私という一頁の物語
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闘う覚悟とは、どこから来るんだろう?
私は、いつも逃げてきたから。よく分からない。
「葉子に、指揮を任されたんですけど、全然上手くいかなくて……オレ…………」
若村麓郎くんは、俯き、ぎゅっと両手を握っている。
「でも、君が指揮をすることは、またあるかもしれないね」
「そう、ですかね?」
「うん。その時がきたら、どうするか。考えておくといいと思うよ。反省点を洗い出して、次はもっと上手く出来るようにしたらいい」
「そうですね…………」
「若村くん。過去は、消えない。経験として活かすしかないんだ」
過去は、未来のためにある。私は、そう思って生きてきた。
過去は、いつまでも背後にある。今は、瞬く間に過ぎていく。未来を輝かせるのは、自分。これが、私が学んだこと。
君に、少しだけ先に生まれた経験を手渡せたらいい。それが、私の役割。
「人ひとりに与えられた選択肢は、膨大だ。ろくに情報がないまま、決断を迫られることは、ままあることだ。悔いのない選択が出来るといいね」
「はい。オレは、もう後悔したくありません」
視線をこちらに向け、彼は力強い目をした。
それを見て、胸を撫で下ろす。
私は、紅茶を一口飲んだ。
若村くんは、マドレーヌと紅茶を口にする。
しばらくして、ぽつりと質問された。
「砂子さんって、いつも冷静ですよね」
「いや、顔に出ないだけだよ」
「そうなんですか?」
「内心、焦ったり、怖かったりすることはある」
「意外ですね」
私は、昔からそう。表情があまり変わらないだけ。
「どういう時、焦るんですか?」
「欲しいものの通販競争してる時かな」
「怖い時は?」
「通帳記入する時」
「はは。あ、すいません」
「笑っていいところだよ」
万年金欠のオタクなんだよな。物理書籍やブルーレイやぬいぐるみやフィギュアやアクリルの板が、増え続けている。
カウンセリングの終了時間がきた。
「私は、逃げてばかりの人間だけど、君たちの手助けをすることからは逃げないから。いつでもおいで」
「はい。ありがとうございました」
若村くんを、見送る。
いつまで、カウンセラーでいられるんだろう? あと何年? 10年先も、私は潰れずにいるだろうか?
「分かんないなぁ」
精神的支柱を、何度折られたことだろう。癒えない傷を、何度つけられたことだろう。失敗を、何度重ねたことだろう。
それでも、命があるうちは、この役目を果たすつもりだ。
しょうがないよね。どうしようもないよね。
私は、やるしかないんだ。
私は、いつも逃げてきたから。よく分からない。
「葉子に、指揮を任されたんですけど、全然上手くいかなくて……オレ…………」
若村麓郎くんは、俯き、ぎゅっと両手を握っている。
「でも、君が指揮をすることは、またあるかもしれないね」
「そう、ですかね?」
「うん。その時がきたら、どうするか。考えておくといいと思うよ。反省点を洗い出して、次はもっと上手く出来るようにしたらいい」
「そうですね…………」
「若村くん。過去は、消えない。経験として活かすしかないんだ」
過去は、未来のためにある。私は、そう思って生きてきた。
過去は、いつまでも背後にある。今は、瞬く間に過ぎていく。未来を輝かせるのは、自分。これが、私が学んだこと。
君に、少しだけ先に生まれた経験を手渡せたらいい。それが、私の役割。
「人ひとりに与えられた選択肢は、膨大だ。ろくに情報がないまま、決断を迫られることは、ままあることだ。悔いのない選択が出来るといいね」
「はい。オレは、もう後悔したくありません」
視線をこちらに向け、彼は力強い目をした。
それを見て、胸を撫で下ろす。
私は、紅茶を一口飲んだ。
若村くんは、マドレーヌと紅茶を口にする。
しばらくして、ぽつりと質問された。
「砂子さんって、いつも冷静ですよね」
「いや、顔に出ないだけだよ」
「そうなんですか?」
「内心、焦ったり、怖かったりすることはある」
「意外ですね」
私は、昔からそう。表情があまり変わらないだけ。
「どういう時、焦るんですか?」
「欲しいものの通販競争してる時かな」
「怖い時は?」
「通帳記入する時」
「はは。あ、すいません」
「笑っていいところだよ」
万年金欠のオタクなんだよな。物理書籍やブルーレイやぬいぐるみやフィギュアやアクリルの板が、増え続けている。
カウンセリングの終了時間がきた。
「私は、逃げてばかりの人間だけど、君たちの手助けをすることからは逃げないから。いつでもおいで」
「はい。ありがとうございました」
若村くんを、見送る。
いつまで、カウンセラーでいられるんだろう? あと何年? 10年先も、私は潰れずにいるだろうか?
「分かんないなぁ」
精神的支柱を、何度折られたことだろう。癒えない傷を、何度つけられたことだろう。失敗を、何度重ねたことだろう。
それでも、命があるうちは、この役目を果たすつもりだ。
しょうがないよね。どうしようもないよね。
私は、やるしかないんだ。