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君に届けたい想い

※『SSS(小ネタ)』のバレンタイン話特別掲載。
新作ホワイトデーの話は次のページから。




バレンタインデー。
その言葉に期待する者、困る者、憎む者、特に興味を持たない者、様々な男子が存在すると思う。
しかしこの場にいる男子は一部の興味のない者を除いて期待一色に染まっていた。
何故なら俺達は日本代表だ。
応援を込めたチョコレート達が大量に送られて来るはずだ、と。

そしてその予想は間違っていなかった。
今まで一度も貰えたことがないというメンバーも漏れることなく全員に大量のチョコレートが届いた。
今までにない大興奮の大歓声に包まれる中、人一倍大量に貰っている吹雪君からは未だに期待の色が消えることなく、一つ一つ宛名を確認していた。

「……吹雪君?」
「あったー!」

名前を呼んだ途端一つのチョコレートを手に取ってとても嬉しそうに抱きしめた。

「ど、どうしたの?」
「えへへ。やっぱりこういうのは一番好きな人から貰わないと意味ないでしょ?」
「好きな人とか居たんだ吹雪君……」

意外と言えば意外だけれど、あんなに幸せそうに笑っているんなら、本当に好きなんだろうな。
よかったね、と思う反面思い浮かべるのは一人の女の子。
あるわけないかな、とも思いながら一応探してみた。


「あ、あった……」

信じられなかったけれど、確かにそこには『八神玲名』とよく知る名前が書いてあった。
緊張しながら一緒についていた手紙を読んでみる。
そこには、こう書いてあった。


『多分本名で送ったところでわかってもらえないだろうからお前に渡す。この中に入っている黄色い包み紙のやつを円堂に渡しておいてくれ』


「……………………は?」

それしか言葉が出なかった。
何だこれ、一瞬喜んだ俺が馬鹿みたいじゃないか。

でもまあそうだよね。
玲名が俺にチョコレートなんてくれるわけないか。


泣きたい気分になりながら袋を開けると、おかしな点に気がついた。

「二つ入ってる?」

一つは『円堂へ』と書かれた、手紙に書かれていた通りの黄色い包み紙。
もう一つは、宛名のない赤い包み紙。

もう一度手紙を読み返してみても何も書いていない。
でも、これはそもそも俺宛てなわけだし、ということはもしかしてこれは俺の分……?


「……素直じゃないな~」

なんて言いながらも、心の内側から溢れるあたたかい気持ちに、笑みをこぼさずにはいられない。


今は遠い地にいる君へ、この幸せをどうしたら伝えられるか、少し真剣に考えてみることにした。




バレンタインデー!ということで。
円ウルも、いいよね(←
あ、吹雪君の好きな人は紺子ちゃんでお願いします。
ヒロ玲・吹紺前提のモテモテふぶきやまとか、いいよね!



→ホワイトデー編
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