短編①
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「ん」
短い言葉と一緒に差し出された花束。
「・・・・・・・・・・これ、って」
「今日で1年、だろ?だから」
「え、エース覚えてたの?」
「当たり前だろ?」
照れたように笑うエースの姿に胸がきゅんと締め付けられた。
そして思い出す、1年前。
「もう1年前かあ、エースに告白されたの」
「忘れられねェなァ、あん時のアコの顔」
「・・・・・・・・・・・・どんな顔?」
しみじみと呟くエースに、嫌な予感しかしない。
そしてその予感は的中した。
「無理、って言った時」
「・・・・・・・・だってそれはエースが」
「大事な場面であんなこと言われた俺の身にもなれよ」
「・・・・・・・・・だからぁ、それはエースがいきなりキスするから」
そう、1年前。
エースと目が合った瞬間私はいきなりエースに唇を奪われた。
『・・・・・・・・・・へ?』
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・悪ィ、今の忘れてくれ』
そしてこともあろうに、
次の瞬間には忘れてくれ、と言ってきた。
忘れろ、って。
そんな。
『無理。何それ無理でしょ!?』
『・・・・・・・・・は?』
『今の部分だけ記憶削除とか出来ないもん私、そんな悪魔の実食べてないし!』
『・・・・・じゃあ忘れなくていい』
「あの時私すっごい焦ってたし」
「見てすぐわかったって」
「じゃあ何で2回もしたの?」
「いや、落ち着かせようと思って」
忘れなくていい、と言ったエースはそのまま、再び私の唇と自分の唇を重ねた。
『好きだ』
『え、え、え?』
『ずっと好きだった、アコのこと。それは忘れんな』
そしてそう言ってそのまま去ろうとするエースを、
『ちょっと待とうかエース君!?』
私は必死に呼び止めた。
『・・・・何だよ』
『言い逃げは駄目!絶対!』
『落ち着けアコ』
『落ち着いてる!だから、話聞いて?』
『話?』
『今のって・・・・告白、でしょ?』
『・・・・・他に何があんだよ』
『っだから!告白したら普通返事聞くでしょ?』
『・・・・・・・ああ。聞かせてくれんのか』
エースは驚いたように目を丸くして、私をじっと見つめた。
『・・・・えっと、私、も。好き』
『・・・・・・・・・・・え?』
『え、って何』
『・・・・・・・いや俺絶対フられんだろーなと思ってたし』
『じゃあ何でキスしたの?』
『してェと思ったから』
「あの時は笑った、すっごく笑った」
「笑いすぎなくらいにな。・・・・思い出したらムカついてきた」
思い出し笑いをしたところでエースがそう言うので、ドキッとした。
「いやいや、あの時エースにお詫びしたでしょ私?」
「あんなんじゃ足りねェ」
お詫びと称してあの後寝るまで何回もキスをした。
「もう。・・・・・でもいい思い出だよ、今考えると」
「まぁな。・・・・・じゃあ今日もまた、いい思い出にしようぜ」
「そだね・・・・・って、エー・・・・ス?」
いい思い出にしよう、と言いながら目の前に差し出された小箱。
「まだ1年、だけどよ。絶対幸せにするから、結婚してくれ」
「・・・・・・・・・・・有難う」
驚きを隠せない私がそれを受け取る。
宝石のついた、指輪を。
「ちなみに今回は言い逃げしねェぜ?返事、聞かせてくれよ。・・・アコ」
「・・・・・・・・喜んで、以外にあると思う?」
ゆっくりと、けれどしっかりと伝えれば、エースは満面の笑み。
「じゃあ今日は結婚記念日にもなる訳だな!」
「来年の記念日もよろしくね、旦那様?」
「ああ、任せとけ」
私とエースと付き合い1年目の記念日は、
私とエースの結婚記念日に、なった。