クロスオーバー
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通り雨に降られて、春日井香介と奈良坂透は、近くのファーストフード店へ入った。
雨が止むまでの待ち時間に、ふたりは飲み物とフライドポテトをつまむことにする。
「ねぇ、おれ、最近怖いことがあるんだ」
そう、唐突に春日井は言う。
「何が怖い?」
「奈良坂に嫌われること」
「嫌わない」
「そうは言ってもさ、奈良坂は感情制御出来ないし。それは、きみの前にいるおれもそう。おれは、きみを嫌うのも怖い」
「なんで、そんなことを考える?」
“怖かった。嫌うのも、嫌われるのも、恐ろしくて……”
あの人は、飲みかけのオレンジジュースのストローをガジガジ噛みながら、言っていた。
「貝瀬さん、知ってる?」
「顔と名前は」
「あの人と、ここで鉢合わせて、一緒に雨が止むのを待ってたことがあるんだよ。今みたいに」
貝瀬直は、人懐っこい春日井の提案を呑み、共に過ごしてくれて。色々な話をした。
大学の話。哲学の話。重くて苦しい恋の話。
「貝瀬さんって、諏訪さんのことが大好きなんだよね。それで、ぐちゃぐちゃのドロドロになった感情を抱えてた」
「そうなのか」
「うん。当時は、貝瀬さんのことよく分からなかった。おれは、恋をしたことがなかったから。でも、今は分かるんだぁ。奈良坂を嫌うのも、奈良坂に嫌われるのも、怖いよ」
雨を見ると、貝瀬の話を思い出す。結ばれた関係性が、永遠である保証などない。
「おれは、きみを好きでい続けられるよ? やろうと思えば。でも、それじゃ意味ないじゃん」
「ああ」
「ずっとずっと嫌わないで」
奈良坂の手を両手で掴み、春日井は懇願する。
「嫌わないよ、ずっと」
「おれって、ワガママだからさ、みんなに好かれていたいんだ。でも、奈良坂が好きでいてくれるなら、みんなから嫌われてもいいんだぁ」
「春日井は、みんなからも、俺からも好かれてる。それが事実だ」
「あはは。そうだね。なんだか、不安になっちゃって」
「らしくないな。春日井は、いつも可愛い顔して、裏では暴君なのに」
「ワガママなお姫様なんですー」
一歩間違えれば、傲岸不遜。そんな春日井香介は、奈良坂の目を見つめた。
ツリ目がちな、大きな瞳が、射るように見上げてくる。
「そんな顔しても、可愛いだけだぞ」
「ちぇー。おれって、可愛いからなぁ」
ふたりは、笑った。
「あ、虹!」
「綺麗だな」
今度から、雨が降ったら、きみと見た虹のことを思い出すよ。
雨上がりの空の下を、ふたりは歩いて行く。辿り着く場所が同じであることを願いながら。
雨が止むまでの待ち時間に、ふたりは飲み物とフライドポテトをつまむことにする。
「ねぇ、おれ、最近怖いことがあるんだ」
そう、唐突に春日井は言う。
「何が怖い?」
「奈良坂に嫌われること」
「嫌わない」
「そうは言ってもさ、奈良坂は感情制御出来ないし。それは、きみの前にいるおれもそう。おれは、きみを嫌うのも怖い」
「なんで、そんなことを考える?」
“怖かった。嫌うのも、嫌われるのも、恐ろしくて……”
あの人は、飲みかけのオレンジジュースのストローをガジガジ噛みながら、言っていた。
「貝瀬さん、知ってる?」
「顔と名前は」
「あの人と、ここで鉢合わせて、一緒に雨が止むのを待ってたことがあるんだよ。今みたいに」
貝瀬直は、人懐っこい春日井の提案を呑み、共に過ごしてくれて。色々な話をした。
大学の話。哲学の話。重くて苦しい恋の話。
「貝瀬さんって、諏訪さんのことが大好きなんだよね。それで、ぐちゃぐちゃのドロドロになった感情を抱えてた」
「そうなのか」
「うん。当時は、貝瀬さんのことよく分からなかった。おれは、恋をしたことがなかったから。でも、今は分かるんだぁ。奈良坂を嫌うのも、奈良坂に嫌われるのも、怖いよ」
雨を見ると、貝瀬の話を思い出す。結ばれた関係性が、永遠である保証などない。
「おれは、きみを好きでい続けられるよ? やろうと思えば。でも、それじゃ意味ないじゃん」
「ああ」
「ずっとずっと嫌わないで」
奈良坂の手を両手で掴み、春日井は懇願する。
「嫌わないよ、ずっと」
「おれって、ワガママだからさ、みんなに好かれていたいんだ。でも、奈良坂が好きでいてくれるなら、みんなから嫌われてもいいんだぁ」
「春日井は、みんなからも、俺からも好かれてる。それが事実だ」
「あはは。そうだね。なんだか、不安になっちゃって」
「らしくないな。春日井は、いつも可愛い顔して、裏では暴君なのに」
「ワガママなお姫様なんですー」
一歩間違えれば、傲岸不遜。そんな春日井香介は、奈良坂の目を見つめた。
ツリ目がちな、大きな瞳が、射るように見上げてくる。
「そんな顔しても、可愛いだけだぞ」
「ちぇー。おれって、可愛いからなぁ」
ふたりは、笑った。
「あ、虹!」
「綺麗だな」
今度から、雨が降ったら、きみと見た虹のことを思い出すよ。
雨上がりの空の下を、ふたりは歩いて行く。辿り着く場所が同じであることを願いながら。