自己投影夢
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大学時代の後輩と、ルームシェアしている。
名前は、下柳雄一郎。武蔵野アニメーション所属の3D監督。温厚な性格で、人当たりもよい男だ。
そして、私はスナエ。サワラ・スタジオで働く、音響効果だ。
私たちは良好な関係を築けている。じゃないと、ルームシェアなんてとっくに破綻しているだろう。
たまに、外野に「男女でルームシェア? 同棲じゃなくて?」と言われるが知ったことではない。
私は肉体は女だが、不定性である。要するに、男である時もあれば、女である時もある。流動的なのだ。
それはそれとして、私と下柳くんは恋人ではない。私が片想いをしているだけだ。
いつから好きなのかは、正直分からない。いつの間にか好きになっていた。
朝、6時。下柳くんはまだ寝ている。ふたりの寝室は、当然別々なので、もしかしたら起きているかもしれないが。
私は身支度を済ませて、リビングへ行き、キッチンへ向かう。
今日は何を食べようかな。
私は料理をほとんどしない。米を炊くとか、乾麺を茹でるとかしかしない。料理と相性が悪いのだ。そういうことにしている。
朝食は、冷凍食品の中から、炒飯を選んで食べることにした。レンジに入れて、4分待つ。
待ってる間に、下柳くんのことを考える。
恋人になってほしいと言ってみようかな? 少なくとも嫌われてはいないだろうし。なんとかなったりしないかな? 彼と付き合えたら楽しいだろうな。
でも、今と変わることとはなんだろう?
キスしたりセックスしたり?
しかし、私はアセクシャルなので、それらはあまりしたくない。付き合うならば、折衷案を考える必要がある。頭が痛い。
でも、私は彼に恋をしているから、一方的に我慢を強いるのは避けたい。
チンッ。レンジが軽い音を立てる。
炒飯を食べ終えたところで、下柳くんがリビングへやって来た。
「おはようございます、スナエさん」
「おはよう、下柳くん」
いつものやり取り。
「なに食べたんですか?」
「炒飯だよ」
「僕もそれにしようかな」
「美味しかったよ。あと私、下柳くんのこと好きなんだけど、付き合わない?」
いつもとは違う台詞。下柳くんは、「えっ?」と少し驚いた顔をする。
「先輩は、恋愛をしない人なんだと思ってました」
「恋愛はするよ。その先に性愛はないけど」
「そうなんですか。僕、スナエさんのこと好きですよ。でも、僕はキスしたいとか思う人間ですよ?」
「それなんだけど、少しくらいなら私も頑張れると思う。セックスはちょっと分からないけど」
「……先輩と、恋人になりたいです。なってみませんか? それで、僕らの友情が壊れることはないと思いますし」
「確かに、そうだね。それじゃあ、付き合うか!」
「よろしくお願いします」
「うん、よろしく」
ふたりで握手をした。
◆◆◆
「戦闘機の音、どう?」
「いいと思います。金属が擦れる音も完璧です。さすが、スナエ先輩」
「耳がいいのが取り柄だからね」
いつものやり取り。
職場の人たちも、まさか私たちが付き合いだしたとは思うまい。
「それじゃ、私もうスタジオに戻るから。頑張ってね」
「はい。先輩も頑張ってください」
武蔵野アニメーションを出て、サワラ・スタジオへ戻る。
道すがら、彼のことを想う。
付き合っているんだなぁ。不思議な感じだなぁ。
決して短くない付き合いだが、こんな気持ちになるのは初めてのことだ。
きっと、私は今、浮かれている。少し、スキップしてしまうくらいに。
名前は、下柳雄一郎。武蔵野アニメーション所属の3D監督。温厚な性格で、人当たりもよい男だ。
そして、私はスナエ。サワラ・スタジオで働く、音響効果だ。
私たちは良好な関係を築けている。じゃないと、ルームシェアなんてとっくに破綻しているだろう。
たまに、外野に「男女でルームシェア? 同棲じゃなくて?」と言われるが知ったことではない。
私は肉体は女だが、不定性である。要するに、男である時もあれば、女である時もある。流動的なのだ。
それはそれとして、私と下柳くんは恋人ではない。私が片想いをしているだけだ。
いつから好きなのかは、正直分からない。いつの間にか好きになっていた。
朝、6時。下柳くんはまだ寝ている。ふたりの寝室は、当然別々なので、もしかしたら起きているかもしれないが。
私は身支度を済ませて、リビングへ行き、キッチンへ向かう。
今日は何を食べようかな。
私は料理をほとんどしない。米を炊くとか、乾麺を茹でるとかしかしない。料理と相性が悪いのだ。そういうことにしている。
朝食は、冷凍食品の中から、炒飯を選んで食べることにした。レンジに入れて、4分待つ。
待ってる間に、下柳くんのことを考える。
恋人になってほしいと言ってみようかな? 少なくとも嫌われてはいないだろうし。なんとかなったりしないかな? 彼と付き合えたら楽しいだろうな。
でも、今と変わることとはなんだろう?
キスしたりセックスしたり?
しかし、私はアセクシャルなので、それらはあまりしたくない。付き合うならば、折衷案を考える必要がある。頭が痛い。
でも、私は彼に恋をしているから、一方的に我慢を強いるのは避けたい。
チンッ。レンジが軽い音を立てる。
炒飯を食べ終えたところで、下柳くんがリビングへやって来た。
「おはようございます、スナエさん」
「おはよう、下柳くん」
いつものやり取り。
「なに食べたんですか?」
「炒飯だよ」
「僕もそれにしようかな」
「美味しかったよ。あと私、下柳くんのこと好きなんだけど、付き合わない?」
いつもとは違う台詞。下柳くんは、「えっ?」と少し驚いた顔をする。
「先輩は、恋愛をしない人なんだと思ってました」
「恋愛はするよ。その先に性愛はないけど」
「そうなんですか。僕、スナエさんのこと好きですよ。でも、僕はキスしたいとか思う人間ですよ?」
「それなんだけど、少しくらいなら私も頑張れると思う。セックスはちょっと分からないけど」
「……先輩と、恋人になりたいです。なってみませんか? それで、僕らの友情が壊れることはないと思いますし」
「確かに、そうだね。それじゃあ、付き合うか!」
「よろしくお願いします」
「うん、よろしく」
ふたりで握手をした。
◆◆◆
「戦闘機の音、どう?」
「いいと思います。金属が擦れる音も完璧です。さすが、スナエ先輩」
「耳がいいのが取り柄だからね」
いつものやり取り。
職場の人たちも、まさか私たちが付き合いだしたとは思うまい。
「それじゃ、私もうスタジオに戻るから。頑張ってね」
「はい。先輩も頑張ってください」
武蔵野アニメーションを出て、サワラ・スタジオへ戻る。
道すがら、彼のことを想う。
付き合っているんだなぁ。不思議な感じだなぁ。
決して短くない付き合いだが、こんな気持ちになるのは初めてのことだ。
きっと、私は今、浮かれている。少し、スキップしてしまうくらいに。
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