短編
※倉天・南拓前提の会話文
「俺にとって南沢さんは憧れだった」
「俺が雷門に入る前のホーリーロードで、2年生や3年生に混じって出場していたのが当時1年生だった南沢さんだ。
今のお前にはピンと来ないだろうけどな、1年でファーストチームに上がってスタメンで出場なんて凄いことだったんだぞ?それでいてそのプレイは2年や3年に引けを取らない、どころか試合で点を入れることもあった。
……まぁ、フィフスセクターの指示も出てたんだけどな。
監督の意向で、指定されない限りは点さえ合ってればシュートは誰が決めても良かった。だから1年の南沢さんがシュートを決めることも普通にあったんだよ。あの人サッカー上手いからな」
「……やっぱり、凄かったんですね。南沢先輩」
「まぁな。だから俺はこの雷門に入って、南沢さんと同じチームでプレイしたいと思ってた。できるなら南沢さんみたいに1年のうちにファーストに上がって、って」
「それで、上がれたんですね!」
「待て、まだだ。俺はファーストには上がれなくて、一緒にホーリーロードには出られなかった。まぁ普通はそうだ。……でも、普通じゃないヤツもいた。1年でファーストに入るなんていうとんでもないことをやらかしたのは南沢さんだけじゃなかった」
「……誰、なんですか?」
「……神童だ」
「キャプテン?……あ、そういえば去年の決勝戦で木戸川と……」
「そうだ。しかもアイツはただ入ったっていうだけじゃない。あの『神のタクト』で先輩達すら指揮して、しかもMFだっていうのにシュートまで決めてたんだ。アイツは本当に誰もが認める天才なんだ。本人はそう言われるの嫌がってるけどな」
「やっぱりキャプテンは凄いですね!」
「……。俺は南沢さんと同じフィールドに立ちたかったから、本当は俺がそこにいるはずだったのに!って……まぁ、悔しかったんだ。ちょっと、妬んでた。凄いのはわかるけど、普段のアイツも知ってるし、ちょっと前まで同じチームだったから余計悔しくってさ」
「倉間先輩……」
「南沢さんも神童も、まぁ才能もあったんだろうけど、それよりももっと、それこそ血の滲むような努力っていうの?そういうのをやったから実力が認められたんだなっていうのは、俺も努力してファーストに上がってから気がついたんだ。それまでは、気づかなかった。ってか、あの2人ってそういう風に努力を隠すところとか、それ以外にも色んなところ似てると思う。……だから、なんだろうな」
「何がですか?」
「あれ、お前知らねぇんだっけ?……まぁいいや。とにかく俺は南沢さんと同じチームになれて嬉しかった。身近でそのプレーを見て感激したよ。でもそれから初めての公式試合はたった1回しか一緒に戦えなかった」
「…………はい……」
「ばーか。別に責めたくて言ってるわけじゃねぇよ。むしろ俺は嬉しかったんだ。南沢さんは自分の信じた道を進んでいった。俺にはそこまでできなかった。内心、どっかで妥協したところもあった。……今はそう思ってねぇからな?勘違いするなよ?俺は自分のことも満足に決めきれなかった。だけど南沢さんは自分の信じる物を信じて、その上で自分が負けた相手を認めることができる人で。だから南沢さんは本当に凄い人だったんだ。俺にとっては今でも、自慢の、憧れの先輩だよ」
「……はい」
「何落ち込んでるんだよ。俺が改めてそう思えるようになったのだってお前が革命始めたおかげだよ。南沢さんが退部して、俺も俺の在り方を考えるようになった。南沢さんに憧れて、追いかけてるだけじゃダメなんだって思うようになった。そう思わせてくれて、俺があの頃よりもっと強くなれたのはお前のおかげだって思ってる」
「……先輩……!」
「って!勘違いするなよ!お前が居たからとかそういうことじゃなくてお前がきっかけを作ったからって話で……」
「あはは、わかってますよ。そんな話してなかったじゃないですか」
「……そうか。……だから、とにかく俺は、今はもう南沢さんとは違う場所だけど、それでも後悔はしてないし、これでよかったと思ってる。今の俺の目標は『打倒南沢さん』だからな!」
「それならきっと大丈夫です。南沢さんも凄いですけど、オレは倉間先輩なら越えられると思います!」
「……そう思うか?」
「はい!」
「ところで、どうしてその話を俺にしてくれたんですか?」
「……要はお前も先輩のことをちゃんと敬えってことだ!」
「はい!尊敬してます!」
「……いやにいい返事だな」
「俺、倉間先輩のこと尊敬してます!憧れてます!かっこいいと思います!大好きです!」
「なっ、おまっ!それは尊敬とは違うだろ!」
「えっ!?駄目、ですか……?」
「……い、……別にいいけど」
「! 大好きです!」
「……そうかよ」
「はい!」
南沢さんへの憧れは憧れだけど、くっついた南拓にジェラシー感じてた倉間。さらに、そんな憧れの人を実質追い出した張本人に心惹かれてることもモヤモヤする原因だった。でもそれを吐き出してちょっとスッキリした倉間。
そしてそんな倉間の心情整理を聞きながら無意識下でジェラシー溜まってた天馬は、最後に愛を爆発させて大満足。
という倉天。
解説が必要な文章。
>>2012.4.7
「俺にとって南沢さんは憧れだった」
「俺が雷門に入る前のホーリーロードで、2年生や3年生に混じって出場していたのが当時1年生だった南沢さんだ。
今のお前にはピンと来ないだろうけどな、1年でファーストチームに上がってスタメンで出場なんて凄いことだったんだぞ?それでいてそのプレイは2年や3年に引けを取らない、どころか試合で点を入れることもあった。
……まぁ、フィフスセクターの指示も出てたんだけどな。
監督の意向で、指定されない限りは点さえ合ってればシュートは誰が決めても良かった。だから1年の南沢さんがシュートを決めることも普通にあったんだよ。あの人サッカー上手いからな」
「……やっぱり、凄かったんですね。南沢先輩」
「まぁな。だから俺はこの雷門に入って、南沢さんと同じチームでプレイしたいと思ってた。できるなら南沢さんみたいに1年のうちにファーストに上がって、って」
「それで、上がれたんですね!」
「待て、まだだ。俺はファーストには上がれなくて、一緒にホーリーロードには出られなかった。まぁ普通はそうだ。……でも、普通じゃないヤツもいた。1年でファーストに入るなんていうとんでもないことをやらかしたのは南沢さんだけじゃなかった」
「……誰、なんですか?」
「……神童だ」
「キャプテン?……あ、そういえば去年の決勝戦で木戸川と……」
「そうだ。しかもアイツはただ入ったっていうだけじゃない。あの『神のタクト』で先輩達すら指揮して、しかもMFだっていうのにシュートまで決めてたんだ。アイツは本当に誰もが認める天才なんだ。本人はそう言われるの嫌がってるけどな」
「やっぱりキャプテンは凄いですね!」
「……。俺は南沢さんと同じフィールドに立ちたかったから、本当は俺がそこにいるはずだったのに!って……まぁ、悔しかったんだ。ちょっと、妬んでた。凄いのはわかるけど、普段のアイツも知ってるし、ちょっと前まで同じチームだったから余計悔しくってさ」
「倉間先輩……」
「南沢さんも神童も、まぁ才能もあったんだろうけど、それよりももっと、それこそ血の滲むような努力っていうの?そういうのをやったから実力が認められたんだなっていうのは、俺も努力してファーストに上がってから気がついたんだ。それまでは、気づかなかった。ってか、あの2人ってそういう風に努力を隠すところとか、それ以外にも色んなところ似てると思う。……だから、なんだろうな」
「何がですか?」
「あれ、お前知らねぇんだっけ?……まぁいいや。とにかく俺は南沢さんと同じチームになれて嬉しかった。身近でそのプレーを見て感激したよ。でもそれから初めての公式試合はたった1回しか一緒に戦えなかった」
「…………はい……」
「ばーか。別に責めたくて言ってるわけじゃねぇよ。むしろ俺は嬉しかったんだ。南沢さんは自分の信じた道を進んでいった。俺にはそこまでできなかった。内心、どっかで妥協したところもあった。……今はそう思ってねぇからな?勘違いするなよ?俺は自分のことも満足に決めきれなかった。だけど南沢さんは自分の信じる物を信じて、その上で自分が負けた相手を認めることができる人で。だから南沢さんは本当に凄い人だったんだ。俺にとっては今でも、自慢の、憧れの先輩だよ」
「……はい」
「何落ち込んでるんだよ。俺が改めてそう思えるようになったのだってお前が革命始めたおかげだよ。南沢さんが退部して、俺も俺の在り方を考えるようになった。南沢さんに憧れて、追いかけてるだけじゃダメなんだって思うようになった。そう思わせてくれて、俺があの頃よりもっと強くなれたのはお前のおかげだって思ってる」
「……先輩……!」
「って!勘違いするなよ!お前が居たからとかそういうことじゃなくてお前がきっかけを作ったからって話で……」
「あはは、わかってますよ。そんな話してなかったじゃないですか」
「……そうか。……だから、とにかく俺は、今はもう南沢さんとは違う場所だけど、それでも後悔はしてないし、これでよかったと思ってる。今の俺の目標は『打倒南沢さん』だからな!」
「それならきっと大丈夫です。南沢さんも凄いですけど、オレは倉間先輩なら越えられると思います!」
「……そう思うか?」
「はい!」
「ところで、どうしてその話を俺にしてくれたんですか?」
「……要はお前も先輩のことをちゃんと敬えってことだ!」
「はい!尊敬してます!」
「……いやにいい返事だな」
「俺、倉間先輩のこと尊敬してます!憧れてます!かっこいいと思います!大好きです!」
「なっ、おまっ!それは尊敬とは違うだろ!」
「えっ!?駄目、ですか……?」
「……い、……別にいいけど」
「! 大好きです!」
「……そうかよ」
「はい!」
南沢さんへの憧れは憧れだけど、くっついた南拓にジェラシー感じてた倉間。さらに、そんな憧れの人を実質追い出した張本人に心惹かれてることもモヤモヤする原因だった。でもそれを吐き出してちょっとスッキリした倉間。
そしてそんな倉間の心情整理を聞きながら無意識下でジェラシー溜まってた天馬は、最後に愛を爆発させて大満足。
という倉天。
解説が必要な文章。
>>2012.4.7
26/35ページ