私という一頁の物語
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
また、ボーダーに近界民が入隊した。その少年は、ヒュースくんという。角付きの少年。
再び、私に精神鑑定をしろとの指令がきた。
「はじめまして、ヒュースくん。私は、現海砂子。呼ぶ時は砂子でいいよ。ボーダーでカウンセラーをしている。カウンセラーってのは、対話して精神の調子を整える仕事をする者のことだよ」
「オレには必要ないな」
「まあまあ、そう言わずに。緑茶とうなぎせんべい、どうぞ」
「……スナコは、誰の命令でオレと話している?」
「城戸司令だよ。直属の上司なんだ」
「そうか。要職なんだな、カウンセラーというものは」
「私ひとりしかいないんだ。困ったことにね」
みんな、脱落しちゃったんだよ。単純に、近界民を恐れて、三門市を去った者。兵士に同調してしまい、精神を病んだ者。子供たちに心を砕き過ぎて、折れてしまった者。
「替えの利かない役職だなんて、組織には不都合だ」
「その通りだね。でも、私が死んだら代わりを見付けるはずだよ」
「何故、今から探さない?」
「私が優秀だからかな。ある意味」
私は、うなぎせんべいを齧った。
「美味しいよ?」
「……いただく」
ヒュースくんは、せんべいを一口食べる。
「美味いな……」
「でしょ?」
ふたりで緑茶を飲み、一息ついた。
「さて。それじゃあ、色々テストさせてもらおうかな」
「テスト?」
「君の精神状態を見せてもらう。そんなに難しいことじゃないから」
ヒュースくんに、バウムテストやロールシャッハ・テストをしてもらい、私は少し憂鬱になる。
「これで終わりか?」
「うん。お疲れ様。じゃあ、玉狛に戻っていいよ。何かあったら、いつでもおいで」
ヒュースくんを見送り、ひとりになったカウンセリングルームで、私は溜め息をついた。
「はぁ。しんどいな」
ヒュースくんが描いた木には、うろがある。彼は、身体的には傷がないから、これは、心理的に傷があるということ。
また、一枚一枚丁寧に描かれた葉は、強い目的意識を表している。
帰りたいよね、家に。
私は、今の家が好きだ。弟とふたり暮らしの生活を気に入っている。最悪な肉親から離れられて、せいせいした。
ある日突然、その家に帰れなくなったら、どうする? 私は、冷静でいられるだろうか?
ヒュースくんが、無事に家に帰ることが出来るといいな。
城戸さんへ提出する報告書には、精神に異常なし、と記した。空閑くんも、彼も、ごく普通の子供でしたよ。
再び、私に精神鑑定をしろとの指令がきた。
「はじめまして、ヒュースくん。私は、現海砂子。呼ぶ時は砂子でいいよ。ボーダーでカウンセラーをしている。カウンセラーってのは、対話して精神の調子を整える仕事をする者のことだよ」
「オレには必要ないな」
「まあまあ、そう言わずに。緑茶とうなぎせんべい、どうぞ」
「……スナコは、誰の命令でオレと話している?」
「城戸司令だよ。直属の上司なんだ」
「そうか。要職なんだな、カウンセラーというものは」
「私ひとりしかいないんだ。困ったことにね」
みんな、脱落しちゃったんだよ。単純に、近界民を恐れて、三門市を去った者。兵士に同調してしまい、精神を病んだ者。子供たちに心を砕き過ぎて、折れてしまった者。
「替えの利かない役職だなんて、組織には不都合だ」
「その通りだね。でも、私が死んだら代わりを見付けるはずだよ」
「何故、今から探さない?」
「私が優秀だからかな。ある意味」
私は、うなぎせんべいを齧った。
「美味しいよ?」
「……いただく」
ヒュースくんは、せんべいを一口食べる。
「美味いな……」
「でしょ?」
ふたりで緑茶を飲み、一息ついた。
「さて。それじゃあ、色々テストさせてもらおうかな」
「テスト?」
「君の精神状態を見せてもらう。そんなに難しいことじゃないから」
ヒュースくんに、バウムテストやロールシャッハ・テストをしてもらい、私は少し憂鬱になる。
「これで終わりか?」
「うん。お疲れ様。じゃあ、玉狛に戻っていいよ。何かあったら、いつでもおいで」
ヒュースくんを見送り、ひとりになったカウンセリングルームで、私は溜め息をついた。
「はぁ。しんどいな」
ヒュースくんが描いた木には、うろがある。彼は、身体的には傷がないから、これは、心理的に傷があるということ。
また、一枚一枚丁寧に描かれた葉は、強い目的意識を表している。
帰りたいよね、家に。
私は、今の家が好きだ。弟とふたり暮らしの生活を気に入っている。最悪な肉親から離れられて、せいせいした。
ある日突然、その家に帰れなくなったら、どうする? 私は、冷静でいられるだろうか?
ヒュースくんが、無事に家に帰ることが出来るといいな。
城戸さんへ提出する報告書には、精神に異常なし、と記した。空閑くんも、彼も、ごく普通の子供でしたよ。