A級9位!秋津隊
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
あれから、冷泉冬樹と水上敏志は、一言も口を利いていない。
冷泉は、友情が壊れてしまったと思った。それでも、あの時の自分の選択は間違っていないと。そう思う。
水上と話さなくても、日常は続いていく。冷泉は、男子となら誰とでも話せるし、特に何も困らない。時は、さらさらと流れていく。
そんな彼の様子がおかしいことに、影浦雅人は気付いていた。
「ふゆ、おまえ、なんかあったのか?」
「水上と喧嘩……したかな…………」
「へぇ。珍しいな、おまえが人と喧嘩なんて」
「僕は、どうすればいいんだろう?」
「どうせ、アイツがやらかしたんだろ?」
「どうかな…………」
そんな会話をした、数日後。
冷泉は、生駒隊の作戦室へ、水上に会いに行った。
「水上。話がある」
「説教なら、いらんで」
「そんなつもりはないよ」
「…………」
ふたりで、人気のない場所へ向かう。
廊下の片隅で、仲違いした親友と対峙する冷泉。
「僕は、水上と一緒にいられないのは嫌だ」
「なんで?」
「親友だから」
「……冷泉は、誰とでも仲良うやれるやろ」
「そこに水上がいないと、僕は息苦しいままだ」
一瞬、水上は冷泉の前髪に隠された目の方を見た。頬に、涙が伝っている。
「泣くほどなん?」
「ばか。人間は、将棋の駒じゃないんだよ、水上」
「分かっとるわ。分かっとるんやけどなぁ……」
水上は、少し俯き、溜め息をついた。
「冷泉を泣かすつもりなんて、なかったんや。ほんまに。ただ、俺は、誰も損をせんようにって思って……それだけやったんや……」
「僕は、水上の提案を呑んだ。だから、僕も悪い。すぐに止めるべきだった。ごめん」
「……悪かった。すまん、冷泉」
冷泉は、そっと片手を差し出す。
「これからも、僕と一緒にいてほしい」
「ああ」
ふたりは、握手をした。
全てが元通りとはいかないけれど、友情は失われない。そのことが、冷泉は嬉しかった。
その後。
冷泉と水上は、以前のようにふたりで過ごすことが増えた。落語を見たり、将棋を指したり、他愛ない話をしたり。
しかし、冷泉の中で、あの仮説は消えていない。
僕は、水上のことが好きなのか? 分からない。
傷付いた鯨は、恋愛に臆病で、その定義すら理解出来ていなかった。
けれど、構わない。この友情を大切に抱えて、自分は生きていく。それでいいと、冷泉は思った。
いつか、僕の目を見たら、水上にも嫌われるのかな……?
そんな、気にしても仕方ないことを、時々考えてしまう冷泉冬樹だった。
冷泉は、友情が壊れてしまったと思った。それでも、あの時の自分の選択は間違っていないと。そう思う。
水上と話さなくても、日常は続いていく。冷泉は、男子となら誰とでも話せるし、特に何も困らない。時は、さらさらと流れていく。
そんな彼の様子がおかしいことに、影浦雅人は気付いていた。
「ふゆ、おまえ、なんかあったのか?」
「水上と喧嘩……したかな…………」
「へぇ。珍しいな、おまえが人と喧嘩なんて」
「僕は、どうすればいいんだろう?」
「どうせ、アイツがやらかしたんだろ?」
「どうかな…………」
そんな会話をした、数日後。
冷泉は、生駒隊の作戦室へ、水上に会いに行った。
「水上。話がある」
「説教なら、いらんで」
「そんなつもりはないよ」
「…………」
ふたりで、人気のない場所へ向かう。
廊下の片隅で、仲違いした親友と対峙する冷泉。
「僕は、水上と一緒にいられないのは嫌だ」
「なんで?」
「親友だから」
「……冷泉は、誰とでも仲良うやれるやろ」
「そこに水上がいないと、僕は息苦しいままだ」
一瞬、水上は冷泉の前髪に隠された目の方を見た。頬に、涙が伝っている。
「泣くほどなん?」
「ばか。人間は、将棋の駒じゃないんだよ、水上」
「分かっとるわ。分かっとるんやけどなぁ……」
水上は、少し俯き、溜め息をついた。
「冷泉を泣かすつもりなんて、なかったんや。ほんまに。ただ、俺は、誰も損をせんようにって思って……それだけやったんや……」
「僕は、水上の提案を呑んだ。だから、僕も悪い。すぐに止めるべきだった。ごめん」
「……悪かった。すまん、冷泉」
冷泉は、そっと片手を差し出す。
「これからも、僕と一緒にいてほしい」
「ああ」
ふたりは、握手をした。
全てが元通りとはいかないけれど、友情は失われない。そのことが、冷泉は嬉しかった。
その後。
冷泉と水上は、以前のようにふたりで過ごすことが増えた。落語を見たり、将棋を指したり、他愛ない話をしたり。
しかし、冷泉の中で、あの仮説は消えていない。
僕は、水上のことが好きなのか? 分からない。
傷付いた鯨は、恋愛に臆病で、その定義すら理解出来ていなかった。
けれど、構わない。この友情を大切に抱えて、自分は生きていく。それでいいと、冷泉は思った。
いつか、僕の目を見たら、水上にも嫌われるのかな……?
そんな、気にしても仕方ないことを、時々考えてしまう冷泉冬樹だった。