ルームメイトの音屋さん
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春。桜並木を歩いていると、同じ大学のサークルの先輩が立ち止まっているのに気付いた。
この先輩の名前は、砂江スナエという。特徴的過ぎる名前だ。それに、彼女は、いつも白衣を着ていて。片手に数取り器を持って、カチカチと鳴らしているから。大半の人に、変人だと言われていた。
同じ映像研の仲間にさえ、そう言う者がいる。
大学一年生の僕は、ひとつ上の歳の彼女のことをよく知らない。
近付くと、先輩は、カチカチと数取り器を押しながら、舞い散る桜を見ていた。
「先輩」
「……下柳くん、だよね。おはよう」
「はい。おはようございます。何してるんですか?」
「桜の花弁を数えてる」
「そうですか」
何故? という言葉を呑み込む。
「講義、間に合うんですか?」
「ああ。そういえば、大学へ行く途中だったな。今から行けば間に合うよ」
自然と、並んで大学まで向かうことになった。
「先輩は、どうして映像研に入ったんですか?」
「私は、物語オタクなんだ。媒体は問わないけど、音効になりたいから、映像に関わってみようかなって」
「なるほど」
音効。つまり、音響効果か。
「下柳くんは、どうして?」
「僕は、3DCGをやりたくて」
「そうなんだ。いいね」
「ありがとうございます」
スナエ先輩(苗字も名前も同じ音なので、つい名前の方を思い浮かべてしまう)は、別に気難しいとか、親しみづらいという感じはしない。
「どうして、数取り器を携帯してるんですか?」
「カチカチ鳴らすと楽しいから。いい音じゃない?」
「はぁ…………」
正直、僕にはよく分からなかったので、曖昧な返事をした。そういう返事には、慣れているんだろう。先輩は、特に気にした様子もない。
「あの、質問ばかりで申し訳ないんですけど……」
「別にいいよ」
「どうして白衣なんですか?」
「マッドサイエンティストが好きだから」
「例えば?」
「白神博士」
「ビオランテの?」
「うん。私も怪獣創りたいよ」
「特撮も好きなんですね」
「好き」
そんな風に話していると、大学構内に着いたので、解散になった。
「じゃあ、また映像研で」
「はい」
その後。僕は、サークル活動の時間まで、講義を受けたり、図書室で自習したりした。
サークル棟の一室。映像研と表札が出ているドアを開ける。
「こんにちは」
「こんちは」
「こんにちは」
「おっ。下柳じゃん」
先に来ていた面々から、挨拶を返された。
スナエ先輩は、まだ来てないらしい。
「見たよ~。今日、大学に砂江さんとふたりで来たでしょ~」
「まあ、成り行きで……」
「ただの成り行き? このサークル、浮いた話ないからさ。退屈してんの、私」
「そんなんじゃないです」
「ちぇー」
加賀美先輩は、わざとらしく溜め息をつき、つまらなそうにしている。
「後輩をエンタメ消費しようとすな」
「はーい」
部長が、軽く注意をした。よかった。スナエ先輩と気まずくなりたくないから。
「こん~」と明るい調子で、噂のスナエ先輩がやって来た。
「こんにちは」と挨拶すると、猫みたいに微笑まれる。何を考えているのか読めない。
「砂江、お前の好きなやつ撮るぞ」
「どれですか?」
「そういや、そうだったな。レンジが広過ぎんだよ、お前は」
「SFだよ、すーちゃん」
「マッドサイエンティスト?!」
「も出るし、怪獣も出る」
「やったー!」
先輩は、両手を上げて喜んでいる。
「そんで、音響効果とシナリオ補佐を任せる」
「了解です!」
右手でピースを作り、了承するスナエ先輩。
「え? シナリオ補佐もするんですか?」
「すーちゃん、筆早いし、理系じゃないのに科学考証出来るもんねぇ」
「なんでも書きます!」
「へー…………」
部長や先輩たちは、スナエ先輩が文章でお金を稼いでいることや、いかにSFを好きかを話している。
僕は、また知らない先輩を知った。
「ジャンル問わず、なんでも食べるもんな」と、部長。
「恋愛だけは、あんまり食べないですよ」
「そうだな」
「なんで?」
「そんなに興味ないんで」
「ふーん」
スナエ先輩は、恋愛もののことを、いつまで経っても殺人鬼が出て来ないホラーみたいだと言った。そんな認識なのか。随分と退屈そうだ。
「今日から、九月の学祭に向けて短編映画を制作してくんで、よろしくな」
「はい」と、部長に答える映像研のメンバー。
スナエ先輩とは、あまり関われないかもしれないなと思った。
思ったのだが。翌日から、スナエ先輩は、何故かCG班のところに居着いて、怪獣のモデリング作業を見ながら唸っている。
「スナエ先輩」
「んー?」
「何をしてるんですか?」
「この子の鳴き声を考えてる」
そうだったのか。
「サンプリングとかするんですか?」
「いや、たぶんドライアイスをシンクに落とすだけでイケる」
「なるほど」
シンクに設置したドライアイスは、化物の金切り声のような音がするそうだ。
「シナリオは、どうなりました?」
「部長が書いてから、私が削る」
「そうですか」
先輩は、文章を短くするのが得意なんだとか。
スナエ先輩の見えてる部分って、氷山の一角みたいだ。
学祭に向けての制作は、順調に進んでいく。
先輩と僕は、サークル外でも、よく話すようになっていった。
昼ごはんを一緒に食べたり、講義の合間に雑談をしたり。
それから、連絡先も交換した。
先輩は、長文で読んだ本や観た映画などのプレゼンを送ってくることが多い。
共通する好きなものもいくつかあって、親しみを覚えた。
「スナエ先輩は、卒業したら就職ですか?」
ある日、そんなことを訊く。
「たぶんね。入りたい音響スタジオがあって」
「そうなんですか」
「下柳くんは、CGのスタジオ?」
「そうですね。アニメ制作に関わりたいです」
「いいじゃん」
スナエ先輩は、アニメも好きだからか、楽しそうな表情をした。
「いつか、一緒に仕事出来たらいいねぇ」
「はい」
それは、彼女がくれた夢。目標のひとつになった。
季節は過ぎていき、夏になる。
スナエ先輩とは、休日に遊びに行くことも増えてきた。
一緒に、映画館や展示会に行って、帰りに喫茶店でお茶をするというのが、いつもの流れである。
スナエ先輩は、小柄(身長は150㎝だと聞いた)なのに、よく食べる人で。とても美味しそうに飲食をする。そんな彼女を見るのが、僕は好きだった。
「下柳くん」
「はい」
ロボットアニメ映画を観た後、喫茶店で先輩が言う。
ストローで、くるくるとアイスココアを混ぜながら。
「私の秘密、知りたい?」
「スナエ先輩の秘密?」
「君になら教えてもいいかなって思ったの」
「……知りたいです」
「ありがとう」
先輩は、笑顔を見せた。
「私ね、性自認が女じゃないんだ。正確に言うと、女である時も男である時もあるXジェンダーなんだよね」
「そうだったんですか」
「うん。それから、アセクシャルって分かる?」
「いえ」
「私の中に性愛ってないんだ。身体接触が苦手」
「なるほど…………」
これは、凄く大切な話だと思う。スナエ先輩は、僕を信頼してくれているんだ。
「あ、フィクションは大丈夫だよ」
彼女、いや、先輩は慌てて付け足した。
「聞いてくれて、ありがとうね」
「いえ。聞けてよかったです」
この、罪悪感のようなものはなんだろう? もしかして、スナエ先輩が好きだから?
迷惑をかけたくない。この気持ちは、閉じ込めておこう。
そう決めた。
スナエ先輩には、友人として接していく。
そうして、九月になった。
学祭当日。当たり前のように、スナエ先輩は、一緒に見て回ろうと言ってくれた。
「漫研の部誌ゲット! 次はどこ行く?」
「ホールで劇とライブがありますね」
「じゃ、そこで、映像研の上映まで時間潰そう」
「はい」
先輩は、僕の腕を掴んで、人混みへと入って行く。
そんなことで、僕の心臓はどきどきした。
シェイクスピアの劇と、コピーバンドの演奏を観てから、僕たちは上映室へ向かう。
ふたりで並んで座り、少し緊張しながら映写機を見た。
そして。SF短編映画が始まる。
作るのには、あんなに時間がかかったのに、観終わるのは、あっという間だった。
スタッフロールが流れていく。
音響効果・シナリオ補佐:砂江スナエ
3DCG:下柳雄一郎
ふたりの名前を、脳に刻み付けるように見た。
その後、後夜祭では、映像研のみんなで軽く打ち上げをする。
「お疲れ様!」と、部長が大きな声で言って、それぞれが飲み物で乾杯した。
スナエ先輩は、缶のロイヤルミルクティーを飲んでいる。
打ち上げを終えて。後片付けをして、解散になると、僕と先輩は自然と一緒に帰ることになった。
「あのさ、下柳くん」
「どうかしました?」
「突然なんだけど、ルームシェアしない?」
「えっ!?」
「親戚が一軒家を貸してくれるって言ってるんだけど、ひとり暮らしは不安でね」
それは、本当に突然だったけれど、僕の返事は決まっている。
「あの、よろしくお願いします……」
「うん、よろしくね」
僕は、スナエ先輩と握手した。
この先、長い付き合いになるとは知らずに。
まさか、大学を卒業しても一緒に住み続けるなんて考えていなかった。
秋の始めの夕暮れが、ふたりを照らしている。
この先輩の名前は、砂江スナエという。特徴的過ぎる名前だ。それに、彼女は、いつも白衣を着ていて。片手に数取り器を持って、カチカチと鳴らしているから。大半の人に、変人だと言われていた。
同じ映像研の仲間にさえ、そう言う者がいる。
大学一年生の僕は、ひとつ上の歳の彼女のことをよく知らない。
近付くと、先輩は、カチカチと数取り器を押しながら、舞い散る桜を見ていた。
「先輩」
「……下柳くん、だよね。おはよう」
「はい。おはようございます。何してるんですか?」
「桜の花弁を数えてる」
「そうですか」
何故? という言葉を呑み込む。
「講義、間に合うんですか?」
「ああ。そういえば、大学へ行く途中だったな。今から行けば間に合うよ」
自然と、並んで大学まで向かうことになった。
「先輩は、どうして映像研に入ったんですか?」
「私は、物語オタクなんだ。媒体は問わないけど、音効になりたいから、映像に関わってみようかなって」
「なるほど」
音効。つまり、音響効果か。
「下柳くんは、どうして?」
「僕は、3DCGをやりたくて」
「そうなんだ。いいね」
「ありがとうございます」
スナエ先輩(苗字も名前も同じ音なので、つい名前の方を思い浮かべてしまう)は、別に気難しいとか、親しみづらいという感じはしない。
「どうして、数取り器を携帯してるんですか?」
「カチカチ鳴らすと楽しいから。いい音じゃない?」
「はぁ…………」
正直、僕にはよく分からなかったので、曖昧な返事をした。そういう返事には、慣れているんだろう。先輩は、特に気にした様子もない。
「あの、質問ばかりで申し訳ないんですけど……」
「別にいいよ」
「どうして白衣なんですか?」
「マッドサイエンティストが好きだから」
「例えば?」
「白神博士」
「ビオランテの?」
「うん。私も怪獣創りたいよ」
「特撮も好きなんですね」
「好き」
そんな風に話していると、大学構内に着いたので、解散になった。
「じゃあ、また映像研で」
「はい」
その後。僕は、サークル活動の時間まで、講義を受けたり、図書室で自習したりした。
サークル棟の一室。映像研と表札が出ているドアを開ける。
「こんにちは」
「こんちは」
「こんにちは」
「おっ。下柳じゃん」
先に来ていた面々から、挨拶を返された。
スナエ先輩は、まだ来てないらしい。
「見たよ~。今日、大学に砂江さんとふたりで来たでしょ~」
「まあ、成り行きで……」
「ただの成り行き? このサークル、浮いた話ないからさ。退屈してんの、私」
「そんなんじゃないです」
「ちぇー」
加賀美先輩は、わざとらしく溜め息をつき、つまらなそうにしている。
「後輩をエンタメ消費しようとすな」
「はーい」
部長が、軽く注意をした。よかった。スナエ先輩と気まずくなりたくないから。
「こん~」と明るい調子で、噂のスナエ先輩がやって来た。
「こんにちは」と挨拶すると、猫みたいに微笑まれる。何を考えているのか読めない。
「砂江、お前の好きなやつ撮るぞ」
「どれですか?」
「そういや、そうだったな。レンジが広過ぎんだよ、お前は」
「SFだよ、すーちゃん」
「マッドサイエンティスト?!」
「も出るし、怪獣も出る」
「やったー!」
先輩は、両手を上げて喜んでいる。
「そんで、音響効果とシナリオ補佐を任せる」
「了解です!」
右手でピースを作り、了承するスナエ先輩。
「え? シナリオ補佐もするんですか?」
「すーちゃん、筆早いし、理系じゃないのに科学考証出来るもんねぇ」
「なんでも書きます!」
「へー…………」
部長や先輩たちは、スナエ先輩が文章でお金を稼いでいることや、いかにSFを好きかを話している。
僕は、また知らない先輩を知った。
「ジャンル問わず、なんでも食べるもんな」と、部長。
「恋愛だけは、あんまり食べないですよ」
「そうだな」
「なんで?」
「そんなに興味ないんで」
「ふーん」
スナエ先輩は、恋愛もののことを、いつまで経っても殺人鬼が出て来ないホラーみたいだと言った。そんな認識なのか。随分と退屈そうだ。
「今日から、九月の学祭に向けて短編映画を制作してくんで、よろしくな」
「はい」と、部長に答える映像研のメンバー。
スナエ先輩とは、あまり関われないかもしれないなと思った。
思ったのだが。翌日から、スナエ先輩は、何故かCG班のところに居着いて、怪獣のモデリング作業を見ながら唸っている。
「スナエ先輩」
「んー?」
「何をしてるんですか?」
「この子の鳴き声を考えてる」
そうだったのか。
「サンプリングとかするんですか?」
「いや、たぶんドライアイスをシンクに落とすだけでイケる」
「なるほど」
シンクに設置したドライアイスは、化物の金切り声のような音がするそうだ。
「シナリオは、どうなりました?」
「部長が書いてから、私が削る」
「そうですか」
先輩は、文章を短くするのが得意なんだとか。
スナエ先輩の見えてる部分って、氷山の一角みたいだ。
学祭に向けての制作は、順調に進んでいく。
先輩と僕は、サークル外でも、よく話すようになっていった。
昼ごはんを一緒に食べたり、講義の合間に雑談をしたり。
それから、連絡先も交換した。
先輩は、長文で読んだ本や観た映画などのプレゼンを送ってくることが多い。
共通する好きなものもいくつかあって、親しみを覚えた。
「スナエ先輩は、卒業したら就職ですか?」
ある日、そんなことを訊く。
「たぶんね。入りたい音響スタジオがあって」
「そうなんですか」
「下柳くんは、CGのスタジオ?」
「そうですね。アニメ制作に関わりたいです」
「いいじゃん」
スナエ先輩は、アニメも好きだからか、楽しそうな表情をした。
「いつか、一緒に仕事出来たらいいねぇ」
「はい」
それは、彼女がくれた夢。目標のひとつになった。
季節は過ぎていき、夏になる。
スナエ先輩とは、休日に遊びに行くことも増えてきた。
一緒に、映画館や展示会に行って、帰りに喫茶店でお茶をするというのが、いつもの流れである。
スナエ先輩は、小柄(身長は150㎝だと聞いた)なのに、よく食べる人で。とても美味しそうに飲食をする。そんな彼女を見るのが、僕は好きだった。
「下柳くん」
「はい」
ロボットアニメ映画を観た後、喫茶店で先輩が言う。
ストローで、くるくるとアイスココアを混ぜながら。
「私の秘密、知りたい?」
「スナエ先輩の秘密?」
「君になら教えてもいいかなって思ったの」
「……知りたいです」
「ありがとう」
先輩は、笑顔を見せた。
「私ね、性自認が女じゃないんだ。正確に言うと、女である時も男である時もあるXジェンダーなんだよね」
「そうだったんですか」
「うん。それから、アセクシャルって分かる?」
「いえ」
「私の中に性愛ってないんだ。身体接触が苦手」
「なるほど…………」
これは、凄く大切な話だと思う。スナエ先輩は、僕を信頼してくれているんだ。
「あ、フィクションは大丈夫だよ」
彼女、いや、先輩は慌てて付け足した。
「聞いてくれて、ありがとうね」
「いえ。聞けてよかったです」
この、罪悪感のようなものはなんだろう? もしかして、スナエ先輩が好きだから?
迷惑をかけたくない。この気持ちは、閉じ込めておこう。
そう決めた。
スナエ先輩には、友人として接していく。
そうして、九月になった。
学祭当日。当たり前のように、スナエ先輩は、一緒に見て回ろうと言ってくれた。
「漫研の部誌ゲット! 次はどこ行く?」
「ホールで劇とライブがありますね」
「じゃ、そこで、映像研の上映まで時間潰そう」
「はい」
先輩は、僕の腕を掴んで、人混みへと入って行く。
そんなことで、僕の心臓はどきどきした。
シェイクスピアの劇と、コピーバンドの演奏を観てから、僕たちは上映室へ向かう。
ふたりで並んで座り、少し緊張しながら映写機を見た。
そして。SF短編映画が始まる。
作るのには、あんなに時間がかかったのに、観終わるのは、あっという間だった。
スタッフロールが流れていく。
音響効果・シナリオ補佐:砂江スナエ
3DCG:下柳雄一郎
ふたりの名前を、脳に刻み付けるように見た。
その後、後夜祭では、映像研のみんなで軽く打ち上げをする。
「お疲れ様!」と、部長が大きな声で言って、それぞれが飲み物で乾杯した。
スナエ先輩は、缶のロイヤルミルクティーを飲んでいる。
打ち上げを終えて。後片付けをして、解散になると、僕と先輩は自然と一緒に帰ることになった。
「あのさ、下柳くん」
「どうかしました?」
「突然なんだけど、ルームシェアしない?」
「えっ!?」
「親戚が一軒家を貸してくれるって言ってるんだけど、ひとり暮らしは不安でね」
それは、本当に突然だったけれど、僕の返事は決まっている。
「あの、よろしくお願いします……」
「うん、よろしくね」
僕は、スナエ先輩と握手した。
この先、長い付き合いになるとは知らずに。
まさか、大学を卒業しても一緒に住み続けるなんて考えていなかった。
秋の始めの夕暮れが、ふたりを照らしている。
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