A級9位!秋津隊
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勝負は着いた。高校の期末テストの成績の総合点は、水上敏志が僅差で上。負けた冷泉冬樹だったが、別段悔しくはない。
負けた方が、勝った方の願いをひとつ叶える約束だ。
「それじゃ、水上の願いを聞こうか」
「ああ。そやな。俺のお願いは、イコさんの恋をやめさせる協力をしてほしいんやわ」
「生駒さんの恋?」
「そうや。イコさん、四季さんが好きやねん」
初耳である。
「そう、なの?」
「たぶんな。本人気付いとるか知らんけど、片想いしてんねん」
それを、どうしてやめさせたいのだろう?
冷泉は、なんとなく恐ろしい気持ちになった。
「水上、なんでイコさんの片想いを応援しないの?」
「不毛だからや。あ、別に同性愛がどうとかやなくてな? それは、ええんやけど、片想いは不毛やから」
「不毛…………」
それを、どうして水上が決めるの?
冷泉は、困惑した。
「四季さん、女好きやん。イコさんもそうやったけど。絶対報われへんで」
ねぇ、もしかしてさ、水上は生駒さんのことを…………いや、気付いてないのか……? そうじゃないのかも。僕の考え過ぎかもしれない。
「協力してくれるやろ?」
感情の読めない顔を向けて、水上が“お願い”をしてくる。
「……うん」
「頼りにしとるで、冷泉」
肩に手を置かれた。その時、とても悲しくなったが、冷泉の潤む瞳は、誰にも見えない。
生駒の片想いらしき感情。それをやめさせたい水上の感情。そんな水上に心を掻き乱されている冷泉の感情。全てが不鮮明で、不明瞭。
ねぇ、僕が水上に片想いしてたら、どうする? 水上が、生駒さんに片想いしてたら、どうする? 生駒さんが、四季さんに片想いしてたら、どうする? どうすればいい?
全てが一方通行の想い。それは、全部不毛なのだろうか?
仮定に仮定を重ねたこの思考こそが、不毛か。冷泉は、少し落ち着きを取り戻した。
「それで、具体的にどうするの?」
「四季さんのこと好いとる女子がおんねん。その子と付き合わせられへんかなって」
利用するのか、人の恋心を。
「俺が紹介すんのも変やし、冷泉に頼むわ」
「……分かった」
冷たい海の底にいるような気分がした。
なんで水上といるのに、こんな気分になっているのだろう?
冷泉には、分からなかった。
もし、“あの仮説”が正しかったら、どうしよう?
その晩、冷泉は、なかなか寝付けず、ぐるぐると水上の“お願い”について考えた。
友情を失うのが、何より怖い。
冷泉冬樹は、水上との友情に亀裂が入ることを恐れた。
負けた方が、勝った方の願いをひとつ叶える約束だ。
「それじゃ、水上の願いを聞こうか」
「ああ。そやな。俺のお願いは、イコさんの恋をやめさせる協力をしてほしいんやわ」
「生駒さんの恋?」
「そうや。イコさん、四季さんが好きやねん」
初耳である。
「そう、なの?」
「たぶんな。本人気付いとるか知らんけど、片想いしてんねん」
それを、どうしてやめさせたいのだろう?
冷泉は、なんとなく恐ろしい気持ちになった。
「水上、なんでイコさんの片想いを応援しないの?」
「不毛だからや。あ、別に同性愛がどうとかやなくてな? それは、ええんやけど、片想いは不毛やから」
「不毛…………」
それを、どうして水上が決めるの?
冷泉は、困惑した。
「四季さん、女好きやん。イコさんもそうやったけど。絶対報われへんで」
ねぇ、もしかしてさ、水上は生駒さんのことを…………いや、気付いてないのか……? そうじゃないのかも。僕の考え過ぎかもしれない。
「協力してくれるやろ?」
感情の読めない顔を向けて、水上が“お願い”をしてくる。
「……うん」
「頼りにしとるで、冷泉」
肩に手を置かれた。その時、とても悲しくなったが、冷泉の潤む瞳は、誰にも見えない。
生駒の片想いらしき感情。それをやめさせたい水上の感情。そんな水上に心を掻き乱されている冷泉の感情。全てが不鮮明で、不明瞭。
ねぇ、僕が水上に片想いしてたら、どうする? 水上が、生駒さんに片想いしてたら、どうする? 生駒さんが、四季さんに片想いしてたら、どうする? どうすればいい?
全てが一方通行の想い。それは、全部不毛なのだろうか?
仮定に仮定を重ねたこの思考こそが、不毛か。冷泉は、少し落ち着きを取り戻した。
「それで、具体的にどうするの?」
「四季さんのこと好いとる女子がおんねん。その子と付き合わせられへんかなって」
利用するのか、人の恋心を。
「俺が紹介すんのも変やし、冷泉に頼むわ」
「……分かった」
冷たい海の底にいるような気分がした。
なんで水上といるのに、こんな気分になっているのだろう?
冷泉には、分からなかった。
もし、“あの仮説”が正しかったら、どうしよう?
その晩、冷泉は、なかなか寝付けず、ぐるぐると水上の“お願い”について考えた。
友情を失うのが、何より怖い。
冷泉冬樹は、水上との友情に亀裂が入ることを恐れた。