短編①
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「ただいま、アコ」
「おかえりなさいシャンクス。お疲れさま」
俺の可愛い年下の恋人は、
可愛くて愛おしくて、大事にしたくて。
・・・・・たまに厄介だ。
「でね、これシャンクスにプレゼント」
「お、俺にか?嬉しいよアコ。有難うな」
一緒に住み始めて1年。
可愛いし優しいし家事も上手いし何より可愛い。
大きな喧嘩をすることもなく、もう少ししたらプロポーズでも、と考えているところだ。
そしてアコはたまに俺プレゼントをくれる。
・・・・それが、問題なんだが。
「開けてみて?」
「あァ・・・・」
丁寧にラッピングされた箱を開けてみて、
俺は固まった。
・・・・さすがにこれは慣れねェな。
「・・・・アコ」
「可愛いでしょ?」
「これを、俺に?」
「うん」
にこにこと笑うアコの愛らしさ。
喜んでもらいてェのは山々だが。
ちら、と箱の中身を見る。
・・・・これはどう見ても、
「・・・これシャンクスに会社につけていって欲しいなー」
「・・・・そうか」
「嫌?」
「・・・・アコの方が似合うんじゃないか?」
「シャンクスの方が似合うよーキティちゃん」
「・・・・そういう名前、だったな」
このピンクのネクタイに描かれている猫のキャラクターの名前は。
「あとこれも、可愛いなと思って」
「・・・・確かに、可愛いな」
笑うアコがな。
「喜んでくれたみたいで良かった。明日、やってあげるね?どっちがいい?」
次に差し出されたのは、
・・・・・名前、なんだったか。
確か何とかメロディとかいう帽子をとったら何かよくわからないウサギのキャラクターのネクタイ。
更に、
「あとこれはオマケなんだけど」
と、やはり嬉しそうなアコがくれたのはネクタイピン。
・・・・・何とかとララとか言う男と女の妖精みたいな絵の。
「あー・・・・・有難う、アコ」
よしよし、と頭を撫でてやるとくすぐったそうに、嬉しそうに俺の胸に身体を預けてくる。
あーたまんねェ、可愛いなーチクショウ。
・・・アコのプレゼントセンス以外は全部愛おしい。
「シャンクス、大好き」
「ああ、俺も・・・愛してるよアコ」
「ありがと。・・・それで、どっちつける?」
「・・・・・おう。どっちにするかな」
「キキララのタイピンだからキティちゃんかなあ」
「・・・そうだな」
「シャンクスの赤い髪に映えるからきっと似合うよ?」
「・・・ああ」
「じゃあキティちゃんのにする?」
思わず答えに詰まった。
アコには悪いがこんなのをつけて行ったら仲間に何て言われるかわかったもんじゃねェ。
むしろ大爆笑必死だ。
「アコが選んでくれたやつなら何でもいいさ」
「そう?じゃあ明日、楽しみにしてるね」
・・・とはいえアコを悲しませる訳にはいかねェからな。
使えない、とは言えない。
「礼に今夜は寝かせられねェな」
「あ、」
アコの唇を奪って、
貪って、味わう。
あー甘ェ。
最高だ。
「・・・・ん、しゃん、くす」
俺を見上げるアコの可愛さにノックアウトだ。
よし、今夜は頑張らせてもらうか。
そしてアコが明日の朝起きられなければ好都合。
普通のネクタイをして行ける。
もう1回軽いキスをして、アコを抱き上げた。
「ベッド、行くか」
「・・・・・うん」
小さく頷いたアコはとてつもなく可愛い。
今はアコを愛することに集中しよう。
「・・・よし」
隣で眠るアコの寝顔に口元が緩む。
昨日はだいぶ無理させちまったからな、疲れてるんだろう。
可愛い寝顔に思わず髪を撫でてキスの1つでもしたい気分に駆られるが、
そんなことして起こす訳にはいかない。
アコには悪いがもらったネクタイは鞄にこっそりしまわせてもらう。
「シャンクス?」
不意に呼ばれた名前に心臓が止まったかと思った。
「・・・・アコ?」
「おはよ、シャンクス」
「ああ、おはようアコ」
アコは眠そうに目をこすりながらベッドから起き上がって来た。
「起きられなかったね、ごめん」
「いや、大丈夫か?まだ寝てていいんだぞ?」
平静を装って話しかけるも、
「ううん大丈夫。・・・・・シャンクス、ネクタイ」
・・・・遅かった。
アコは例のネクタイを俺がしていないのを見て、悲しそうな顔をした。
まずい。
「せっかくアコからのプレゼントだ、アコにして欲しかったからな」
「昨日私がやってあげるって約束したもんね。貸して?」
「・・・・ああ、有難う」
仕方なく鞄からさっき入れたばかりのネクタイとピンを取り出して、アコに渡した。
器用に手を回して、アコはネクタイを結ぶ。
「ん、オッケー。よく似合ってる」
「じゃあ、行ってくる」
「行ってらっしゃい、シャンクス。頑張って」
行ってきます、のキスをして俺は玄関を出た。
で。
「・・・・・参った」
隠し持っていた普通のネクタイを取り出して、自分で締め直した。
「ぎゃははは!!そのまま来れば良かったのによ!」
「馬鹿言うなヤソップ・・・・」
「もしかしてわざとじゃねェの?」
「・・・・そんなことはない」
可愛いアコに限ってそんなことはあり得ない。
「本気で似合うって思ってんなら最高だな」
「ああ、最高に可愛い恋人だ」
「・・・・・どっちもどっちだな」
昨晩のことを思い出して幸せな気分に浸っていると、
「その可愛い恋人が来てるぞ」
ベンが渋い顔で来た。
「アコが?寂しさに耐えきれず俺に会いに来たのか」
「・・・・大事な書類を忘れたかもしれないから、だと」
ああ、そういえば昨日はネクタイのことで頭がいっぱいで書類を入れ忘れていたようだ。
さすが俺の可愛い恋人。
「すぐに行く」
「・・・・それでいいのか?」
「・・・どういうことだ?」
ベンが怪しげな笑みで聞いてくる。
「ネクタイ、変えた方がいいんだろう」
「・・・・・・・・・・・・・・・あ」
忘れてた、すっかり。
ヤソップがヒューヒューとはやし立てる。
「・・・・頼むから俺を見るな」
鏡を見ながらそれに付け替えて、
・・・・今夜これでアコの手を縛ってヤるのもアリか、と考えた。
準備万全で、
「アコ」
アコの待つ入口に。
「ごめんね仕事中に、これ必要かもしれないと思って・・・・違った?」
俺の反応を窺うように上目遣いで覗いてくるアコの手には大事な書類。
「いや、助かった。午後から必要なモンだ」
「そう?良かった」
それからアコは肩を撫で下ろして、
じっと俺の胸元を見つめる。
「・・・アコ?」
「シャンクスがそれつけてくれてて嬉しいなって」
「アコが選んだんだ、間違いねェさ」
「・・・・シャンクスは本当は嫌かもしれないけどね」
今度は寂しそうに笑う。
「嫌・・・・ってことは」
あるが。
言える訳ねェ。
「でもね、私がこういうの選んでるのには理由があるから」
「理由?」
「あ、嫌がらせとかじゃないよ!?」
「わかってる。アコがそんなことする訳ねェもんな」
言いながらぎゅっと抱きしめたら、
「ちょっと待ってシャンクス、ここ会社。ていうか人の話し聞こうか」
「照れるアコも可愛いな」
「・・・・嬉しいけどシャンクス。聞く気ないならもう帰るよ」
「・・・聞いてもいいか?」
アコは照れたような笑みを浮かべながら、
「・・・あのね、シャンクス可愛いから」
・・・・そう言った。
可愛い・・・のか、俺が?
「それとシャンクスは私の恋人だから」
まっすぐな目で、アコはそう語った。
「・・・・だから、これを?」
「私の特別な人だから、特別なものつけて欲しいなって思って」
「アコ・・・」
そうだったのか・・・!
「つけててくれて、ありがとね」
輝く笑顔に思わずなけなしの良心が疼いた。
「アコの方が可愛いと思うが?」
「・・・ありがと」
今度、早いうちにプロポーズをしようと決めた。
お前も俺の特別な存在だと、教える為に。
・・・・ネクタイはヤソップやベンに大爆笑されたので、黙らせておいた。