煙シリーズ
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クリスマスが近付いてくる。
第一次近界民侵攻で行方不明になった父母は、季節の行事や記念日を大切にする人たちで、よく凝った料理をふたりで作っていた。
そんな両親がいなくなり、ミョウジ家は積極的に何かを祝うことがなくなっている。
“ナマエ、誕生日おめでとう!”
“ナマエ、メリークリスマス!”
“ナマエ、明けましておめでとう!”
ふたりの声を、まだ思い出せることに安心した。
12月は、寒くて、もの悲しくて、寂しい。
「ミョウジ」
「ん?」
ひとりきりだった喫煙室に、諏訪がやって来た。
「クリスマス、飲み会来るか?」
「行っていいなら…………」
オレは、服薬の関係で酒が飲めない。そんな自分が行ってもいいんだろうか。
「いいに決まってんだろ」
「……ありがとう」
いつもみたいに上手く笑えなくて、オレは困った。
「じゃ、いつものメンツで、いつもの場所な」
「了解」
諏訪と風間くんと木崎くんと寺島くんと、居酒屋ね。
なあ、諏訪。オレがおまえのこと好きだって言ったら、どうする?
まあ、言えないな。貝のように黙ってしまう。
諏訪洸太郎に片想いをして、2年近く経つ。
ずっと、おまえを祟ってる。世界を呪ってる。
悪い人間になったもんだ。両親に顔向け出来ないな。
「ミョウジ。なんか欲しいもんあるか?」
「は……?」
「クリスマスプレゼント」
「なんで?」
「日頃の感謝?」
テキトー言うなよ。オレのが世話になりっぱなしじゃねぇか。
「なんでもいいよ」
おまえからもらえるなら、なんでも嬉しい。
「それじゃ、困るだろ」
「じゃあさ、本を一冊選んで贈り合うってのは?」
「いいぜ」
諏訪は、ニヤッと笑った。絶対、推理小説くるなぁ。
オレは、哲学書贈るから、人のこと言えないけど。
吸い終えた煙草を、灰皿に押し付けた。
そして、クリスマス飲み会当日。
「ほらよ」
「ありがと。はい」
「サンキュー」
お互いにプレゼントを渡す。
諏訪は、オレでも知ってる有名な探偵の小説をくれた。
オレがやったのは、キケロの「友情について」だ。
友情を抱いてるのも、オレの真実なんだよ。
だから、それを選んだ。
冬でも、オレの恋の炎は消えることなく、煙を立ち上らせている。火元は見なくていい。オレが吐く煙たい言葉の先は、知らなくていい。
いつか、おまえがオレの隠し事に気付く日がくるのかなぁ?
悪い子にもプレゼントをくれるおまえは、お人好しだ。
第一次近界民侵攻で行方不明になった父母は、季節の行事や記念日を大切にする人たちで、よく凝った料理をふたりで作っていた。
そんな両親がいなくなり、ミョウジ家は積極的に何かを祝うことがなくなっている。
“ナマエ、誕生日おめでとう!”
“ナマエ、メリークリスマス!”
“ナマエ、明けましておめでとう!”
ふたりの声を、まだ思い出せることに安心した。
12月は、寒くて、もの悲しくて、寂しい。
「ミョウジ」
「ん?」
ひとりきりだった喫煙室に、諏訪がやって来た。
「クリスマス、飲み会来るか?」
「行っていいなら…………」
オレは、服薬の関係で酒が飲めない。そんな自分が行ってもいいんだろうか。
「いいに決まってんだろ」
「……ありがとう」
いつもみたいに上手く笑えなくて、オレは困った。
「じゃ、いつものメンツで、いつもの場所な」
「了解」
諏訪と風間くんと木崎くんと寺島くんと、居酒屋ね。
なあ、諏訪。オレがおまえのこと好きだって言ったら、どうする?
まあ、言えないな。貝のように黙ってしまう。
諏訪洸太郎に片想いをして、2年近く経つ。
ずっと、おまえを祟ってる。世界を呪ってる。
悪い人間になったもんだ。両親に顔向け出来ないな。
「ミョウジ。なんか欲しいもんあるか?」
「は……?」
「クリスマスプレゼント」
「なんで?」
「日頃の感謝?」
テキトー言うなよ。オレのが世話になりっぱなしじゃねぇか。
「なんでもいいよ」
おまえからもらえるなら、なんでも嬉しい。
「それじゃ、困るだろ」
「じゃあさ、本を一冊選んで贈り合うってのは?」
「いいぜ」
諏訪は、ニヤッと笑った。絶対、推理小説くるなぁ。
オレは、哲学書贈るから、人のこと言えないけど。
吸い終えた煙草を、灰皿に押し付けた。
そして、クリスマス飲み会当日。
「ほらよ」
「ありがと。はい」
「サンキュー」
お互いにプレゼントを渡す。
諏訪は、オレでも知ってる有名な探偵の小説をくれた。
オレがやったのは、キケロの「友情について」だ。
友情を抱いてるのも、オレの真実なんだよ。
だから、それを選んだ。
冬でも、オレの恋の炎は消えることなく、煙を立ち上らせている。火元は見なくていい。オレが吐く煙たい言葉の先は、知らなくていい。
いつか、おまえがオレの隠し事に気付く日がくるのかなぁ?
悪い子にもプレゼントをくれるおまえは、お人好しだ。