短編①
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「あの赤髪の女とはな」
「・・・・・・・・・・・ごほ」
「赤髪の船に女が居るってだけでも珍しいが、その女が赤髪のシャンクスの女だってのはいい」
「訳わかんないんですけど」
言った瞬間ナイフが顎に突きつけられた。
「今ここで赤髪が来ても、お前を人質にすりゃ何とでもなる」
「あの赤髪にこんな弱点があったとは思わなかったぜ」
弱点。
そう言われて少し頭に来たけど、この状況じゃ仕方ない。
お頭と離れた一瞬で追い詰められた私。
走って逃げたけど、このままじゃ危険。
人質にされるかもしれないし、このまま殺されるかもしれない。
だからまあ、そこは黙っておくけど。
・・・・・・・でも、
「ただの弱点じゃない、けどね!」
「いでっ!」
1人の足を踏んで、もう1人には肘鉄。
そしてまた走る。
・・・・とは言ってもたいした攻撃じゃないから、
「待てこら!」
すぐに追いかけられて。
「・・・・・・・っ」
やばい追いつかれる!
「よくやった、アコ」
「・・・・お頭!!」
もう駄目かも、と思った時鮮やかな赤い髪が見えて、叫んだところで抱きしめられた。
「ぐ、赤髪・・・・!」
「こいつが弱点、ってのはまあ正解だ。アコは可愛くて優しくて抱き心地も最高だしな」
「は?」
「・・・・・・・・・・・・おか、しら?」
「その上料理も上手くて照れ屋でキスした後の顔もいい」
「お頭!」
「事実だろう?」
何言ってんのこの人!
「てめえ、なめてんのか!?」
「・・・・ごめんなさい、お頭に代わってお詫びします」
「何言ってんだアコ、俺は謝るようなことは言ってねえ」
「いや、謝って下さいよ誰より私に」
「そう照れんなって。ほら、帰るぞアコ」
「・・・・・・・・はーい」
肩に回された腕にそのまま背中を向けて帰ろうとする、けど。
「って待て赤髪!」
当然敵さん達が許してくれる訳はない。
でもこっちにはお頭が居る。
「・・・・・・・・・・大人しく帰ってくれる気はないか?」
ぎろりと一睨みしただけで、2人は腰を抜かして座り込んでしまった様子。
「ひっ・・・・ひいい!」
・・・・・・・・・お頭が本気で睨むとそれは物凄く怖いから。
「怖い思いをさせちまったな、アコ」
「いえ、大丈夫です」
お頭と両思いになって数週間。
何故か私とお頭のことが世間に知れ渡り、
それからというもの当たり前のように私を誘拐したり人質にとってお頭をどうにかしてやろうという人が増えた。
「でもこれからどんどん増えるんでしょうね、ああいうの」
「・・・・・・・嫌になったか?」
少しだけ不安そうなお頭の顔が嬉しくて、
私は笑う。
「全然。むしろこれからもお頭の側に居られるように強くならなきゃって思いました」
「はははっ流石に強いなァアコ。怖くなかったのか?」
「・・・・お頭が本気で怒った時の方がよっぽど怖いです」
「俺がアコに怒ったことなんかあったか?」
しれっと言い張るお頭だけど、
「私が転びそうになって支えてくれたヤソップさんを怯えさせたのは誰ですか」
「そりゃアレだ、ヤソップに注意はしたがアコには怒ってねェだろう」
「転ぶなら俺の前でだけにしろとか言ってすっごい怖かったです」
「・・・・・・・そうだったか?」
「でした」
転ぶなら俺の前にしろ、と言われて無理ですと言ったら、物凄い形相で、
お前は他の男に抱かれてそれでいいのか、などと散々言われたことがあった。
ヤソップさんはどうされたのか、数日はお頭を見る度にびくびくしていた。
「そりゃまあな、目の前で自分の女が他の男に抱きしめられてるとこなんて見たくないだろう」
「抱きしめられてないです!支えてくれただけです!」
「いーや、あれは下心があった」
「ヤソップさんには奥さんもお子さんも居るじゃないですか」
「あのなアコ、男は皆狼なんだぞ」
「・・・・・・・お頭も?」
「俺も、だ」
「・・・・・・・・・むぅ」
納得いかない、と思いながら頬を膨らませれば、頭をこつんと小突かれた。
「あとな、アコ。お頭じゃないだろ?2人の時は?」
「・・・・・・・・シャンクス」
そっと名前を呼べば嬉しそうな笑みを浮かべて優しく私の頭を撫でてくれた。
「私・・・・シャンクスの弱点、なんですかね」
不意に思い出す、弱点発言。
「さっきも言ったが、弱点であることには間違いないな。それだけ俺はお前に惚れてる」
「・・・・弱いってことじゃなくて、ですか?」
「弱い?誰が」
「・・・・・・・・・・私が、です」
ぽつりとそう言えば、お頭は一瞬目を丸くして、
「だっはっはっは!!そりゃ俺に比べたら弱いとは思うが、アコが本当に弱かったらこの船に居れねえさ」
「そう、でしょうか」
「それにアコが強かったら困る」
「・・・・・困ります?」
「ああ、困るな。守り甲斐がない」
あくまで真面目な顔で言い張ったお頭に、
「・・・・・・・・・・・・そうですね」
肩の力が抜けた。
「だろ?それに、アコはただの弱点じゃない」
「へ」
「可愛くて強い弱点だ」
「・・・・・・・・・・・・じゃあ私、もっと強い弱点になれるように頑張ります!」
「いやあのな、アコ?俺の話し聞いてたか?俺が守るからいいんだぞ」
「まずは基礎体力から!帰って頑張らなきゃ!」
「・・・・・・・・・・おーい」