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狐ヶ崎夜にとって、血縁とは重い鎖だった。
オレを叱責する父。無関心な母。暴力を振るう兄。
「気持ちが悪いな、お前の目は」
兄の朝は、そう言って、オレの目をペン先で潰した。
痛いけど、声が出ない。声を上げたら、怒られるって知ってるから。
ただ、涙だけはボロボロ出た。
「男の癖に情けない」と吐き捨て、兄は去る。
独り、狭い自室で座り込み、ただ泣いた。
怪我をどうにかしようという気持ちも湧かず、そのままにしていたら、後に見かねた女中さんが手当てをしてくれて、「ありがとうございます……」となんとか絞り出す。
その次の日。彼女はいなくなった。父か兄に、クビにされたんだろう。
オレのせいだ。申し訳なくて、「ごめんなさい……」と声が漏れる。
彼女がくれた眼帯をさすった。
優しい人は、いつもこの家からいなくなってしまう。
オレは毎晩、「誰か拐いに来て」と祈っていた。
何年も何年も、祈りは届かなかったけど。
実家を出てから、数年。
オレは、ロックバンド「ナイトソング」のボーカルとして生きていた。
歌うのが好きだから、この仕事は好きである。
作詞も担当していて、たくさん曲を作ってきた。
実家にいた頃の願いは、23歳の夏の雨の日に、突然叶う。
誘拐犯の鮫嶋凪生は、オレに優しかった。
凪生に頭を撫でられた時、“普通の兄”がいたら、こんな感じなのかなと考える。
オレは、もう凪生から離れたくなかった。
そして。帰る素振りをしても、凪生が引き止めてくれなかったのはショックだったけど。
結局、オレは凪生の傍にいたいと願った。
そのためなら、どんなことでもする。
凪生は、毎日オレに料理を作ってくれた。
たまには、オレも一緒に作るし、ちゃんと後片付けも手伝う。
そんな生活が、俺は好きだ。
生け贄を連れて来なくちゃいけないことなんて、些細なことだった。
今のオレは、凪生のためだけに歌っている。
いつからか、俺の感情に変化が見られた。
「ねぇ、凪生」
「ん?」
「……なんでもない」
「なんだよ」
「ごめん」
家族だと、兄だと思っていたはずなのに。
初恋って、叶わないんだって。
そっと、指先で凪生の着物の裾を掴む。
「夜?」
“好き”
その一言が言えずに、唇は閉じた。
「…………」
「夜ー?」
「……凪生、抱き締めてもいい?」
「うん」
オレは、正面から凪生を抱き締める。
大好きだから、ずっと一緒にいようね。
凪生が死んだら、オレも死ぬからね。
大好きだから、独りにしないでね。
「どうした? 夜」
「ちょっと、色々確かめたくて」
「色々?」
「自分の感情、とか」
あんな奴に負けたくない。あの写真の男。
あんな奴より、オレの方が凪生のこと好きだし。
凪生も、オレのことが好きだったらいいのにな。
オレを叱責する父。無関心な母。暴力を振るう兄。
「気持ちが悪いな、お前の目は」
兄の朝は、そう言って、オレの目をペン先で潰した。
痛いけど、声が出ない。声を上げたら、怒られるって知ってるから。
ただ、涙だけはボロボロ出た。
「男の癖に情けない」と吐き捨て、兄は去る。
独り、狭い自室で座り込み、ただ泣いた。
怪我をどうにかしようという気持ちも湧かず、そのままにしていたら、後に見かねた女中さんが手当てをしてくれて、「ありがとうございます……」となんとか絞り出す。
その次の日。彼女はいなくなった。父か兄に、クビにされたんだろう。
オレのせいだ。申し訳なくて、「ごめんなさい……」と声が漏れる。
彼女がくれた眼帯をさすった。
優しい人は、いつもこの家からいなくなってしまう。
オレは毎晩、「誰か拐いに来て」と祈っていた。
何年も何年も、祈りは届かなかったけど。
実家を出てから、数年。
オレは、ロックバンド「ナイトソング」のボーカルとして生きていた。
歌うのが好きだから、この仕事は好きである。
作詞も担当していて、たくさん曲を作ってきた。
実家にいた頃の願いは、23歳の夏の雨の日に、突然叶う。
誘拐犯の鮫嶋凪生は、オレに優しかった。
凪生に頭を撫でられた時、“普通の兄”がいたら、こんな感じなのかなと考える。
オレは、もう凪生から離れたくなかった。
そして。帰る素振りをしても、凪生が引き止めてくれなかったのはショックだったけど。
結局、オレは凪生の傍にいたいと願った。
そのためなら、どんなことでもする。
凪生は、毎日オレに料理を作ってくれた。
たまには、オレも一緒に作るし、ちゃんと後片付けも手伝う。
そんな生活が、俺は好きだ。
生け贄を連れて来なくちゃいけないことなんて、些細なことだった。
今のオレは、凪生のためだけに歌っている。
いつからか、俺の感情に変化が見られた。
「ねぇ、凪生」
「ん?」
「……なんでもない」
「なんだよ」
「ごめん」
家族だと、兄だと思っていたはずなのに。
初恋って、叶わないんだって。
そっと、指先で凪生の着物の裾を掴む。
「夜?」
“好き”
その一言が言えずに、唇は閉じた。
「…………」
「夜ー?」
「……凪生、抱き締めてもいい?」
「うん」
オレは、正面から凪生を抱き締める。
大好きだから、ずっと一緒にいようね。
凪生が死んだら、オレも死ぬからね。
大好きだから、独りにしないでね。
「どうした? 夜」
「ちょっと、色々確かめたくて」
「色々?」
「自分の感情、とか」
あんな奴に負けたくない。あの写真の男。
あんな奴より、オレの方が凪生のこと好きだし。
凪生も、オレのことが好きだったらいいのにな。
