私という一頁の物語
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林藤陽太郎くんが、ボーダー本部に遊びに来ていた。
「あ! すなこさん!」
こちらに気付いて、駆けて来る。
「久し振り、陽太郎くん」
「およめさんこうほがふえたから、こんどつれてくる」
「うん。分かった」
誰だろう? 前は、ゆりさんを紹介されたけど。
そもそも、なんで私は、お嫁さん候補を紹介されてるんだ?
まあいいか。
「そうだ。お菓子持ってくる。待ってて」
「うむ」
カウンセリングルームに急いで戻り、三色のういろうを手にして、陽太郎くんの元へ向かった。
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
「じゃあ、またね」
「ばいばい」
それから、数日後。
「砂子さん」
「ん。おはよう、木虎さん」
「おはようございます」
カウンセリングルームへ入る前に、木虎藍さんに声をかけられた。
「どうかした?」
「あの、最近、なにか取引しませんでした?」
「はい?」
「その、交換というか……」
「あー。したね」
「っ!?」
特典のランダムポストカードが推しじゃなかったから、推しを引いた人と郵送交換したんだよね。
「それ、見せていただけませんか?」
「いいけど……今は持ってないよ……?」
「では、後日あらためて来ますので」
「うん……」
よく分からないままに、約束をした。
そして、後日。
仕事の合間に、カウンセリングルームに木虎さんを通し、座ってもらう。
「はい、これ」
「ありがとうございます」
スリーブに入れたポストカードを手渡した。
「えっ?」
「ん?」
「烏丸先輩のブロマイドじゃない!?」
「烏丸くんのブロマイドって何!?」
ふたりで、驚きの声を上げる。
「え、あの、二宮隊の隊服の烏丸先輩のブロマイドのことですけれど……」
「なにそれ!?」
木虎さんに詳しい話を聞くと、陽太郎くんが「一番美味しいお菓子をくれた人にあげる」と言った代物らしい。それは、あの日だった。私が、陽太郎くんに三色のういろうをあげた日。そのせいで、誰からか「現海砂子がブロマイドの現物を持っている」という噂が立ったようだ。
「私は持ってないよ!」
「そうでしたか……騒いでしまい、申し訳ありません……」
木虎さん、たぶんコレ、なんとかしてブロマイド手に入れるつもりだったな。
「こちら、お返しします」
「うん」
推しのポストカードを、鞄の中のクリアファイルにしまった。
「砂子さん、このことは内密にお願いします。噂については否定しておきますので」
頭を下げる木虎さん。
「うん。了解。墓まで持ってくよ」
言えないことなんて、山ほどあるし。ひとつやふたつ増えても問題ない。
墓の先には、地獄が待ってる。そこでも、私は声を上げないよ。
「あ! すなこさん!」
こちらに気付いて、駆けて来る。
「久し振り、陽太郎くん」
「およめさんこうほがふえたから、こんどつれてくる」
「うん。分かった」
誰だろう? 前は、ゆりさんを紹介されたけど。
そもそも、なんで私は、お嫁さん候補を紹介されてるんだ?
まあいいか。
「そうだ。お菓子持ってくる。待ってて」
「うむ」
カウンセリングルームに急いで戻り、三色のういろうを手にして、陽太郎くんの元へ向かった。
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
「じゃあ、またね」
「ばいばい」
それから、数日後。
「砂子さん」
「ん。おはよう、木虎さん」
「おはようございます」
カウンセリングルームへ入る前に、木虎藍さんに声をかけられた。
「どうかした?」
「あの、最近、なにか取引しませんでした?」
「はい?」
「その、交換というか……」
「あー。したね」
「っ!?」
特典のランダムポストカードが推しじゃなかったから、推しを引いた人と郵送交換したんだよね。
「それ、見せていただけませんか?」
「いいけど……今は持ってないよ……?」
「では、後日あらためて来ますので」
「うん……」
よく分からないままに、約束をした。
そして、後日。
仕事の合間に、カウンセリングルームに木虎さんを通し、座ってもらう。
「はい、これ」
「ありがとうございます」
スリーブに入れたポストカードを手渡した。
「えっ?」
「ん?」
「烏丸先輩のブロマイドじゃない!?」
「烏丸くんのブロマイドって何!?」
ふたりで、驚きの声を上げる。
「え、あの、二宮隊の隊服の烏丸先輩のブロマイドのことですけれど……」
「なにそれ!?」
木虎さんに詳しい話を聞くと、陽太郎くんが「一番美味しいお菓子をくれた人にあげる」と言った代物らしい。それは、あの日だった。私が、陽太郎くんに三色のういろうをあげた日。そのせいで、誰からか「現海砂子がブロマイドの現物を持っている」という噂が立ったようだ。
「私は持ってないよ!」
「そうでしたか……騒いでしまい、申し訳ありません……」
木虎さん、たぶんコレ、なんとかしてブロマイド手に入れるつもりだったな。
「こちら、お返しします」
「うん」
推しのポストカードを、鞄の中のクリアファイルにしまった。
「砂子さん、このことは内密にお願いします。噂については否定しておきますので」
頭を下げる木虎さん。
「うん。了解。墓まで持ってくよ」
言えないことなんて、山ほどあるし。ひとつやふたつ増えても問題ない。
墓の先には、地獄が待ってる。そこでも、私は声を上げないよ。