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あなたの気持ちが分からなかった。
あなたが彼女の気持ちが分からないように。
それを決め付けるのは憚られた。
無作法な気がして。烏滸がましい気がして。
私には、彼女のことも、あなたのことも分からない。
あなたを初めて目にした時。
目線が近いなと思った。
人ならざる者ではあるが。その姿は、恐ろしかったが。
私の身長が、190㎝。彼は、2mほど。
意思の疎通が出来るあなたが、私は少し悲しそうに見えた。
だから、ほんの少しだけ、彼女を悼むことが出来るようにしようと思う。
「せめて、お写真だけでも残しておきませんか?」
彼は、思案した後に、「頼む」と言った。
「はい。お任せください」
私は、綺麗にしたご遺体をスマートフォンのカメラで撮影し、彼にそれを渡す。そして、簡単に使い方を教えた。
あなたのその“分からない”は。その悩みのようなものは。その躊躇いは。
やすやすと手放してはならないものだと思うから。
あなたの長い生が、どのようなものかは、私には推し量れないけれど。その旅路で得た“想い”は、抱えて進んでほしいと願った。
その後。彼女を荼毘に伏す際に。
「人間は、こういう時になんと言う?」と訊かれた。
私は、死後が安らかであるように祈るのではないかと答えたのだが、彼にはあまりしっくりきてないように見える。
「せめて、さようならとお別れの挨拶だけでもしてはいかがでしょうか?」
「そうだな……」
しばしの間の後。
「さようなら…………」と、彼は静かに告げた。
私は、それを黙って見ていた。
それから、迎えの者が来たので、私は依頼者に挨拶をすることにする。
「では、仕事が済みましたので、私は帰ります。傲慢な願いかもしれませんが、あなたの長い生が健やかなものであるように努めてくださることを望みます。私は、生者には、そうあってほしいので。それでは、“さようなら”」
私は、一礼してから彼に背を向けた。
もう、あなたと会うことはないでしょう。
はじめまして。よろしくお願いします。ご依頼、完了いたしました。ありがとうございます。さようなら。
わずかな邂逅。永遠のさようなら。
あなたと彼女。
私とあなた。
あなたは、何を縁に生きるのだろうか?
たまに、あの写真を眺めたりするのだろうか?
“分からない”と“さようなら”を抱き締めたまま。
私は、一度雪山の空を見上げてから、迎えの車に乗り込んだ。
私とあなたの道の交差点は、たったひとつだけ。
仕事に抜かりはなかったように思う。
後は、あなた次第ですよ。
私には、もう何も出来ないけれど、どうか健やかに。
あなたが彼女の気持ちが分からないように。
それを決め付けるのは憚られた。
無作法な気がして。烏滸がましい気がして。
私には、彼女のことも、あなたのことも分からない。
あなたを初めて目にした時。
目線が近いなと思った。
人ならざる者ではあるが。その姿は、恐ろしかったが。
私の身長が、190㎝。彼は、2mほど。
意思の疎通が出来るあなたが、私は少し悲しそうに見えた。
だから、ほんの少しだけ、彼女を悼むことが出来るようにしようと思う。
「せめて、お写真だけでも残しておきませんか?」
彼は、思案した後に、「頼む」と言った。
「はい。お任せください」
私は、綺麗にしたご遺体をスマートフォンのカメラで撮影し、彼にそれを渡す。そして、簡単に使い方を教えた。
あなたのその“分からない”は。その悩みのようなものは。その躊躇いは。
やすやすと手放してはならないものだと思うから。
あなたの長い生が、どのようなものかは、私には推し量れないけれど。その旅路で得た“想い”は、抱えて進んでほしいと願った。
その後。彼女を荼毘に伏す際に。
「人間は、こういう時になんと言う?」と訊かれた。
私は、死後が安らかであるように祈るのではないかと答えたのだが、彼にはあまりしっくりきてないように見える。
「せめて、さようならとお別れの挨拶だけでもしてはいかがでしょうか?」
「そうだな……」
しばしの間の後。
「さようなら…………」と、彼は静かに告げた。
私は、それを黙って見ていた。
それから、迎えの者が来たので、私は依頼者に挨拶をすることにする。
「では、仕事が済みましたので、私は帰ります。傲慢な願いかもしれませんが、あなたの長い生が健やかなものであるように努めてくださることを望みます。私は、生者には、そうあってほしいので。それでは、“さようなら”」
私は、一礼してから彼に背を向けた。
もう、あなたと会うことはないでしょう。
はじめまして。よろしくお願いします。ご依頼、完了いたしました。ありがとうございます。さようなら。
わずかな邂逅。永遠のさようなら。
あなたと彼女。
私とあなた。
あなたは、何を縁に生きるのだろうか?
たまに、あの写真を眺めたりするのだろうか?
“分からない”と“さようなら”を抱き締めたまま。
私は、一度雪山の空を見上げてから、迎えの車に乗り込んだ。
私とあなたの道の交差点は、たったひとつだけ。
仕事に抜かりはなかったように思う。
後は、あなた次第ですよ。
私には、もう何も出来ないけれど、どうか健やかに。
