クロスオーバー
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当真勇は、殺意を抱いていた。現海砂子というボーダーのカウンセラーに。
そんな当真の親友、夏海恭一は、彼の想いに“恋”と名付けた。
「砂子さんに、言わないの?」
「なにを?」
「好きですって」
「はは。言わねーよ。向こうに言わせる」
当真は、不敵な笑みを浮かべる。
当真勇のしたいことは、現海砂子という人間を余すことなく見ること。そのためだけに、彼女にちょっかいをかけている。
偶然、彼女のガラス細工の精神を見た。もっと見たい。
お守りを借りた。連絡先を交換した。デートをした。
その次は? まだ決めていない。
心臓を撃ち抜きたくて仕方ないが、我慢している。まだ早い。
「俺はいずれ、あの人を撃つ」
「そう…………」
強い殺意は、やはり恋に似ていた。頭の片隅に、いつも彼女がいる。
視線の先に、彼女がいる。そして、最高の瞬間を待っていた。“砂子さん”という皮が剥がれる時を待っている。
「恭一、砂子さんは、ろくでもない人間なんだ」
「そうなの?」
「ああ。ありゃ、相当ヤバい人間だぜ」
「私には、優しい人に見えるけど」
「優しい、ねぇ。あの人は、見返りのないことはしねーよ。それでも、優しいって言うのか?」
「つまり、砂子さんは、親切心から優しいんじゃないってこと?」
「そうだ。砂子さんは、エゴイストだよ」
エゴイスト。利己主義者。自分本位に生きている者。
「たまたま上手く噛み合ってるだけなんだよな。城戸さんと利害が一致してるだけなんだろうよ」
「そっかぁ」
夏海は、特別幻滅するでも、称賛するでもなく、事実として受け止めた。
「砂子さんも、我を貫き通してる人なんだねぇ」
「そうだな。俺は、そういう奴が好きだ」
天然で、ふわふわした空気を纏っていて。だけど、一本筋が通っている夏海を、当真は見た。
我を貫くという言葉を選んで使う夏海の頑固さは、姉の麗佳から譲り受けたものである。
麗佳曰く、「我を貫くくらいでないと、大切なものを取りこぼす」のだそうだ。姉の教えは、夏海恭一の指針になっている。
「砂子さんと両想いになったら、どうするの?」
「あの人が俺の手を取るなら、どこまでも一緒に行ってやる」
「それは……羨ましいね…………」
「バーカ。別に、恭一のことをほったらかしにはしねーよ」
「うん。ありがとう、勇くん」
夏海は、嬉しそうにした。
早く、俺の腕の中に墜ちて来い。
その当真の想いは、いつか届くのだろうか?
ふたりの向かう先は、どこなのだろう?
今は、まだ分からない。
そんな当真の親友、夏海恭一は、彼の想いに“恋”と名付けた。
「砂子さんに、言わないの?」
「なにを?」
「好きですって」
「はは。言わねーよ。向こうに言わせる」
当真は、不敵な笑みを浮かべる。
当真勇のしたいことは、現海砂子という人間を余すことなく見ること。そのためだけに、彼女にちょっかいをかけている。
偶然、彼女のガラス細工の精神を見た。もっと見たい。
お守りを借りた。連絡先を交換した。デートをした。
その次は? まだ決めていない。
心臓を撃ち抜きたくて仕方ないが、我慢している。まだ早い。
「俺はいずれ、あの人を撃つ」
「そう…………」
強い殺意は、やはり恋に似ていた。頭の片隅に、いつも彼女がいる。
視線の先に、彼女がいる。そして、最高の瞬間を待っていた。“砂子さん”という皮が剥がれる時を待っている。
「恭一、砂子さんは、ろくでもない人間なんだ」
「そうなの?」
「ああ。ありゃ、相当ヤバい人間だぜ」
「私には、優しい人に見えるけど」
「優しい、ねぇ。あの人は、見返りのないことはしねーよ。それでも、優しいって言うのか?」
「つまり、砂子さんは、親切心から優しいんじゃないってこと?」
「そうだ。砂子さんは、エゴイストだよ」
エゴイスト。利己主義者。自分本位に生きている者。
「たまたま上手く噛み合ってるだけなんだよな。城戸さんと利害が一致してるだけなんだろうよ」
「そっかぁ」
夏海は、特別幻滅するでも、称賛するでもなく、事実として受け止めた。
「砂子さんも、我を貫き通してる人なんだねぇ」
「そうだな。俺は、そういう奴が好きだ」
天然で、ふわふわした空気を纏っていて。だけど、一本筋が通っている夏海を、当真は見た。
我を貫くという言葉を選んで使う夏海の頑固さは、姉の麗佳から譲り受けたものである。
麗佳曰く、「我を貫くくらいでないと、大切なものを取りこぼす」のだそうだ。姉の教えは、夏海恭一の指針になっている。
「砂子さんと両想いになったら、どうするの?」
「あの人が俺の手を取るなら、どこまでも一緒に行ってやる」
「それは……羨ましいね…………」
「バーカ。別に、恭一のことをほったらかしにはしねーよ」
「うん。ありがとう、勇くん」
夏海は、嬉しそうにした。
早く、俺の腕の中に墜ちて来い。
その当真の想いは、いつか届くのだろうか?
ふたりの向かう先は、どこなのだろう?
今は、まだ分からない。