私という一頁の物語
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ああ。君、髪下ろすと、そうなるんだね。
そう思った次の瞬間、私はソファーの上で目を覚ました。
「あー…………」
明晰夢だったから。つまり、私は見たいものを見ていたということ。
そんなにか。まあ、見たいか。当真くんが髪下ろしたところ。
最近、頻繁にやり取りしてるし。記憶に残っているからだろう。
「はあ~」
どこでも眠れるが、疲れはする。溜め息をついて、私は起き上がった。
今日は、午後から休みで、予定がある。
スマホのカレンダーに、橘高さんと藤丸さんと感想会と書いてあるのを確認した。
午前中、仕事を済ませて、いつもの早足で帰宅する。
橘高羽矢さんと藤丸ののさんは、待ち合わせ時刻に私の家に来た。
「いらっしゃい、ふたりとも」
「お邪魔します」
ふたりをリビングに通し、座ってもらってから、紅茶を出す。
「では、始めますか」
「もう恒例だな」
橘高さんと藤丸さんが言う。
「はい、新刊読了のち感想会を始めます」と、私は厳粛に告げた。
3人で、共通の好きな漫画の新刊を取り出し、読み始める。
時々、誰かしらが「うわっ!」とか「ひー」とか「あーっ!?」とか声を上げるのを聴きつつ、ページをめくった。
「はぁ~。読み終わった?」
「はい」
「すげーとこで終わったなぁ」
「じゃあ、感想会のち考察会ということで」
「今回は、考察必要ですよね」
「おー」
まず、私が口を開く。
「推しがさぁ! 毎話カッコいいんだよなぁ!」
「分かります! 砂子さんの推し、最近ずっとそう!」
「たすけてほしい。すくわれたい」
「がんばってください!」
「しっかりしろ!」
「はい…………」
テーブルに突っ伏す私を、ふたりが鼓舞してくれた。
「橘高さんの推しもヤバかったよね……」
「あーっ! あのあのあの、ラストの、あの!」
「そうそう、あそこさぁ、前巻の伏線回収だよねぇ」
「泣きそう…………」
「もう泣いてるぞ、羽矢」
橘高さんに、箱ティッシュを渡す私。
「あたしは、熱い展開が来てるけど、そろそろ完結すんのかと思うと寂しいな」
「それ!」
「イヤ!」
綺麗に完結してほしい。一生終わらないでほしい。心が引き裂かれそう。
物語オタクのジレンマだな。
「美しく終わってほしいけど、一生寄り添ってほしいよ!」
「そうですよね! もう人生の一部なんですよ!」
「そうだよなー。完結したら、この会はどうする?」
「完結してから考えようよ、それは」
私は、頭を抱えながら返事をした。
まだ、別の漫画で続けようよとか、作者の新作でやろうよとか、そういう答えは出せない。
愛するものよ、美しい物語であれ。
そう思った次の瞬間、私はソファーの上で目を覚ました。
「あー…………」
明晰夢だったから。つまり、私は見たいものを見ていたということ。
そんなにか。まあ、見たいか。当真くんが髪下ろしたところ。
最近、頻繁にやり取りしてるし。記憶に残っているからだろう。
「はあ~」
どこでも眠れるが、疲れはする。溜め息をついて、私は起き上がった。
今日は、午後から休みで、予定がある。
スマホのカレンダーに、橘高さんと藤丸さんと感想会と書いてあるのを確認した。
午前中、仕事を済ませて、いつもの早足で帰宅する。
橘高羽矢さんと藤丸ののさんは、待ち合わせ時刻に私の家に来た。
「いらっしゃい、ふたりとも」
「お邪魔します」
ふたりをリビングに通し、座ってもらってから、紅茶を出す。
「では、始めますか」
「もう恒例だな」
橘高さんと藤丸さんが言う。
「はい、新刊読了のち感想会を始めます」と、私は厳粛に告げた。
3人で、共通の好きな漫画の新刊を取り出し、読み始める。
時々、誰かしらが「うわっ!」とか「ひー」とか「あーっ!?」とか声を上げるのを聴きつつ、ページをめくった。
「はぁ~。読み終わった?」
「はい」
「すげーとこで終わったなぁ」
「じゃあ、感想会のち考察会ということで」
「今回は、考察必要ですよね」
「おー」
まず、私が口を開く。
「推しがさぁ! 毎話カッコいいんだよなぁ!」
「分かります! 砂子さんの推し、最近ずっとそう!」
「たすけてほしい。すくわれたい」
「がんばってください!」
「しっかりしろ!」
「はい…………」
テーブルに突っ伏す私を、ふたりが鼓舞してくれた。
「橘高さんの推しもヤバかったよね……」
「あーっ! あのあのあの、ラストの、あの!」
「そうそう、あそこさぁ、前巻の伏線回収だよねぇ」
「泣きそう…………」
「もう泣いてるぞ、羽矢」
橘高さんに、箱ティッシュを渡す私。
「あたしは、熱い展開が来てるけど、そろそろ完結すんのかと思うと寂しいな」
「それ!」
「イヤ!」
綺麗に完結してほしい。一生終わらないでほしい。心が引き裂かれそう。
物語オタクのジレンマだな。
「美しく終わってほしいけど、一生寄り添ってほしいよ!」
「そうですよね! もう人生の一部なんですよ!」
「そうだよなー。完結したら、この会はどうする?」
「完結してから考えようよ、それは」
私は、頭を抱えながら返事をした。
まだ、別の漫画で続けようよとか、作者の新作でやろうよとか、そういう答えは出せない。
愛するものよ、美しい物語であれ。