私という一頁の物語
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廊下を歩いていると、香取葉子さんに呼び止められた。
「ちょっと、顔貸しなさいよ」
「ん? うん」
すたすた歩く彼女について行くと、人気のない廊下の端に着く。
「あんた、ズルしてない?」
「ズル?」
「夏頃、烏丸先輩とふたりで歩いてたでしょ?」
ふたりで、をめちゃくちゃ強調して言われた。
「あー。うん」
「ズルよね。ズルだわ。あんたは、大人で、カウンセラーだから、誰からも牽制されないものね」
なんか、烏丸くんを取り巻く権力闘争とかある?
「香取さん、私は、本当にただ、彼と歩いてただけだよ」
「隣を、歩いてたのよね?」
「まあ…………」
隣、を強調する彼女は、ずっと刺々しい。烏丸くんのこと、好きなのかな。
「アタシ、あんたのこと嫌いだわ」
「そう」
つい、いつもの調子で事実を受け止めてしまったのが、よくなかった。
「なによ! 余裕ぶって! ムカつく!」
香取さんは怒り、喚く。
「いやぁ、ちょっと驚いてる。謎の柄シャツ女の正体がバレたところで、なにも起きないと思ってたから」
「ふん。大人だからって見逃さないわよ」
「大人だからというか、ほんとに何もないんだよ。烏丸くんとは」
「とは? え?! 本命が別にいるの?!」
「いないいない。私は、あんまり恋愛はしないし。というか、烏丸くんが本命なワケないだろう。私は、子供は庇護すべきものと思ってるから」
「なぁんだ! まあ、それはそれとして? 隣を歩いたのは事実なワケだし? ムカつく」
「えー」
「えー、じゃないわよ!」
この年齢になっても、こういう嫌われ方ってされるもんなんだなぁ。
「せめて、デートしてから嫌ってほしかったな」
「デートする気なの!?」
「いや、少なくとも私からは誘わないよ。ただ、たまに、誘われるから。デートって言ってるのはおふざけだと思うけど」
「存在がズル!」
「存在が…………」
「アタシもカウンセラーやる!」
「無茶言わないで」
香取さんは、若干泣きながら、私の白衣を掴んで引っ張る。やめてほしい。
「カウンセラーになったって、烏丸くんに好かれるワケじゃないから」
「うぅ~!」
「ほらほら、君は、君らしくいればいいんだから」
なんとか、香取さんに、白衣から手を放してもらう。
恋をして、一喜一憂するのであろう彼女を見て、私は微笑ましく思っていた。
まるで、対岸の火事みたいに。
恋とは縁遠いものだと、呑気に考えていた。
「ちょっと、顔貸しなさいよ」
「ん? うん」
すたすた歩く彼女について行くと、人気のない廊下の端に着く。
「あんた、ズルしてない?」
「ズル?」
「夏頃、烏丸先輩とふたりで歩いてたでしょ?」
ふたりで、をめちゃくちゃ強調して言われた。
「あー。うん」
「ズルよね。ズルだわ。あんたは、大人で、カウンセラーだから、誰からも牽制されないものね」
なんか、烏丸くんを取り巻く権力闘争とかある?
「香取さん、私は、本当にただ、彼と歩いてただけだよ」
「隣を、歩いてたのよね?」
「まあ…………」
隣、を強調する彼女は、ずっと刺々しい。烏丸くんのこと、好きなのかな。
「アタシ、あんたのこと嫌いだわ」
「そう」
つい、いつもの調子で事実を受け止めてしまったのが、よくなかった。
「なによ! 余裕ぶって! ムカつく!」
香取さんは怒り、喚く。
「いやぁ、ちょっと驚いてる。謎の柄シャツ女の正体がバレたところで、なにも起きないと思ってたから」
「ふん。大人だからって見逃さないわよ」
「大人だからというか、ほんとに何もないんだよ。烏丸くんとは」
「とは? え?! 本命が別にいるの?!」
「いないいない。私は、あんまり恋愛はしないし。というか、烏丸くんが本命なワケないだろう。私は、子供は庇護すべきものと思ってるから」
「なぁんだ! まあ、それはそれとして? 隣を歩いたのは事実なワケだし? ムカつく」
「えー」
「えー、じゃないわよ!」
この年齢になっても、こういう嫌われ方ってされるもんなんだなぁ。
「せめて、デートしてから嫌ってほしかったな」
「デートする気なの!?」
「いや、少なくとも私からは誘わないよ。ただ、たまに、誘われるから。デートって言ってるのはおふざけだと思うけど」
「存在がズル!」
「存在が…………」
「アタシもカウンセラーやる!」
「無茶言わないで」
香取さんは、若干泣きながら、私の白衣を掴んで引っ張る。やめてほしい。
「カウンセラーになったって、烏丸くんに好かれるワケじゃないから」
「うぅ~!」
「ほらほら、君は、君らしくいればいいんだから」
なんとか、香取さんに、白衣から手を放してもらう。
恋をして、一喜一憂するのであろう彼女を見て、私は微笑ましく思っていた。
まるで、対岸の火事みたいに。
恋とは縁遠いものだと、呑気に考えていた。