TRPG
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
退屈で仕方がない。
僕の人生は、好敵手の家入写六を殺した際に完成してしまった。
だから今は、蛇足を生きているだけ。
つまらない。生き甲斐がない。
現在、僕は警察の監視下にある。
ある日、その警察に呼び出された。
脳内でチェスをしていると、ひとりの男がやって来る。
「調子どう?」
「可もなく不可もなく」
「はじめまして、だな。俺は、朝比奈圭吾。数々の難事件を解決した凄腕刑事だ」
「うん。半分くらい嘘だな」
「さすが犯罪王。犯罪コンサルタントと呼んだ方がよかったかな?」
「好きに呼べばいい」
そんなものは記号に過ぎない。
「標本事件について調べてほしい。引き受けてくれるか?」
「まあ、暇潰しにはなりそうだな」
かつてのコンサルタント名探偵をなぞるようで癪だが。
「あんたには、お目付け役をつける」
「ああ、分かった」
「あんたは犯罪者だが、機捜として振る舞ってくれ」
「いいだろう」
詐称するくらい、お手のものだ。
「ないとは思うが、化物が出たら、ここに連絡してくれ」
「ああ」
化物が出る確率が上がったな。
そして。須東レイドという男を紹介された。
「はぁ。お前に言いたいことがたくさんあるが、今回は協力関係だ。よろしく」
「まあ、よろしく」
渋々握手をする。
拳銃やら警棒やらを受け取り、現場の美術館へ。
立派な建物だ。中に入ると、同じ捜査の警官がいた。
森本と未央柳という警官たちの緊張感のないやり取りを眺める。
松下とやらはいないのか?
質問が飛んで来た。
「おふたりは、鍋、何が好きですか?」
「人肉鍋」
「ええ?」
レイドは、ちゃんこ鍋が好きらしい。
捜査本部になっているアパートへ向かう。
堀という男に挨拶された。
「28歳です! 可愛いがってくださいね!」
「まあ、“可愛いがって”やってもいいが」
それに耐えられる人間には見えない。
件の松下が出て来た。
「この捜査は、松下が取り仕切っているのではないのか?」
「いや、未央柳が仕切っている」
「何故?」
「未央柳は年長で、事件に深く関わっているからだ」
「深く関わっているとは?」
「前の事件を担当していた」
松下は、嘘をついている。
この捜査班は、何かおかしい。
「署で聞いた話と現場が食い違ってないか?」
「未央柳がふわふわしてるから、そこで食い違ってるんじゃないか?」
「警察というのは、そんな生温い組織だったか?」
「そんなはずはないんだけとなぁ」
その後。僕とレイドの歓迎会が開かれた。
エディブルフラワー。撫子とナスタチウム。
花言葉は、愚か者が考えたものだから知らない。
不謹慎で面白いので、堀と乾杯をした。
色々と話を聞く。
未央柳と松下は仲良しではなさそうだ。
堀と話したが、コイツは精神をかなり病んでいる。
やはり、この捜査班は怪しい。
連絡が入った。被疑者が捕まったらしい。
どう考えても、こんなつまらない幕切れのはずがない。
美術館の管理人、ケイに尋ねる。
「事件のおかげで客入りはいいようだが、あなたはそういう客をどう思う?」
「オカルトに興味のあるお客さんが多いみたいですね。私としては、お客さんが増えて嬉しいです」
コイツも変人だな。
「館内を案内しましょうか?」
「職員が使うところをメインに頼む」
僕は捜査をしたはずだが、記憶がない。
おかしい。記憶を消された?
「この絵は、誰の絵だ?」
「さあ。私には分かりません」
「普通、目録は共有しているだろう」
「それなら、さっきの捜査で見たのでは?」
「ああ。なるほど」
記憶障害。おそらく人為的なもの。
植物園へ。
そこを調べていると、蛆虫が集っているものがあった。
それらをこっそりと採取する。
「何故、それを取ったんですか?」
「別に調べても構わないだろう?」
「それ、ただのカラスですよ」
「じゃあ、なおさら調べても構わないな」
どうも、ケイは死骸を肥料にしているようだ。
不意に、頭が花になった人間が現れる。
異様な光景。非現実的な存在。
「この子は、私の助手です」
「彼の名前は?」
「 です」
「そうか……」
聞いたはずなのに、記憶が保持出来ない。忌々しい。
美術館を後にする。
夜。何故か、歓迎会パート2が開かれた。
鍋を食べる。美味い。
ロシアンたこ焼きが始まった。
どうやら、当たりを引けたらしい。
未央柳が外れを引き、静かに泣いている。
僕と別れた後に何があったのかレイドに尋ねたが、よく覚えていないと言う。
「おかしいと思わないか?」
「うん……」
レイドの精神は磨り減っているように見える。
「お前は、精神に干渉を受けている。何か、悪意のあるものから」
「あの美術館、ヤバいよな……」
「僕も記憶が一部ない」
「ふたりも記憶がないのは変だよな」
「ああ。あのケイとかいう奴も怪しい」
それから。堀に、蛆と肉片を調べさせる。
肉片は、カラスとのこと。
一応、保存しておくように言う。
レイドと朝比奈の通話を盗み聞く。
どうやら、超常的な何かが関わっているようだ。
さて、他の班の連中のことも調べようか。
松下と森本の部屋の前で会話を盗み聞く。
ふたりが言い争っている。
堀の部屋からは、何も聴こえない。
未央柳は寝ている。
玄関先で森本を待ち構えることにした。
部屋を追い出された森本を泊めてやる代わりに、話を聞かせてもらう。
「美術館で僕と別れた後、お前たちが何をしていたのか知りたい」
森本は新婚らしい。妻にいいところを見せたかったらしいが、捜査班がお飾りなことが不満のようだ。
盗まれた、“鍵”?
森本も、記憶を曇らされた形跡がある。
就寝直前。森本は、「俺には、切り札があるから」と呟いた。
翌朝。
「レイド、悪い夢でも見たのか?」
「お前、なんでも分かるんだな」
「どんな夢だ?」
「虫の夢だ。虫が、こちらに飛んで来る夢だ」
「そうか」
植物園で、僕も聴いた。偶然のはずがない。
「虫の羽音がきこえたら、戦闘体勢に入れ。普通の虫じゃないかもしれないが」
「あ、ああ」
美術館に、新たな標本が出た。3人分。森本の妻とレイドのものもある。
もうひとりは誰だ?
ケイのアトリエへ。
「レイド、あのケイとかいう奴をここから出せ」
「分かった」
ケイに入るなと言われた部屋に入る。
一瞬の空白。
メモを取れなかったせいで、記憶を失う。
展示室へ。
タイトルは、“鍵”だが、何も展示されていない。
一体、なんの鍵だというのか。
夜。
レイドの精神を分析する。少しは改善しただろう。
「ありがとう、夜吠廼人。俺、死ぬのかな」
「死にたくないなら、頑張ってあがけ」
「ふん。言われなくてもあがくよ」
レイドが寝た後、森本桜に会いに行く。
「最近、身の回りで気になったことはありませんか?」
「そういえば、植物園で虫の羽音が聴こえて……」
それから、身の回りでも聴こえ始めたと言う。
「その音が聴こえてきたら、警戒してその場を離れてください」
「はい」
「旦那さんにも伝えておいてください。それでは、失礼」
堀の部屋の前で聞き耳を立てた。
一人言を言っていた?
未央柳は、寝ている。
松下はどこだろう? 無線にも出ない。
仕方なく就寝する。
気味の悪い無数の虫の夢を見た。
翌朝。レイドがいない。
堀と美術館へ急ぐ。
レイドが虫の標本のように針で刺されていた。
応急処置を施すが、目覚めない。
突然、森本に銃で撃たれたが、運良く当たらなかった。
「お前のせいで!」と彼は叫んでいる。
森本桜が殺され、精神に異常を来したのかもしれない。
不意に、意識が遠退く。
気付くと、病室にいた。レイドもいる。
松下が来たが、よく分からないことを言って去った。
「夜吠廼人、動けるか?」
「ああ」
「俺の勘なんだが、松下は植物園に行ったんだと思う」
「じゃあ、武器を持って向かおう」
拳銃、警棒、殺虫剤、ライター。
それらを持って行く。
植物園には、宙吊りの死体がふたつ。
響いたのは、松下の悲鳴。
声のした方に向かうと、堀が松下の首を持ち、異様な女に食わせているところに出くわした。
「レイド、朝比奈が言っていたところに連絡しろ」
「分かった!」
警棒を堀に振り下ろすが、避けられた。
異様な化物は、僕に噛み付こうとしてきたので、避ける。
レイドに即席火炎放射器を渡し、堀に攻撃。
レイドの馬鹿、武器を壊しやがった。
僕は、警棒で堀を殺す。化物が発狂し、糸を吐いたので、それを避ける。
しばらくして。朝比奈がどこからか現れ、参戦した。
僕の警棒とレイドの頭突きが決まり、化物をなんとか倒す。
カソウは、怪捜。
化物と関わるなら、まあ全滅もするな。
後始末は朝比奈に任せ、ケイの元へ向かう。
レイドの様子がおかしい。
精神分析をする。
レイドを日の下に連れて行こうとすると拒まれた。
「君たち、何をしているんだい?」
「もちろん、美術鑑賞だ」
「そう。廼人くんに見せたいものがあるんだ」
「鏡を貸してくれるなら、行ってやってもいい」
それを使えば、レイドに日の光を当てることが出来る。
「レイド、座っていろ」
「分かった……」
ケイについて行った。
彼は、謎の装置を見せて、それを装着すれば“真理が分かる”と言う。
「本当に真理があるのだとしたら、僕は自分で見付けたい。断る」
「そう。今回の事件の犯人は、捕まったと思う?」
「ノーだ」
「いいや。もう捕まっている」
「ふん」
コイツにとってはそうなのだろう。
僕は、大元の化物を捕らえることを望むが。
「では、続けて質問だ。うちの美術館に飾られた標本。あれは模倣犯によるものと思うかな」
「ノーだ」
「正解。あれは、模倣犯によるものじゃない」
ケイの質問は続く。
「最後の質問だ。人間の正気とは、どこに宿ると思う?」
「人間は、正気かどうかなんて分からない。自分にも、他人にも」
どこに宿る、以前の問題である。
「はは。私と同じ考えだ」
コイツの精神構造を明かそうとすると、良くないことが起きそうに思えてならない。
「君は、今回の事件をなかったことに出来ると思うかい?」
「定義によるな。例えば、事件関係者全員の記憶を曇らせれば、なかったかのように出来る」
ケイはご不満らしい。
「そうだな。事件が起こらなかった世界へ移動する、とかか?」
「そうだね。それが出来るとしたら?」
「なんのメリットがある?」
「死人の数は減らせるんじゃないかな」
「死んだ連中のことは、僕は正直どうでもいい」
ケイが、お茶会をしようと言う。
出されたパイは明らかに怪しいが、僕はその挑戦を受けてやろうと思った。
喉に何かがつかえる。
「おめでとう、当たりだ」
「ろくでもないフェーヴなんだろうな」
「それはね、感情を餌にする植物の種だよ。君の心臓に植え付けさせてもらった。君の正気が少しでも揺らげば、花が咲くだろう」
つまり、そうなると僕は死ぬという訳だ。
別に構わない。そろそろゲームにも飽きた頃だ。
「そろそろ、レイドくんのところへ戻った方がいい」
「鏡を寄越せ。それから向かう」
「どうぞ。鏡なんて何に使うんだい?」
「お前に答える義理はない」
レイドの元へ行こうとするが、廊下からいなくなっている。
前に見た、展示品のないところへ急いだ。
そこには、レイドがいた。体が言うことを聞かず、ここまで来てしまったらしい。
「あの絵は見るな」
「絵?」
思わず視線を動かすと、絵の具の匂いがする家入写六がいた。
ああ。僕の人生を終わらせた男。
「お前なんだろ? 今回の事件も、お前が糸を引いてるんだろ?!」
レイドには、僕が標本事件の犯人だと思われているみたいだ。
「お前も俺も、虫に寄生されてるんだ!」
針が四肢に刺され、僕の正気が揺れる。
内側から肉が引き裂かれて、花が芽吹く。
暗転。
「廼人、帰るぞ」
「え?」
記憶が繋がらない。僕は死んだはずでは?
レイドは、僕を見ている。
植物園が燃えているのに気付いたので、そちらへ行った。
そこには、須東レイドの死体が飾られている。
「廼人さん、帰りましょう」
「お前は誰だ?」
「ふん。バレたか」
一拍置いて、彼は答えた。
「俺は、須東レイドだ」
「僕の知る須東レイドは、廼人さんなんて呼ばないのだが」
「まあ、色々あったからな」
レイドは、溜め息をつく。
「俺は、この世界の須東レイドを殺した」
「お前、僕に何か隠しているな?」
「隠してないよ」
「嘘だな」
「ははは」
「僕は死んだはずなんだが、何故生きている?」
「その記憶があるのが謎なんだけど」
このレイドは、“全てをなかったことに”したらしい。
「そうまでして、何が得たい?」
「何を得た、か」
「僕を生かしてどうする?」
「お前には人生をめちゃくちゃにされたからな。生きて苦しんでほしいと思った」
強い執着心を感じる。
「要するに、復讐がしたかったのか?」
「復讐。まあ、復讐かもな」
大方、僕が犯罪計画の助言をしてやった人間に知り合いがいたとか、そんなところだろう。
「で、どうする? 何か食べる?」
「一応訊くが、何を食べたい?」
「ラーメン」
「ふぅん」
「それか、カツ丼とか」
「お前とは、食の好みが合わない。まあいい。今日は、ラーメンに付き合ってやる」
須東レイド。お前は、僕の人生を続けさせた。
その責任を取って、最期まで僕を楽しませろよ。
僕の人生は、好敵手の家入写六を殺した際に完成してしまった。
だから今は、蛇足を生きているだけ。
つまらない。生き甲斐がない。
現在、僕は警察の監視下にある。
ある日、その警察に呼び出された。
脳内でチェスをしていると、ひとりの男がやって来る。
「調子どう?」
「可もなく不可もなく」
「はじめまして、だな。俺は、朝比奈圭吾。数々の難事件を解決した凄腕刑事だ」
「うん。半分くらい嘘だな」
「さすが犯罪王。犯罪コンサルタントと呼んだ方がよかったかな?」
「好きに呼べばいい」
そんなものは記号に過ぎない。
「標本事件について調べてほしい。引き受けてくれるか?」
「まあ、暇潰しにはなりそうだな」
かつてのコンサルタント名探偵をなぞるようで癪だが。
「あんたには、お目付け役をつける」
「ああ、分かった」
「あんたは犯罪者だが、機捜として振る舞ってくれ」
「いいだろう」
詐称するくらい、お手のものだ。
「ないとは思うが、化物が出たら、ここに連絡してくれ」
「ああ」
化物が出る確率が上がったな。
そして。須東レイドという男を紹介された。
「はぁ。お前に言いたいことがたくさんあるが、今回は協力関係だ。よろしく」
「まあ、よろしく」
渋々握手をする。
拳銃やら警棒やらを受け取り、現場の美術館へ。
立派な建物だ。中に入ると、同じ捜査の警官がいた。
森本と未央柳という警官たちの緊張感のないやり取りを眺める。
松下とやらはいないのか?
質問が飛んで来た。
「おふたりは、鍋、何が好きですか?」
「人肉鍋」
「ええ?」
レイドは、ちゃんこ鍋が好きらしい。
捜査本部になっているアパートへ向かう。
堀という男に挨拶された。
「28歳です! 可愛いがってくださいね!」
「まあ、“可愛いがって”やってもいいが」
それに耐えられる人間には見えない。
件の松下が出て来た。
「この捜査は、松下が取り仕切っているのではないのか?」
「いや、未央柳が仕切っている」
「何故?」
「未央柳は年長で、事件に深く関わっているからだ」
「深く関わっているとは?」
「前の事件を担当していた」
松下は、嘘をついている。
この捜査班は、何かおかしい。
「署で聞いた話と現場が食い違ってないか?」
「未央柳がふわふわしてるから、そこで食い違ってるんじゃないか?」
「警察というのは、そんな生温い組織だったか?」
「そんなはずはないんだけとなぁ」
その後。僕とレイドの歓迎会が開かれた。
エディブルフラワー。撫子とナスタチウム。
花言葉は、愚か者が考えたものだから知らない。
不謹慎で面白いので、堀と乾杯をした。
色々と話を聞く。
未央柳と松下は仲良しではなさそうだ。
堀と話したが、コイツは精神をかなり病んでいる。
やはり、この捜査班は怪しい。
連絡が入った。被疑者が捕まったらしい。
どう考えても、こんなつまらない幕切れのはずがない。
美術館の管理人、ケイに尋ねる。
「事件のおかげで客入りはいいようだが、あなたはそういう客をどう思う?」
「オカルトに興味のあるお客さんが多いみたいですね。私としては、お客さんが増えて嬉しいです」
コイツも変人だな。
「館内を案内しましょうか?」
「職員が使うところをメインに頼む」
僕は捜査をしたはずだが、記憶がない。
おかしい。記憶を消された?
「この絵は、誰の絵だ?」
「さあ。私には分かりません」
「普通、目録は共有しているだろう」
「それなら、さっきの捜査で見たのでは?」
「ああ。なるほど」
記憶障害。おそらく人為的なもの。
植物園へ。
そこを調べていると、蛆虫が集っているものがあった。
それらをこっそりと採取する。
「何故、それを取ったんですか?」
「別に調べても構わないだろう?」
「それ、ただのカラスですよ」
「じゃあ、なおさら調べても構わないな」
どうも、ケイは死骸を肥料にしているようだ。
不意に、頭が花になった人間が現れる。
異様な光景。非現実的な存在。
「この子は、私の助手です」
「彼の名前は?」
「 です」
「そうか……」
聞いたはずなのに、記憶が保持出来ない。忌々しい。
美術館を後にする。
夜。何故か、歓迎会パート2が開かれた。
鍋を食べる。美味い。
ロシアンたこ焼きが始まった。
どうやら、当たりを引けたらしい。
未央柳が外れを引き、静かに泣いている。
僕と別れた後に何があったのかレイドに尋ねたが、よく覚えていないと言う。
「おかしいと思わないか?」
「うん……」
レイドの精神は磨り減っているように見える。
「お前は、精神に干渉を受けている。何か、悪意のあるものから」
「あの美術館、ヤバいよな……」
「僕も記憶が一部ない」
「ふたりも記憶がないのは変だよな」
「ああ。あのケイとかいう奴も怪しい」
それから。堀に、蛆と肉片を調べさせる。
肉片は、カラスとのこと。
一応、保存しておくように言う。
レイドと朝比奈の通話を盗み聞く。
どうやら、超常的な何かが関わっているようだ。
さて、他の班の連中のことも調べようか。
松下と森本の部屋の前で会話を盗み聞く。
ふたりが言い争っている。
堀の部屋からは、何も聴こえない。
未央柳は寝ている。
玄関先で森本を待ち構えることにした。
部屋を追い出された森本を泊めてやる代わりに、話を聞かせてもらう。
「美術館で僕と別れた後、お前たちが何をしていたのか知りたい」
森本は新婚らしい。妻にいいところを見せたかったらしいが、捜査班がお飾りなことが不満のようだ。
盗まれた、“鍵”?
森本も、記憶を曇らされた形跡がある。
就寝直前。森本は、「俺には、切り札があるから」と呟いた。
翌朝。
「レイド、悪い夢でも見たのか?」
「お前、なんでも分かるんだな」
「どんな夢だ?」
「虫の夢だ。虫が、こちらに飛んで来る夢だ」
「そうか」
植物園で、僕も聴いた。偶然のはずがない。
「虫の羽音がきこえたら、戦闘体勢に入れ。普通の虫じゃないかもしれないが」
「あ、ああ」
美術館に、新たな標本が出た。3人分。森本の妻とレイドのものもある。
もうひとりは誰だ?
ケイのアトリエへ。
「レイド、あのケイとかいう奴をここから出せ」
「分かった」
ケイに入るなと言われた部屋に入る。
一瞬の空白。
メモを取れなかったせいで、記憶を失う。
展示室へ。
タイトルは、“鍵”だが、何も展示されていない。
一体、なんの鍵だというのか。
夜。
レイドの精神を分析する。少しは改善しただろう。
「ありがとう、夜吠廼人。俺、死ぬのかな」
「死にたくないなら、頑張ってあがけ」
「ふん。言われなくてもあがくよ」
レイドが寝た後、森本桜に会いに行く。
「最近、身の回りで気になったことはありませんか?」
「そういえば、植物園で虫の羽音が聴こえて……」
それから、身の回りでも聴こえ始めたと言う。
「その音が聴こえてきたら、警戒してその場を離れてください」
「はい」
「旦那さんにも伝えておいてください。それでは、失礼」
堀の部屋の前で聞き耳を立てた。
一人言を言っていた?
未央柳は、寝ている。
松下はどこだろう? 無線にも出ない。
仕方なく就寝する。
気味の悪い無数の虫の夢を見た。
翌朝。レイドがいない。
堀と美術館へ急ぐ。
レイドが虫の標本のように針で刺されていた。
応急処置を施すが、目覚めない。
突然、森本に銃で撃たれたが、運良く当たらなかった。
「お前のせいで!」と彼は叫んでいる。
森本桜が殺され、精神に異常を来したのかもしれない。
不意に、意識が遠退く。
気付くと、病室にいた。レイドもいる。
松下が来たが、よく分からないことを言って去った。
「夜吠廼人、動けるか?」
「ああ」
「俺の勘なんだが、松下は植物園に行ったんだと思う」
「じゃあ、武器を持って向かおう」
拳銃、警棒、殺虫剤、ライター。
それらを持って行く。
植物園には、宙吊りの死体がふたつ。
響いたのは、松下の悲鳴。
声のした方に向かうと、堀が松下の首を持ち、異様な女に食わせているところに出くわした。
「レイド、朝比奈が言っていたところに連絡しろ」
「分かった!」
警棒を堀に振り下ろすが、避けられた。
異様な化物は、僕に噛み付こうとしてきたので、避ける。
レイドに即席火炎放射器を渡し、堀に攻撃。
レイドの馬鹿、武器を壊しやがった。
僕は、警棒で堀を殺す。化物が発狂し、糸を吐いたので、それを避ける。
しばらくして。朝比奈がどこからか現れ、参戦した。
僕の警棒とレイドの頭突きが決まり、化物をなんとか倒す。
カソウは、怪捜。
化物と関わるなら、まあ全滅もするな。
後始末は朝比奈に任せ、ケイの元へ向かう。
レイドの様子がおかしい。
精神分析をする。
レイドを日の下に連れて行こうとすると拒まれた。
「君たち、何をしているんだい?」
「もちろん、美術鑑賞だ」
「そう。廼人くんに見せたいものがあるんだ」
「鏡を貸してくれるなら、行ってやってもいい」
それを使えば、レイドに日の光を当てることが出来る。
「レイド、座っていろ」
「分かった……」
ケイについて行った。
彼は、謎の装置を見せて、それを装着すれば“真理が分かる”と言う。
「本当に真理があるのだとしたら、僕は自分で見付けたい。断る」
「そう。今回の事件の犯人は、捕まったと思う?」
「ノーだ」
「いいや。もう捕まっている」
「ふん」
コイツにとってはそうなのだろう。
僕は、大元の化物を捕らえることを望むが。
「では、続けて質問だ。うちの美術館に飾られた標本。あれは模倣犯によるものと思うかな」
「ノーだ」
「正解。あれは、模倣犯によるものじゃない」
ケイの質問は続く。
「最後の質問だ。人間の正気とは、どこに宿ると思う?」
「人間は、正気かどうかなんて分からない。自分にも、他人にも」
どこに宿る、以前の問題である。
「はは。私と同じ考えだ」
コイツの精神構造を明かそうとすると、良くないことが起きそうに思えてならない。
「君は、今回の事件をなかったことに出来ると思うかい?」
「定義によるな。例えば、事件関係者全員の記憶を曇らせれば、なかったかのように出来る」
ケイはご不満らしい。
「そうだな。事件が起こらなかった世界へ移動する、とかか?」
「そうだね。それが出来るとしたら?」
「なんのメリットがある?」
「死人の数は減らせるんじゃないかな」
「死んだ連中のことは、僕は正直どうでもいい」
ケイが、お茶会をしようと言う。
出されたパイは明らかに怪しいが、僕はその挑戦を受けてやろうと思った。
喉に何かがつかえる。
「おめでとう、当たりだ」
「ろくでもないフェーヴなんだろうな」
「それはね、感情を餌にする植物の種だよ。君の心臓に植え付けさせてもらった。君の正気が少しでも揺らげば、花が咲くだろう」
つまり、そうなると僕は死ぬという訳だ。
別に構わない。そろそろゲームにも飽きた頃だ。
「そろそろ、レイドくんのところへ戻った方がいい」
「鏡を寄越せ。それから向かう」
「どうぞ。鏡なんて何に使うんだい?」
「お前に答える義理はない」
レイドの元へ行こうとするが、廊下からいなくなっている。
前に見た、展示品のないところへ急いだ。
そこには、レイドがいた。体が言うことを聞かず、ここまで来てしまったらしい。
「あの絵は見るな」
「絵?」
思わず視線を動かすと、絵の具の匂いがする家入写六がいた。
ああ。僕の人生を終わらせた男。
「お前なんだろ? 今回の事件も、お前が糸を引いてるんだろ?!」
レイドには、僕が標本事件の犯人だと思われているみたいだ。
「お前も俺も、虫に寄生されてるんだ!」
針が四肢に刺され、僕の正気が揺れる。
内側から肉が引き裂かれて、花が芽吹く。
暗転。
「廼人、帰るぞ」
「え?」
記憶が繋がらない。僕は死んだはずでは?
レイドは、僕を見ている。
植物園が燃えているのに気付いたので、そちらへ行った。
そこには、須東レイドの死体が飾られている。
「廼人さん、帰りましょう」
「お前は誰だ?」
「ふん。バレたか」
一拍置いて、彼は答えた。
「俺は、須東レイドだ」
「僕の知る須東レイドは、廼人さんなんて呼ばないのだが」
「まあ、色々あったからな」
レイドは、溜め息をつく。
「俺は、この世界の須東レイドを殺した」
「お前、僕に何か隠しているな?」
「隠してないよ」
「嘘だな」
「ははは」
「僕は死んだはずなんだが、何故生きている?」
「その記憶があるのが謎なんだけど」
このレイドは、“全てをなかったことに”したらしい。
「そうまでして、何が得たい?」
「何を得た、か」
「僕を生かしてどうする?」
「お前には人生をめちゃくちゃにされたからな。生きて苦しんでほしいと思った」
強い執着心を感じる。
「要するに、復讐がしたかったのか?」
「復讐。まあ、復讐かもな」
大方、僕が犯罪計画の助言をしてやった人間に知り合いがいたとか、そんなところだろう。
「で、どうする? 何か食べる?」
「一応訊くが、何を食べたい?」
「ラーメン」
「ふぅん」
「それか、カツ丼とか」
「お前とは、食の好みが合わない。まあいい。今日は、ラーメンに付き合ってやる」
須東レイド。お前は、僕の人生を続けさせた。
その責任を取って、最期まで僕を楽しませろよ。
