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サクちゃんを誘って、ミスドで待ち合わせ。
サクちゃんは、少し遅れて来た。
「ごめん」
「大丈夫、大丈夫」
彼女は、緑色のワンピースを着ている。
「サクちゃん、服可愛いね」
「ありがとう」
「入ろっか」
「うん」
ふたりで、店内へ。
「サクちゃん、なに頼む?」
「まず、ポン・デ・リングでしょ」
「俺は、エンゼルクリーム。あと、期間限定のやつ」
「今、何があるの?」
「サクラ色だから、サクラ味なんじゃない?」
俺たちは、それらを注文して、店内で食べる。
「サクちゃんは、今とは別の仕事をするとしたら、なにがしたい?」
少し気になって、そんな質問をした。
そうしたら、「晃牙くんは?」と返される。
「ロボット作りたいかな」
父さんみたいに。
戦闘出来るロボットもいいかもね。
サクちゃんと楽しく過ごして、ミスドを出よう、とした時。
意識が途切れた。
そして、目覚めた時。真っ白な部屋にいた。隣には、サクちゃんがいる。
室内を調べみたところ、ここは、「質問に答えないと出られない部屋」だそうだ。白い机の上の手紙に書いてあった。
最初の質問は、「第一印象を教えてください」らしい。
サクちゃんは、チラッと俺を見てから、答えた。
「一目惚れだったんだよね」
「あーそうなの?」
「うん。晃牙くんは?」
「あんま愉快な話じゃないと思うけど」
「聞かせて」
「めんどくさいなって思ってた」
アンドロイドって怖かったし、バディを組むのも嫌々だったんだよね。
ガチャリ、と扉が開く音がした。
進んでみると、また同じような光景で。やっぱり、机の上には手紙が2通ある。それと、普通のお茶。
「相手の好きな所を教えてください」だと。
「どうしよう。100個以上ある」
サクちゃんは、少し頬を染めながら困っている様子。
「あの、ちょっとでいいからね?」
「まずは、優しいところ」
「う、うん」
「あとは、日本刀持ってるところがカッコいいし」
なるほど。
「それに、手袋が、めちゃくちゃカッコいいでしょ」
そうなんだ。
「これを言われるのは嫌かもしれないんだけど、真面目なところが凄い好き」
「あ、そう? それ隠してんだよね、一応」
「だから、本人の前でしか言わないけどね」
「うん。そうして」
重くなっちゃうから。
「晃牙くんも言ってよ」
「サクちゃんの好きなとこねぇ。俺のことが好きなとこかな」
「ふふ。なにそれ。まあ、好きだけどね」
「あ、それだけじゃないよ?」
うーん。言わなきゃダメかな。
「俺は、サクちゃんの目が好きなんだよね」
「そっかぁ」
「綺麗だなって」
俺が、あなたに似合うと言ったネイルの色。緑がかった湖の青。
サクちゃんの緑は、もっと鮮やかだ。
「俺、緑色好きだしね」
「じゃあ、もっと緑色のもの増やそうかな。晃牙くんの好きなもので固めたいなぁ、なんて」
「そこまでしなくても……」
「ふふ。あと、好きなところは。口下手な私でも、側にいてくれるところかな」
「なんか、今でもサクちゃんが口下手な気がしないんだよね」
どうしてだろう?
「サクちゃんのこと勝手に分かった気になってるからかな」
「晃牙くんと話してると、嫌われちゃったらどうしようって思いが強くなって言葉があんまり出て来ないんだよね」
「俺、サクちゃんに見せてないとこあると思うよ」
好きなところは答えたはずなのに、扉が開かない。
サクちゃんが、2通目の裏側に、「相手の嫌いな所を教えてください」と書いてあるのに気付いた。
「ヤバい、どうしよ。全然思い付かない」
「え? ないの?」
サクちゃんは、少し考えてから、「ズルい! ズルいとこ」と言う。
「ズルい?」
「だって、イケメンなことしかしないじゃん」
「そんなことないでしょ」
そもそも。サクちゃんの言う「イケメン」がよく分からないままでいる。
「晃牙くんは?」
「サクちゃんの嫌いなところ?」
なんだろうか。
「……俺を助けようと無茶ばっかしてない? そこが嫌かも」
「ほんと痛いところ突いてくるなぁ」
サクちゃんは、少し困ったように笑う。
「新型アンドロイドだから、みんな助けたい、みたいな」
「それ、疲れると思うけどねぇ」
「私、アンドロイドだから疲れないよ」
「そうかなぁ?」
サクちゃんは、少し躊躇ってから、口を開いた。
「トロッコ問題ってあるでしょ?」
「うん」
「今の私は、晃牙くんと知らない5人なら、5人の方を殺す」
「なんか怖い話が出てきたな」
「私の中での晃牙くんの優先順位が、凄く高くなってる」
サクちゃんの重い感情。俺は、何故か前からそれに嫌悪感がない。
「無茶はしないでね」
「無茶はしないよ」
扉が開く。
3つ目の白い部屋。机の上には、お菓子と飴があった。
「グミがある!」
サクちゃんは、跳ねるような声を上げる。
「食べていいかな?」
「食べたいなら、いいんじゃない?」
「うん。美味しい! 晃牙くんも食べてみなよ」
「じゃあ、ひとつもらおうかな」
「どう?」
「ゼラチンだね」
「そんな言い方はないでしょ」
「え? ごめん」
グミとは、果汁などをゼラチンで固めたドイツ発祥の菓子の一種。とか、そういうことじゃないんだろうな。
手紙には、「相手に望むことはありますか?」とあった。
「そうだなぁ。これからもずっと一緒にいてほしいなって」
サクちゃんは、言葉を続ける。
「いなくならないでほしい、の方がいいのかな」
「まあ、いなくならないけどねぇ」
「うん。一緒にいたい」
「それは、俺もそう」
俺も答えないとな。
「俺は、サクちゃんには楽しいことだけしててほしいよ」
「楽しいことねぇ」
サクちゃんが傷付くのが嫌だ。
あなたには、幸せだけが降り注げばいい。
「今閉じ込められてるから何とも言えないけど、一緒にミスドに行ったり、みんなでタコパしたり……」
サクちゃんは、笑顔を向ける。
「……その望みは、叶ってるよ」
「そう。それならいいんだけど」
「やっぱ、ずっと一緒にいたいってのが一番かなぁ」
「俺も似たようなもんかな」
もう、俺の側からいなくならないでね。
「晃牙くんに、もう危険な目に遭ってほしくないかなぁ」
「職業柄、無理かなぁ」
「私がいるから、そんな危険なことにはならないはず」
「そうだね」
「私は、新型アンドロイドだからね」
扉が開く。
次の部屋には、新たな扉がない。
「最後の部屋かな?」
「そうかも」
「ふたりはどんな関係ですか?」というのが、今回の質問。
「どんな関係なんだろ? 私たち」
「どうなんだろ?」
「パートナーと言えば、パートナーなんだけど……」
サクちゃんは、言い淀んだ。
「……恋人に近いものなのかも。好き同士の、パートナー」
サクちゃんは、はにかんでいる。
「なるほどね」
「お互いが困った時とか、悲しいことが起きた時に、支え合って生きていく。そんなパートナー」
俺たちは、パートナー。それは、きっと幸福なことなんだろうな。
「こんな感じでいいのかな? 晃牙くんは、どう思う?」
「俺、実はたまに考えてんだけど、よく分かんないなって」
「どんなところが分かんないの?」
「サクちゃんのことは、もちろん好きなんだけど」
今の俺って、カッコ悪いかも。
「その好きが、どういう好きかよく分かんないって」
「まあ、色んな好きがあるからね」と、サクちゃん。
「恋愛的な好き、くらいしか分からないかも」
「…………」
恋愛って、謎だ。
「それで言うと私は、千雪ちゃんのことが好きなのかもしれない。これは、晃牙くんに対する好きとは違うかもしれない。推し、みたいな? そんな好き」
「うん」
「晃牙くんに対しての好きは……晃牙くんのいない未来が想像出来ないみたいな……」
サクちゃんがそう言ってくれるのは、本当に嬉しいんだけど。
「ちょっと心配なことがあって。俺の気持ちとサクちゃんの気持ちが吊り合ってないんじゃないかって」
「吊り合ってなくてもいいんじゃないかな」
サクちゃんは、俺を見つめながら、「私は、重い感情を向けてるから」と言った。
「それを受け止めてくれる晃牙くんは、吊り合ってるんじゃないかな?」
「そう言われたら、そうかも?」
「うん。だから、大丈夫」
「好きってなんだろうね?」
分かんないなぁ。
「人間の感情は複雑だからね」
「理屈は分かるんだよ? 脳下垂体の働きでしょ? 瞳孔が開くでしょ? そんな感じだよね」
「そうねー」
サクちゃんはクスクス笑っている。
「色んな質問答えてきたけど、意外と知らないことあるね」
「そうだね。あえて話すこともなかったし」
「うん。で、これは終了の合図とかあるのかな?」
「そうじゃない? あ、俺が答えられてないのかな?」
これは、重要な話だ。
「ちょっと考えさせてもらっていい?」
待ってくれてるサクちゃんのためにも、真剣に考えないと。
そして、辿り着いた答えは。
「俺たちは、大切な幼馴染み同士なんじゃない?」
「うん。そうだね」
嘘偽りない、俺の答え。どうかな?
「幼馴染みかぁ。こう、漫画とかでよくある展開というか」
サクちゃんは、笑みを消して訊いた。
「もし、あの事件がなかったら、私のこと嫌いなままだった?」
「苦手なままだったかもね」
「じゃあ、感謝しないとね。あの情報残してくれた人には」
「それはちょっと癪だな」
俺は、思考する。
「俺はさ、あんな事件なくてもサクちゃんに辿り着いたと思うよ」
「ふふ。嬉しいこと言ってくれるじゃん。私もね、アンドロイドじゃなくても、クチナシサクじゃなくても、晃牙くんには会えたと思うよ」
ふたりで話していると、部屋が光に包まれた。
何か不思議な声が聴こえた気がする。
そして、自室で目覚めた。
あ。サクちゃんから電話だ。
『もしもし、今の……』
「やー、夢じゃないよね?」
『うん、そうだよね』
サクちゃんは、ほっとした様子。
『私の作り出した幻想かと思った』
そんなことはない。
『あの部屋で答えたことは、全部本当なの?』
「本当だよ」
『これからも、私に言いたいこととか、質問したいこととかあったら、ちゃんと話してね』
「うん」
『私は、晃牙くんのパートナーだからね。共有しよう。分け合おう』
「うん。お互いにね」
『約束?』
「約束する」
小指と小指を繋ぐイメージで返事をした。
『これから、どうする? デートの続きする?』
「デート判定なんだ」
『違った?』
「いや、デートだね」
サクちゃんと俺って、デートする関係だろうし。
「じゃあ、どこ行こうか?」
『晃牙くんの好きな古本屋? あそこ、行ってみたいかも』
そうして、もう一度待ち合わせをすることにした。
「あ、ちょっと待って。切る前に」
『ん? なに?』
「好きとか、よく分かんないけど。サクちゃん、愛してるよ」
通話を切る。
その後。古書店デートが終わって。
「愛してるよ」と、サクちゃんに言われた。
「ありがとう」と、いつもと少しだけ違う笑みを浮かべて返す。
両目を前髪で隠しててよかった。
サクちゃんは、少し遅れて来た。
「ごめん」
「大丈夫、大丈夫」
彼女は、緑色のワンピースを着ている。
「サクちゃん、服可愛いね」
「ありがとう」
「入ろっか」
「うん」
ふたりで、店内へ。
「サクちゃん、なに頼む?」
「まず、ポン・デ・リングでしょ」
「俺は、エンゼルクリーム。あと、期間限定のやつ」
「今、何があるの?」
「サクラ色だから、サクラ味なんじゃない?」
俺たちは、それらを注文して、店内で食べる。
「サクちゃんは、今とは別の仕事をするとしたら、なにがしたい?」
少し気になって、そんな質問をした。
そうしたら、「晃牙くんは?」と返される。
「ロボット作りたいかな」
父さんみたいに。
戦闘出来るロボットもいいかもね。
サクちゃんと楽しく過ごして、ミスドを出よう、とした時。
意識が途切れた。
そして、目覚めた時。真っ白な部屋にいた。隣には、サクちゃんがいる。
室内を調べみたところ、ここは、「質問に答えないと出られない部屋」だそうだ。白い机の上の手紙に書いてあった。
最初の質問は、「第一印象を教えてください」らしい。
サクちゃんは、チラッと俺を見てから、答えた。
「一目惚れだったんだよね」
「あーそうなの?」
「うん。晃牙くんは?」
「あんま愉快な話じゃないと思うけど」
「聞かせて」
「めんどくさいなって思ってた」
アンドロイドって怖かったし、バディを組むのも嫌々だったんだよね。
ガチャリ、と扉が開く音がした。
進んでみると、また同じような光景で。やっぱり、机の上には手紙が2通ある。それと、普通のお茶。
「相手の好きな所を教えてください」だと。
「どうしよう。100個以上ある」
サクちゃんは、少し頬を染めながら困っている様子。
「あの、ちょっとでいいからね?」
「まずは、優しいところ」
「う、うん」
「あとは、日本刀持ってるところがカッコいいし」
なるほど。
「それに、手袋が、めちゃくちゃカッコいいでしょ」
そうなんだ。
「これを言われるのは嫌かもしれないんだけど、真面目なところが凄い好き」
「あ、そう? それ隠してんだよね、一応」
「だから、本人の前でしか言わないけどね」
「うん。そうして」
重くなっちゃうから。
「晃牙くんも言ってよ」
「サクちゃんの好きなとこねぇ。俺のことが好きなとこかな」
「ふふ。なにそれ。まあ、好きだけどね」
「あ、それだけじゃないよ?」
うーん。言わなきゃダメかな。
「俺は、サクちゃんの目が好きなんだよね」
「そっかぁ」
「綺麗だなって」
俺が、あなたに似合うと言ったネイルの色。緑がかった湖の青。
サクちゃんの緑は、もっと鮮やかだ。
「俺、緑色好きだしね」
「じゃあ、もっと緑色のもの増やそうかな。晃牙くんの好きなもので固めたいなぁ、なんて」
「そこまでしなくても……」
「ふふ。あと、好きなところは。口下手な私でも、側にいてくれるところかな」
「なんか、今でもサクちゃんが口下手な気がしないんだよね」
どうしてだろう?
「サクちゃんのこと勝手に分かった気になってるからかな」
「晃牙くんと話してると、嫌われちゃったらどうしようって思いが強くなって言葉があんまり出て来ないんだよね」
「俺、サクちゃんに見せてないとこあると思うよ」
好きなところは答えたはずなのに、扉が開かない。
サクちゃんが、2通目の裏側に、「相手の嫌いな所を教えてください」と書いてあるのに気付いた。
「ヤバい、どうしよ。全然思い付かない」
「え? ないの?」
サクちゃんは、少し考えてから、「ズルい! ズルいとこ」と言う。
「ズルい?」
「だって、イケメンなことしかしないじゃん」
「そんなことないでしょ」
そもそも。サクちゃんの言う「イケメン」がよく分からないままでいる。
「晃牙くんは?」
「サクちゃんの嫌いなところ?」
なんだろうか。
「……俺を助けようと無茶ばっかしてない? そこが嫌かも」
「ほんと痛いところ突いてくるなぁ」
サクちゃんは、少し困ったように笑う。
「新型アンドロイドだから、みんな助けたい、みたいな」
「それ、疲れると思うけどねぇ」
「私、アンドロイドだから疲れないよ」
「そうかなぁ?」
サクちゃんは、少し躊躇ってから、口を開いた。
「トロッコ問題ってあるでしょ?」
「うん」
「今の私は、晃牙くんと知らない5人なら、5人の方を殺す」
「なんか怖い話が出てきたな」
「私の中での晃牙くんの優先順位が、凄く高くなってる」
サクちゃんの重い感情。俺は、何故か前からそれに嫌悪感がない。
「無茶はしないでね」
「無茶はしないよ」
扉が開く。
3つ目の白い部屋。机の上には、お菓子と飴があった。
「グミがある!」
サクちゃんは、跳ねるような声を上げる。
「食べていいかな?」
「食べたいなら、いいんじゃない?」
「うん。美味しい! 晃牙くんも食べてみなよ」
「じゃあ、ひとつもらおうかな」
「どう?」
「ゼラチンだね」
「そんな言い方はないでしょ」
「え? ごめん」
グミとは、果汁などをゼラチンで固めたドイツ発祥の菓子の一種。とか、そういうことじゃないんだろうな。
手紙には、「相手に望むことはありますか?」とあった。
「そうだなぁ。これからもずっと一緒にいてほしいなって」
サクちゃんは、言葉を続ける。
「いなくならないでほしい、の方がいいのかな」
「まあ、いなくならないけどねぇ」
「うん。一緒にいたい」
「それは、俺もそう」
俺も答えないとな。
「俺は、サクちゃんには楽しいことだけしててほしいよ」
「楽しいことねぇ」
サクちゃんが傷付くのが嫌だ。
あなたには、幸せだけが降り注げばいい。
「今閉じ込められてるから何とも言えないけど、一緒にミスドに行ったり、みんなでタコパしたり……」
サクちゃんは、笑顔を向ける。
「……その望みは、叶ってるよ」
「そう。それならいいんだけど」
「やっぱ、ずっと一緒にいたいってのが一番かなぁ」
「俺も似たようなもんかな」
もう、俺の側からいなくならないでね。
「晃牙くんに、もう危険な目に遭ってほしくないかなぁ」
「職業柄、無理かなぁ」
「私がいるから、そんな危険なことにはならないはず」
「そうだね」
「私は、新型アンドロイドだからね」
扉が開く。
次の部屋には、新たな扉がない。
「最後の部屋かな?」
「そうかも」
「ふたりはどんな関係ですか?」というのが、今回の質問。
「どんな関係なんだろ? 私たち」
「どうなんだろ?」
「パートナーと言えば、パートナーなんだけど……」
サクちゃんは、言い淀んだ。
「……恋人に近いものなのかも。好き同士の、パートナー」
サクちゃんは、はにかんでいる。
「なるほどね」
「お互いが困った時とか、悲しいことが起きた時に、支え合って生きていく。そんなパートナー」
俺たちは、パートナー。それは、きっと幸福なことなんだろうな。
「こんな感じでいいのかな? 晃牙くんは、どう思う?」
「俺、実はたまに考えてんだけど、よく分かんないなって」
「どんなところが分かんないの?」
「サクちゃんのことは、もちろん好きなんだけど」
今の俺って、カッコ悪いかも。
「その好きが、どういう好きかよく分かんないって」
「まあ、色んな好きがあるからね」と、サクちゃん。
「恋愛的な好き、くらいしか分からないかも」
「…………」
恋愛って、謎だ。
「それで言うと私は、千雪ちゃんのことが好きなのかもしれない。これは、晃牙くんに対する好きとは違うかもしれない。推し、みたいな? そんな好き」
「うん」
「晃牙くんに対しての好きは……晃牙くんのいない未来が想像出来ないみたいな……」
サクちゃんがそう言ってくれるのは、本当に嬉しいんだけど。
「ちょっと心配なことがあって。俺の気持ちとサクちゃんの気持ちが吊り合ってないんじゃないかって」
「吊り合ってなくてもいいんじゃないかな」
サクちゃんは、俺を見つめながら、「私は、重い感情を向けてるから」と言った。
「それを受け止めてくれる晃牙くんは、吊り合ってるんじゃないかな?」
「そう言われたら、そうかも?」
「うん。だから、大丈夫」
「好きってなんだろうね?」
分かんないなぁ。
「人間の感情は複雑だからね」
「理屈は分かるんだよ? 脳下垂体の働きでしょ? 瞳孔が開くでしょ? そんな感じだよね」
「そうねー」
サクちゃんはクスクス笑っている。
「色んな質問答えてきたけど、意外と知らないことあるね」
「そうだね。あえて話すこともなかったし」
「うん。で、これは終了の合図とかあるのかな?」
「そうじゃない? あ、俺が答えられてないのかな?」
これは、重要な話だ。
「ちょっと考えさせてもらっていい?」
待ってくれてるサクちゃんのためにも、真剣に考えないと。
そして、辿り着いた答えは。
「俺たちは、大切な幼馴染み同士なんじゃない?」
「うん。そうだね」
嘘偽りない、俺の答え。どうかな?
「幼馴染みかぁ。こう、漫画とかでよくある展開というか」
サクちゃんは、笑みを消して訊いた。
「もし、あの事件がなかったら、私のこと嫌いなままだった?」
「苦手なままだったかもね」
「じゃあ、感謝しないとね。あの情報残してくれた人には」
「それはちょっと癪だな」
俺は、思考する。
「俺はさ、あんな事件なくてもサクちゃんに辿り着いたと思うよ」
「ふふ。嬉しいこと言ってくれるじゃん。私もね、アンドロイドじゃなくても、クチナシサクじゃなくても、晃牙くんには会えたと思うよ」
ふたりで話していると、部屋が光に包まれた。
何か不思議な声が聴こえた気がする。
そして、自室で目覚めた。
あ。サクちゃんから電話だ。
『もしもし、今の……』
「やー、夢じゃないよね?」
『うん、そうだよね』
サクちゃんは、ほっとした様子。
『私の作り出した幻想かと思った』
そんなことはない。
『あの部屋で答えたことは、全部本当なの?』
「本当だよ」
『これからも、私に言いたいこととか、質問したいこととかあったら、ちゃんと話してね』
「うん」
『私は、晃牙くんのパートナーだからね。共有しよう。分け合おう』
「うん。お互いにね」
『約束?』
「約束する」
小指と小指を繋ぐイメージで返事をした。
『これから、どうする? デートの続きする?』
「デート判定なんだ」
『違った?』
「いや、デートだね」
サクちゃんと俺って、デートする関係だろうし。
「じゃあ、どこ行こうか?」
『晃牙くんの好きな古本屋? あそこ、行ってみたいかも』
そうして、もう一度待ち合わせをすることにした。
「あ、ちょっと待って。切る前に」
『ん? なに?』
「好きとか、よく分かんないけど。サクちゃん、愛してるよ」
通話を切る。
その後。古書店デートが終わって。
「愛してるよ」と、サクちゃんに言われた。
「ありがとう」と、いつもと少しだけ違う笑みを浮かべて返す。
両目を前髪で隠しててよかった。
