私という一頁の物語
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ドラゴンだから、いらなくなった物を売るということがない。いらない物なんてない。財宝を巣に貯め込み続けている。
私は、そういうオタク。
ボーダー本部内の売店で、食玩を見ながらそんなことを考えている。
小さな犬のフィギュア、欲しい。ポメラニアンのやつ。
箱を手に取り、眺めていると、声をかけられた。
「砂子さん、こんにちは」
「こんにちは、歌川くん」
歌川遼くんは、私の手にあるポメラニアンに視線をやる。
「砂子さんって、犬派ですか?」
「いや、生物は、だいたいみんな好きだよ。ただ、犬を飼うなら、白いポメラニアンがいいなって」
「なるほど。オレは、犬が好きなんですよ」
「そうなんだ」
なんとなく、大型犬と戯れてる歌川くんが脳内再生された。似合う。
「買うんですか? それ」
「買う」
ドラゴンだから仕方ない。
物で言うなら、私はすでに、ハチワレ猫とハスキー犬の双子と羊と兎とモルモットを飼っている。
会計を済ませ、歌川くんがいる栄養補助ゼリーの棚の前へ行く。
「歌川くん、最近の調子は?」
「いいですよ。冬至が過ぎてからは、動きやすくなりましたね」
「そっか。よかった」
「そういえば、砂子さん、バレンタインにたくさんチョコもらってましたよね」
「ああ、うん。女子からね」
ホワイトデーにお返しをするつもり。
「砂子さん、ハロウィンにお菓子配るのに、チョコは配らないんですね」
「チョコレートは、私の一番好きなお菓子だから、人にあげてる余裕がなくて」
そう嘯くと、歌川くんに笑われた。
本当はね、バレンタインデーに嫌な思い出があるんだよ。学生時代、親友と思ってた子に、手作りチョコレートとしての質が低いものを渡されたんだ。その子、手の込んでるものも用意していて、私にそれは与えられなかった。今でも恨んでる。
私はいつも、優先順位が低い友人だった。色んな人に、それをやられた。
「どんなチョコが好きなんですか?」
「ピスタチオがゴロゴロ入ってるやつ」
「へぇ。ピスタチオ好きなんですね」
「うん。ピスタチオ味のものは買っちゃうねぇ」
雑談もそこそこに、私たちは別れる。
私はいつも、優先されない。
カウンセリングルームへの道すがら、考えた。
私が一番大切に想う人の一番になったことは、ほとんどない。一番にしてくれた人は、元カレだが、喧嘩別れした。
だから、私はもう、孤高の存在になるしかない。
私は、自己肯定感が高い性質だし、ひとりには慣れている。
自己評価の低さから目を背けて、カウンセリングルームのデスクの上に、ポメラニアンを飾った。
私は、そういうオタク。
ボーダー本部内の売店で、食玩を見ながらそんなことを考えている。
小さな犬のフィギュア、欲しい。ポメラニアンのやつ。
箱を手に取り、眺めていると、声をかけられた。
「砂子さん、こんにちは」
「こんにちは、歌川くん」
歌川遼くんは、私の手にあるポメラニアンに視線をやる。
「砂子さんって、犬派ですか?」
「いや、生物は、だいたいみんな好きだよ。ただ、犬を飼うなら、白いポメラニアンがいいなって」
「なるほど。オレは、犬が好きなんですよ」
「そうなんだ」
なんとなく、大型犬と戯れてる歌川くんが脳内再生された。似合う。
「買うんですか? それ」
「買う」
ドラゴンだから仕方ない。
物で言うなら、私はすでに、ハチワレ猫とハスキー犬の双子と羊と兎とモルモットを飼っている。
会計を済ませ、歌川くんがいる栄養補助ゼリーの棚の前へ行く。
「歌川くん、最近の調子は?」
「いいですよ。冬至が過ぎてからは、動きやすくなりましたね」
「そっか。よかった」
「そういえば、砂子さん、バレンタインにたくさんチョコもらってましたよね」
「ああ、うん。女子からね」
ホワイトデーにお返しをするつもり。
「砂子さん、ハロウィンにお菓子配るのに、チョコは配らないんですね」
「チョコレートは、私の一番好きなお菓子だから、人にあげてる余裕がなくて」
そう嘯くと、歌川くんに笑われた。
本当はね、バレンタインデーに嫌な思い出があるんだよ。学生時代、親友と思ってた子に、手作りチョコレートとしての質が低いものを渡されたんだ。その子、手の込んでるものも用意していて、私にそれは与えられなかった。今でも恨んでる。
私はいつも、優先順位が低い友人だった。色んな人に、それをやられた。
「どんなチョコが好きなんですか?」
「ピスタチオがゴロゴロ入ってるやつ」
「へぇ。ピスタチオ好きなんですね」
「うん。ピスタチオ味のものは買っちゃうねぇ」
雑談もそこそこに、私たちは別れる。
私はいつも、優先されない。
カウンセリングルームへの道すがら、考えた。
私が一番大切に想う人の一番になったことは、ほとんどない。一番にしてくれた人は、元カレだが、喧嘩別れした。
だから、私はもう、孤高の存在になるしかない。
私は、自己肯定感が高い性質だし、ひとりには慣れている。
自己評価の低さから目を背けて、カウンセリングルームのデスクの上に、ポメラニアンを飾った。