煙シリーズ
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映画を見ていると、不意に男女のベッドシーンになることがある。
俺の恋人のミョウジナマエは、それが苦手だ。そのことを知ったのは、いつだったか。恋人になる前だったな、確か。アイツ、途中でトイレ行って吐いたんだよな。
“同性愛は注意書きされんのに、異性愛はされねぇの、オレは納得してねぇぞ”
“呪ってやる”
“傲慢なマジョリティどもは、みんな呪ってやる”
ナマエの怨嗟の声。よく覚えてる。
それが、今では。
「うわっ。洸太郎、終わったら教えて」
「おう」
ナマエは、目を閉じ、耳を塞いだ。
例のシーンが終わったら、ナマエの腕に触れる。
「はぁ。ありがとな」
再び映画を見るナマエ。
「気にすんな」
完全に俺を信頼してるとこが、嬉しいし、可愛い。
映画を見終わると、ふたりで感想を言い合った。
「ラブシーンがいらない。なんなら、サブプロットの恋愛ごといらない。マイナス5億点」
「アクションが良かった。加点」
ナマエは、よくバカデカい数字を口にする。俺のことは、無限に好きらしい。
「アクションは良かったけど~。ストーリーが雑っていうか、テンプレ的っていうか」
「まーな。次見ようぜ。おまえが見たいって言ってた、ゾンビのやつ」
「オーケー」
リモコンを操作し、ゾンビアポカリプスが流れ出す。
「オレがゾンビになったらさぁ」
「あ?」
「地下室とかで飼ってよ」
「いや、トドメ刺して焼く」
「埋葬は?」
「するし、ずっと側にいる」
「じゃあ、いいよ」
いいのか。
ナマエは、俺の手を握ってから、テレビ画面に集中した。
横目で窺っていると、楽しそうにしていて、俺は安心する。
「あはは」
ずっと、おまえが笑っていられたらいいのに。
◆◆◆
夜中。隣で眠るナマエは、涙を流している。
それを、そっと指で拭う。
「きらいだ……みんな…………」
ナマエは、うなされて言った。
ああ、そうだったな。おまえは、みんなが嫌いだった。もちろん、俺も。
「たすけて…………」
「ナマエ、起きろ」
頬を撫でる。
「……あ」
「うなされてた」
「ごめん…………」
「謝るなよ」
「ごめんなさい……」
ナマエは、口元を手で押さえて、ベッドから降りた。そして、足早にトイレへ向かう。
吐いてるんだろうな。きっと、アイツの叔母が夢に出てきたんだ。アイツに“異常者”のレッテルを貼った、呪いの元凶。
口をすすぎ、顔を洗って、水を飲んでから、ナマエは戻って来る。
「大丈夫か?」
「あんまり……」
「どうしてほしい?」
「抱き締めてほしい」
「ん」
両手を広げると、ナマエが飛び込んで来た。
「洸太郎。愛してるから、置いて行かないで」
「愛してるから、置いて行かねーよ」
ちゃんと、「助けて」が言えるようになったおまえを、俺は助け続けたい。
「たまに、頭の中で言われるんだ。おまえが諏訪洸太郎のことも普通じゃなくしたって」
「んなこと言う奴は叩き出せ」
「……うん」
「心配すんな。おまえは、普通過ぎる奴だよ」
「うん……」
この男の生涯を、俺が幸せなものにしてやる。
ナマエは、前に、俺に与えられるものがないと言っていたが、そんなことはない。
おまえは、俺の炎 だから。
俺の恋人のミョウジナマエは、それが苦手だ。そのことを知ったのは、いつだったか。恋人になる前だったな、確か。アイツ、途中でトイレ行って吐いたんだよな。
“同性愛は注意書きされんのに、異性愛はされねぇの、オレは納得してねぇぞ”
“呪ってやる”
“傲慢なマジョリティどもは、みんな呪ってやる”
ナマエの怨嗟の声。よく覚えてる。
それが、今では。
「うわっ。洸太郎、終わったら教えて」
「おう」
ナマエは、目を閉じ、耳を塞いだ。
例のシーンが終わったら、ナマエの腕に触れる。
「はぁ。ありがとな」
再び映画を見るナマエ。
「気にすんな」
完全に俺を信頼してるとこが、嬉しいし、可愛い。
映画を見終わると、ふたりで感想を言い合った。
「ラブシーンがいらない。なんなら、サブプロットの恋愛ごといらない。マイナス5億点」
「アクションが良かった。加点」
ナマエは、よくバカデカい数字を口にする。俺のことは、無限に好きらしい。
「アクションは良かったけど~。ストーリーが雑っていうか、テンプレ的っていうか」
「まーな。次見ようぜ。おまえが見たいって言ってた、ゾンビのやつ」
「オーケー」
リモコンを操作し、ゾンビアポカリプスが流れ出す。
「オレがゾンビになったらさぁ」
「あ?」
「地下室とかで飼ってよ」
「いや、トドメ刺して焼く」
「埋葬は?」
「するし、ずっと側にいる」
「じゃあ、いいよ」
いいのか。
ナマエは、俺の手を握ってから、テレビ画面に集中した。
横目で窺っていると、楽しそうにしていて、俺は安心する。
「あはは」
ずっと、おまえが笑っていられたらいいのに。
◆◆◆
夜中。隣で眠るナマエは、涙を流している。
それを、そっと指で拭う。
「きらいだ……みんな…………」
ナマエは、うなされて言った。
ああ、そうだったな。おまえは、みんなが嫌いだった。もちろん、俺も。
「たすけて…………」
「ナマエ、起きろ」
頬を撫でる。
「……あ」
「うなされてた」
「ごめん…………」
「謝るなよ」
「ごめんなさい……」
ナマエは、口元を手で押さえて、ベッドから降りた。そして、足早にトイレへ向かう。
吐いてるんだろうな。きっと、アイツの叔母が夢に出てきたんだ。アイツに“異常者”のレッテルを貼った、呪いの元凶。
口をすすぎ、顔を洗って、水を飲んでから、ナマエは戻って来る。
「大丈夫か?」
「あんまり……」
「どうしてほしい?」
「抱き締めてほしい」
「ん」
両手を広げると、ナマエが飛び込んで来た。
「洸太郎。愛してるから、置いて行かないで」
「愛してるから、置いて行かねーよ」
ちゃんと、「助けて」が言えるようになったおまえを、俺は助け続けたい。
「たまに、頭の中で言われるんだ。おまえが諏訪洸太郎のことも普通じゃなくしたって」
「んなこと言う奴は叩き出せ」
「……うん」
「心配すんな。おまえは、普通過ぎる奴だよ」
「うん……」
この男の生涯を、俺が幸せなものにしてやる。
ナマエは、前に、俺に与えられるものがないと言っていたが、そんなことはない。
おまえは、俺の