一頁のおまけ
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無感情な焦げ茶色の瞳が、俺を見つめている。
その目が、俺は好きだった。ガラス玉みたいで、そうじゃないところが。
「砂子さんって、なんで砂子さんなんだ?」
「どういうこと?」
「なんで名前で呼ばせんのかなって」
「苗字が呼びづらいから」
それは、前に聞いたけど。
「他にも理由ねーの?」
「親しんでほしいから」
「なるほど」
隣人みたいになった方が話しやすいからか。
邪悪な妖精っぽい。
「当真くんは、優しいよね。私なんかの心配して」
「んなことねーよ」
真っ直ぐこっちを見る目。少しだけ、ばつが悪い。
気付かれたらダメだ。俺の気持ち。
メンドクサイ人間関係を、きっと、あんたは望まない。
「砂子さんって恋人いねーんだって?」
「うん」
「いたことは?」
「ひとりだけ。ずっと探してた運命の人だと思ってたけど、結局切っちゃった」
恐ろしいことを聞いた。この人に切られたら、たまったもんじゃない。
「どうして切ったんですか?」
「私の努力と向こうの努力が、釣り合ってなかったからかなぁ。そういうのムカつくんだよね」
努力。好きで居続けるための努力?
「結婚したいって言われてたんだけどねぇ」
「…………」
よかった。砂子さんが結婚しなくて。既婚者だと、また別の壁が出来ちまうからな。
「今は、どう思ってる?」
「秘密」
人の悪い笑みを浮かべている。死んでほしそうだ。
砂子さんって、底意地悪そうだし、粘着質で根に持つタイプだろうしな。
「元恋人ってどんな奴?」
「元カレは、ナルシストで自慢話が好きで、頼んでないのに、上から目線のアドバイスをしてくるような奴だったよ」
「……いいところは?」
「今考えると、ないかな。なんか、ずっとケアさせられてたなぁ」
最悪じゃねーか。なんでそれが“運命の人”だと思ったんだ?
「でも、私が泣きたい時に助けてくれたのが、彼だったんだよね。ま、もう恩は感じてないけど」
いつも、ひとりで泣いてんだろうな。
人が好きで、人が煩わしくて。人を助けたくて、自分を助けたい。
一体、どこまで探れば、砂子さんの深層に辿り着くんだろう? 底知れない。
また、あの目が俺の目を見てる。
「当真くんは、私を助けなくていいからね」
「…………」
善意で嫌なことを言われた。
あんたのことは、俺が救いたいってのに。
「砂子さん」
「なに?」
「ひとりでいられなかったり、ひとりで行けないとこがあったりしたら、俺を呼べよ」
「……うん。ありがとう」
薄く笑う顔は、やっぱりどこか無機質で、機械みたいだった。
もっと、泣いたり怒ったりしてほしい。
その目が、俺は好きだった。ガラス玉みたいで、そうじゃないところが。
「砂子さんって、なんで砂子さんなんだ?」
「どういうこと?」
「なんで名前で呼ばせんのかなって」
「苗字が呼びづらいから」
それは、前に聞いたけど。
「他にも理由ねーの?」
「親しんでほしいから」
「なるほど」
隣人みたいになった方が話しやすいからか。
邪悪な妖精っぽい。
「当真くんは、優しいよね。私なんかの心配して」
「んなことねーよ」
真っ直ぐこっちを見る目。少しだけ、ばつが悪い。
気付かれたらダメだ。俺の気持ち。
メンドクサイ人間関係を、きっと、あんたは望まない。
「砂子さんって恋人いねーんだって?」
「うん」
「いたことは?」
「ひとりだけ。ずっと探してた運命の人だと思ってたけど、結局切っちゃった」
恐ろしいことを聞いた。この人に切られたら、たまったもんじゃない。
「どうして切ったんですか?」
「私の努力と向こうの努力が、釣り合ってなかったからかなぁ。そういうのムカつくんだよね」
努力。好きで居続けるための努力?
「結婚したいって言われてたんだけどねぇ」
「…………」
よかった。砂子さんが結婚しなくて。既婚者だと、また別の壁が出来ちまうからな。
「今は、どう思ってる?」
「秘密」
人の悪い笑みを浮かべている。死んでほしそうだ。
砂子さんって、底意地悪そうだし、粘着質で根に持つタイプだろうしな。
「元恋人ってどんな奴?」
「元カレは、ナルシストで自慢話が好きで、頼んでないのに、上から目線のアドバイスをしてくるような奴だったよ」
「……いいところは?」
「今考えると、ないかな。なんか、ずっとケアさせられてたなぁ」
最悪じゃねーか。なんでそれが“運命の人”だと思ったんだ?
「でも、私が泣きたい時に助けてくれたのが、彼だったんだよね。ま、もう恩は感じてないけど」
いつも、ひとりで泣いてんだろうな。
人が好きで、人が煩わしくて。人を助けたくて、自分を助けたい。
一体、どこまで探れば、砂子さんの深層に辿り着くんだろう? 底知れない。
また、あの目が俺の目を見てる。
「当真くんは、私を助けなくていいからね」
「…………」
善意で嫌なことを言われた。
あんたのことは、俺が救いたいってのに。
「砂子さん」
「なに?」
「ひとりでいられなかったり、ひとりで行けないとこがあったりしたら、俺を呼べよ」
「……うん。ありがとう」
薄く笑う顔は、やっぱりどこか無機質で、機械みたいだった。
もっと、泣いたり怒ったりしてほしい。