短編①
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「お願いします!」
「駄目」
「でも・・・サッチさんっ」
「駄目なものはだーめ」
「うぅ」
私がサッチさんにお願いしていること。
それは買い出し。
それもただの買い出しじゃない。
必要なモノは多めに前の島で買ってある。
だから明日到着予定の島で買うのは本当に少しのものだけ。
だから買い物には1人で行きたいというお願いだ。
今までは量が半端なかったから誰かしらと一緒だったんだけど、今回は1人で行きたい。
というか1人で行動してみたい。
この船に乗ってからずっと1人で町をぶらついたことがないのだから。
でもサッチさんはそれに猛反対。
「私そんなに信用ないですか?」
「そういう問題じゃねえの」
どんなに頼んでも冷たく拒否。
むう。
「でも、ちょっと町に下りて買い物行って帰ってくるくらい!」
「途中で変な男に声かけられたら?」
「シカトします」
「力づくで連れ去られたら?」
「それは・・・・!でもっ」
サッチさんの意地悪な、でも的確な疑問に答える術を私は持っていない。
そんなこと絶対にないと言い切れないのだから。
言葉の出なくなった私を慰めるようにサッチさんは私の頭を撫でる。
「あのな?俺だって意地悪で言ってる訳じゃないんだぜ?」
「・・・・わかってます」
わかってます、心配してくれてることくらい。
自分が情けない。
でも私はもう一回だけ試してみることにした。
サッチさんに教えられたアレを使う。
胸の前で両手を組んで。
上目遣いで。
涙目で。
「どうしても、駄目ですか?」
「・・・っ!アコちゃん、」
「サッチ隊長ぉ」
普段は呼ばない『隊長』呼び。
サッチさんはチャームポイントのリーゼントに手を当てた。
そして、
「だあああああ!ちっくしょう!負けるな俺!」
爆発した。
「え、あの、サッチさ、」
「可愛いすぎンだろ今のおおおお!!!」
「へ」
「俺をどうしようってんだ!いや騙されねえぞ俺は!!」
うわ、どうしよう。
「いや決して騙そうとかいう気は」
なきにしもあらずですが。
「アコちゃんッ!」
突然サッチさんに肩をがしっと捕まれた。
「は、はいッ!」
「サッチ隊長カッコイイ!好き!って言って!」
「・・・は、はいぃ?」
急に何かと思えばなんですか。
「え、それ言ったら明日の外出許してくれます?」
「・・・・・それは駄目」
冷静になったのかやっぱり駄目だった。
私の覚悟返してください。
恥ずかしいの覚悟でやったのにいい!
「な?アコちゃーん!一回でいいから!」
「・・・・・サッチ隊長の馬鹿」
「違ェェ!!!!!」
嘆くサッチさんを前に私はぽそりと呟く。
「・・・・大好きですよ、サッチ隊長」
「アコちゃ、」
「だから明日の1人での外出許可してください」
「だからそれは駄目だっての!」
堂々巡り。
でも結局サッチさんと2人で買い出しになったので。
まあ、いいか。