A級9位!秋津隊
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
物心ついた時から、ずっと人を支配してきた。
そして、偽りのお姫様、春日井香介は、他人の好意や恋心を利用して何でも叶える。
そのピークは、中学生の頃。様々なグループをぐちゃぐちゃにした。
「ねぇ、おれのことが好き? ちょっとお願いがあるんだけど」
そう口にすると、誰でも春日井のために尽くしてくれる。
時に可愛らしい笑顔で、時にか弱く不安そうに、表情や仕草を使い分けて、彼は心を操った。天使の見た目と、悪魔のような中身。
お姫様の真実の心。それは、虚無だった。ただ、映画を見る時だけは、感情制御を解いたが、それ以外で心を動かされることはない。
苦労なんてしたくない。だから、おれのところに甘い蜜を届けに来てね。
少年は、そんな風に生きてきた。
春日井にとって、恋愛とは便利なツールだったのである。気のある素振りを見せてやれば、みんなが喜んで彼のために働いた。
春日井香介が、恋愛をしてみたいと思ったのは、気まぐれ。那須玲に恋して、飽きて。代わりに奈良坂透に恋して、恋愛ごっこが始まった。
その恋愛ごっこが、春日井の運命を変えることになる。
今では、奈良坂のことを愛している春日井。感情制御を解いても残る、彼への想い。決して消せない気持ち。
怖かった。過去を知られたら、嫌われてしまう。そう考えた。
「奈良坂、おれの噂とか、過去とか聞いたことある?」
「俺は、隣にいる春日井のことしか知らない。それでいい」
「……ありがとう」
知ってるんだろうな。サークルクラッシャーみたいだったおれのこと。
「心配するな。春日井は変わったんだろう?」
「うん。君のせいだよ」
冗談めかして言った。
奈良坂は、春日井の頭を撫でる。
春日井は、たまらず奈良坂を抱き締めた。
「大好きだよ」
「ああ、俺もだ」
「ずっと一緒にいてくれなきゃ嫌だ」
「傍にいる」
本心からのワガママを受け入れてくれて、嬉しい。
「この前、秋津隊のみんながいるところで、感情制御を解いたんだ。それでも、みんなのことは好きだった」
「よかったな」
「うん。おれは、幸せ者だね」
秋津隊は、みんな何かを抱えている。それは、澪川四季が考えている通り。
隊長、秋津豊久は、母の死を。
夏海恭一は、幼馴染みの喪失を。
春日井香介は、重たい罪を。
冷泉冬樹は、悲しい別れを。
そんな過去があり、現在がある。
みんな、未来のために前に進んでいた。
「秋津隊は、おれの大切な居場所のひとつなんだ。だから、おれは頑張れる。応援、よろしくね?」
「任せろ」
ふたりは笑い合って、唇を重ねる。
昼下がりの、静かな部屋でのことだった。
そして、偽りのお姫様、春日井香介は、他人の好意や恋心を利用して何でも叶える。
そのピークは、中学生の頃。様々なグループをぐちゃぐちゃにした。
「ねぇ、おれのことが好き? ちょっとお願いがあるんだけど」
そう口にすると、誰でも春日井のために尽くしてくれる。
時に可愛らしい笑顔で、時にか弱く不安そうに、表情や仕草を使い分けて、彼は心を操った。天使の見た目と、悪魔のような中身。
お姫様の真実の心。それは、虚無だった。ただ、映画を見る時だけは、感情制御を解いたが、それ以外で心を動かされることはない。
苦労なんてしたくない。だから、おれのところに甘い蜜を届けに来てね。
少年は、そんな風に生きてきた。
春日井にとって、恋愛とは便利なツールだったのである。気のある素振りを見せてやれば、みんなが喜んで彼のために働いた。
春日井香介が、恋愛をしてみたいと思ったのは、気まぐれ。那須玲に恋して、飽きて。代わりに奈良坂透に恋して、恋愛ごっこが始まった。
その恋愛ごっこが、春日井の運命を変えることになる。
今では、奈良坂のことを愛している春日井。感情制御を解いても残る、彼への想い。決して消せない気持ち。
怖かった。過去を知られたら、嫌われてしまう。そう考えた。
「奈良坂、おれの噂とか、過去とか聞いたことある?」
「俺は、隣にいる春日井のことしか知らない。それでいい」
「……ありがとう」
知ってるんだろうな。サークルクラッシャーみたいだったおれのこと。
「心配するな。春日井は変わったんだろう?」
「うん。君のせいだよ」
冗談めかして言った。
奈良坂は、春日井の頭を撫でる。
春日井は、たまらず奈良坂を抱き締めた。
「大好きだよ」
「ああ、俺もだ」
「ずっと一緒にいてくれなきゃ嫌だ」
「傍にいる」
本心からのワガママを受け入れてくれて、嬉しい。
「この前、秋津隊のみんながいるところで、感情制御を解いたんだ。それでも、みんなのことは好きだった」
「よかったな」
「うん。おれは、幸せ者だね」
秋津隊は、みんな何かを抱えている。それは、澪川四季が考えている通り。
隊長、秋津豊久は、母の死を。
夏海恭一は、幼馴染みの喪失を。
春日井香介は、重たい罪を。
冷泉冬樹は、悲しい別れを。
そんな過去があり、現在がある。
みんな、未来のために前に進んでいた。
「秋津隊は、おれの大切な居場所のひとつなんだ。だから、おれは頑張れる。応援、よろしくね?」
「任せろ」
ふたりは笑い合って、唇を重ねる。
昼下がりの、静かな部屋でのことだった。