやで、8人分の初見の感想を手に入れたぞ! カウンセリングルームに来たら、少しいいお菓子をあげよう。
ニコニコしながら、椅子の片付けや消灯や鍵閉めを済ませ、自分の城へと帰る。
「さてと」
新しく買った紅茶を淹れ、マグカップに注ぐ。
「ひひひ……」と、魔女めいた笑いが漏れた。好きな作品の初見の感想は絶品だから、仕方ない。
なんかひとり、食べてた餅の話してる奴がいるな。まあ、「面白かった」とも書いてあるから、ゆるそう。
最後の一枚。筆跡で分かる。これは、上映会及び感想カード皆勤賞の荒船くんのものだ。
「砂子さんって精神病の話好きですよね」と付記されており、少しばかり恥じ入った。
「ん?」
カードの裏に、意味ありげな文字列。何かのID?
メッセージアプリを起動し、ユーザー検索をすると、荒船くんが出てきた。
『こんにちは』
『現海砂子です』
メッセージを送ると、すぐに返信が届く。
『こんにちは』
『今度、ワイルド・スピードの新作観に行きませんか?』
ん? んん~?
『ふたりで』
これ大丈夫? 犯罪にならない?
『考えとく』
『ありがとうございます』
保留。前向きに検討します。
まあ、夏の公開日まで時間があるし、のんびり考えよう。
『ところで、砂子さんって恋人いますか?』
えーと。
『いないよ』
真実を告げる以外の選択肢がない。
いや、他意はない、よな? きっと。
映画好きや、暇そうにしていたボーダー隊員を集めて大きなスクリーンで、「カリガリ博士」を流した。
サイレント映画は、静かに進み、THE ENDを迎える。
「はい、では、任意ですが、私が用意した感想カードに記入してから出るように」
「なんですか、それ?」と真木理佐さんが鋭く言った。
「これは、私が初見の人の感想を摂取するための紙です」
「砂子さんに恩を売れるということですか?」
「ノーコメント」
真木さんの手に、紙を押し付ける。
「砂子さん、こっちも一枚ください」
「はーい」
荒船哲次くんに、感想カードを渡した。それから、人見摩子さんと那須玲さんも受け取ってくれる。
あとは、暇してた組である諏訪くん、風間くん、太刀川くん、当真くんにも押し付けた。
「ペンなかったら貸しまーす」
「この時ばかりは、砂子さんがただのオタクになるな」
いや、私はずっと物語オタクだよ? 荒船くん。
「書き終わったら、この箱に入れてねー」と、元クッキー缶を持ち、出口の横に立つ。
なんやかんやで、8人分の初見の感想を手に入れたぞ! カウンセリングルームに来たら、少しいいお菓子をあげよう。
ニコニコしながら、椅子の片付けや消灯や鍵閉めを済ませ、自分の城へと帰る。
「さてと」
新しく買った紅茶を淹れ、マグカップに注ぐ。
「ひひひ……」と、魔女めいた笑いが漏れた。好きな作品の初見の感想は絶品だから、仕方ない。
なんかひとり、食べてた餅の話してる奴がいるな。まあ、「面白かった」とも書いてあるから、ゆるそう。
最後の一枚。筆跡で分かる。これは、上映会及び感想カード皆勤賞の荒船くんのものだ。
「砂子さんって精神病の話好きですよね」と付記されており、少しばかり恥じ入った。
「ん?」
カードの裏に、意味ありげな文字列。何かのID?
メッセージアプリを起動し、ユーザー検索をすると、荒船くんが出てきた。
『こんにちは』
『現海砂子です』
メッセージを送ると、すぐに返信が届く。
『こんにちは』
『今度、ワイルド・スピードの新作観に行きませんか?』
ん? んん~?
『ふたりで』
これ大丈夫? 犯罪にならない?
『考えとく』
『ありがとうございます』
保留。前向きに検討します。
まあ、夏の公開日まで時間があるし、のんびり考えよう。
『ところで、砂子さんって恋人いますか?』
えーと。
『いないよ』
真実を告げる以外の選択肢がない。
いや、他意はない、よな? きっと。