クロスオーバー
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現海砂子は、自身を虫のように思っている。
人の心が分からないから。
しかし、砂子は虫が好きだ。機能美を備えていると考えている。だから、別に自身が虫でもよかった。
人は、砂子をこう呼んだ。「機械」「怪物」「化物」と。
どうでもいい人間たちには、どう思われても構わなかった。
そんな砂子の城、カウンセリングルームに、人が来る。本日のクライアントは、夏海恭一。
「こんにちは、夏海くん」
「こんにちは、砂子さん」
「さあ、かけて」
「はい」
お茶とお菓子を出される。
「久し振りだね」
「そうですねぇ」
夏海は、幼馴染みを亡くした直後、彼女の世話になっていた。
「なにか、困り事?」
「私は、自分のために生きています。家族や友達や仲間を守るために、ここにいます。御影くんと、約束したから」
「うん」
御影は、今は亡き彼の幼馴染みで、半身である。
「御影くんを喪ってから、私は新しく人と関わるのが怖かったです。また置いて行かれたら、どうしようって思って」
「そうだったね」
「でも、砂子さんが言った通り、私には新たに親友が出来ました。もちろん、御影くんの代わりじゃありません」
「当真くんだよね?」
「はい。勇くんは、私が人間らしくて好きだって言ってました」
「そう」
「砂子さんは、勇くんのこと、どう思いますか?」
「庇護すべき子供」
急な質問に、彼女のテンプレートな解答をした。
「そういうことじゃなくて。勇くんの性格とか、そういう部分を、どう思いますか?」
「んー? 強い子? 勉強はもう少しがんばった方がいいと思うかな」
「砂子さんは、勇くんに頼れますか?」
「え? えーと。頼るワケにはいかないけど」
夏海は、肩を落とす。「そうですか」と言い、緑茶を一口飲んだ。
「当真くんが、どうかしたの? 夏海くん」
「いえ、なんでもないです…………」
どう考えても、なんでもなくない。
砂子は、不思議に思った。しかし、その正体は分からない。
くるみゆべしを食べて、お茶を飲む。
「夏海くんは、当真くんに頼れるの?」
「はい。勇くんは、私に頼ってくれるから。助かります」
「なるほど」
頼られることに、頼っている。
夏海は、当真に、主に勉強に関して頼られているのであった。それが彼には、嬉しくて、ありがたい。
いつか、あなたが、勇くんの手を取ってくれたらいいのになぁ。私の親友の恋が実ればいいのになぁ。
夏海恭一は、当真勇の幸せを願った。
現海砂子は、彼を恋愛対象とは見なしていないけれど、未来のことは分からないから。
密やかに祈りを込めて、夏海は目の前の砂子を見つめた。
人の心が分からないから。
しかし、砂子は虫が好きだ。機能美を備えていると考えている。だから、別に自身が虫でもよかった。
人は、砂子をこう呼んだ。「機械」「怪物」「化物」と。
どうでもいい人間たちには、どう思われても構わなかった。
そんな砂子の城、カウンセリングルームに、人が来る。本日のクライアントは、夏海恭一。
「こんにちは、夏海くん」
「こんにちは、砂子さん」
「さあ、かけて」
「はい」
お茶とお菓子を出される。
「久し振りだね」
「そうですねぇ」
夏海は、幼馴染みを亡くした直後、彼女の世話になっていた。
「なにか、困り事?」
「私は、自分のために生きています。家族や友達や仲間を守るために、ここにいます。御影くんと、約束したから」
「うん」
御影は、今は亡き彼の幼馴染みで、半身である。
「御影くんを喪ってから、私は新しく人と関わるのが怖かったです。また置いて行かれたら、どうしようって思って」
「そうだったね」
「でも、砂子さんが言った通り、私には新たに親友が出来ました。もちろん、御影くんの代わりじゃありません」
「当真くんだよね?」
「はい。勇くんは、私が人間らしくて好きだって言ってました」
「そう」
「砂子さんは、勇くんのこと、どう思いますか?」
「庇護すべき子供」
急な質問に、彼女のテンプレートな解答をした。
「そういうことじゃなくて。勇くんの性格とか、そういう部分を、どう思いますか?」
「んー? 強い子? 勉強はもう少しがんばった方がいいと思うかな」
「砂子さんは、勇くんに頼れますか?」
「え? えーと。頼るワケにはいかないけど」
夏海は、肩を落とす。「そうですか」と言い、緑茶を一口飲んだ。
「当真くんが、どうかしたの? 夏海くん」
「いえ、なんでもないです…………」
どう考えても、なんでもなくない。
砂子は、不思議に思った。しかし、その正体は分からない。
くるみゆべしを食べて、お茶を飲む。
「夏海くんは、当真くんに頼れるの?」
「はい。勇くんは、私に頼ってくれるから。助かります」
「なるほど」
頼られることに、頼っている。
夏海は、当真に、主に勉強に関して頼られているのであった。それが彼には、嬉しくて、ありがたい。
いつか、あなたが、勇くんの手を取ってくれたらいいのになぁ。私の親友の恋が実ればいいのになぁ。
夏海恭一は、当真勇の幸せを願った。
現海砂子は、彼を恋愛対象とは見なしていないけれど、未来のことは分からないから。
密やかに祈りを込めて、夏海は目の前の砂子を見つめた。