短編①
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つい先日、30歳を迎えた。
フリーター。
パートで数時間働いているだけで、
実家にお世話になっている身で、
彼氏なし。
「・・・・・で?」
「だからいい人よって」
「絶対嫌」
「カッコイイ人なのよ!」
「無理」
「社長さんでもあるんだから!」
「ますます無理」
「・・・・・してみない?お見合い」
「してみない」
そんな私に母親が持ってきたお見合い話。
冗談じゃない、
イケメンていい人で社長なんて私に吊り合う筈がない。
「アコのこと気に入ってくれてるのよ?」
「どんな修正写真送ったの?それとも別人?」
「そのままの送ったわよ、隠し撮りしたやつ」
あっけらかんと言い放つ母に私は言葉を失った。
「・・・・・・・・・普通お見合い写真に隠し撮りしたやつ使う?」
「だってお見合い用の写真撮るからって言ったらあんた納得するの?」
「・・・・・・・・しない」
「ほら見なさい」
やられた・・・・!
「とにかく1度会ってみて、もう約束してあるから。明日の11時だからね」
「・・・・・・・・・・・・げぇ」
「じゃあ後はお若いお2人で」
・・・・・・・・・お決まりの台詞にため息が漏れそうになった。
もう若くないんですけど。
母さんも向こうの付き人も居なくなり、
残された私とお見合い相手。
・・・・・・・シャンクスさん、というらしい。
確かに写真の通りのイケメンで、
印象もいい。
・・・・・・・・でも私にはわかる。
こんなイケメンで性格も良さそうで社長という地位にある人が、
こんな私を気に入ってお見合いなんかする訳ない。
普通なら周りの女性選び放題だ。
ってことはよっぽど性格に難があるか、
結婚詐欺に決まってる。
母さんは騙されても私は騙せないんだからね!
「・・・・えーと、社長さんならお忙しいでしょうし、今日はこの辺で」
「いや、大丈夫だ」
・・・・これ以上関わりたくなかったんだけど。
「・・・・大丈夫なんですか?」
「ああ、今日のことは言ってあるし・・・それに相方からそろそろ落ち着けと言われているんだ」
「・・・・・はあ、そうなんですね」
相方って何、詐欺の相方かしら。
「腹がすかないか?」
「・・・・・・・・・はあ、まあ」
「ここを出て飯でも食いに行こう」
人懐っこい笑顔。
・・・・・・・・・騙されませんよ私は。
「何が食いたい?」
「・・・・・・・・・牛丼で」
よし、本性を現しなさい。
牛丼なんて、と見下すがいいわ!
「ああ、いいな」
・・・・・・・・いいんだ!?
「・・・・えーとじゃあ、近くに○屋があるので」
「よし、行こう」
颯爽と立ち上がるシャンクスさんはやっぱりカッコイイ。
・・・・・・じゃなくて。
「あの、シャンクスさん?」
「シャンクスでいい。アコ、と呼んでも?」
「・・・・どうぞ」
いきなり、な馴れ馴れしさだけど、決して嫌な感じはしない。
・・・・これがプロの技なのか。
「で、牛丼でいいのか?」
「・・・・・・シャンクスは牛丼でいいんですか?」
「俺は構わない」
爽やかな笑顔を見せて、先導して歩いていく。
「・・・・あの、私料理はそこそこですが家事はあまり得意ではないです」
「なら得意なことを頼む。苦手なことは俺がやろう」
・・・・・・・やるんだ。
社長なのに。
牛丼屋に入って、
「牛丼大盛り漬物も」
これが私。
「牛丼大盛り卵味噌汁漬物」
・・・・・・・・・・さすが社長サン。
「やっぱご飯に漬物は欠かせませんよね?」
「ああ、そうだな。漬物が好きか?」
「漬物のない食卓は有り得ません」
「ということは、」
「勿論マイ糠床持ちで」
「興味深いな」
「・・・・今度、持ってきましょうか」
「いいのか?」
ふわ、と優しい笑顔。
・・・・・・きゅん。
いやいや落ち着け。
これはワナだ。
・・・・・・・・・でも、
「美味しー!!」
変わらない味にご飯をかっ込む私を見ながら、
シャンクスも、
「美味いな、変わらない味だ」
なんて美味しそうに食べる姿。
・・・・・・・・・悪い人じゃないのかもしれない、なんて思えてきた。
「・・・・聞いてもいいですか?」
「ああ、何でも聞いてくれ」
「シャンクスってモテるでしょう?」
シャンクスは私の質問に面食らったような顔で答えてくれた。
「まあ、言い寄られることは少なくはない」
「・・・・にも関わらず私とお見合いをしたのは冷やかしですか?」
「・・・・写真が、気に入ってな」
「写真?って、それ隠し撮りのやつですよね!?」
「そうだったな。・・・・それで会う気になった」
・・・・・・・・・なんということ!
「ち・・・ちなみにその写真ってどんなやつでした?」
「可愛い寝顔だった」
「ねっ・・・・!」
寝顔をお見合い写真に使う!?
しかも隠し撮り!
有り得ない・・・・さすが我が母親・・・!
「この寝顔の為なら俺は頑張れる、と思った」
・・・・っていうか知らない男の人に寝顔見られた・・・!!
「・・・・・・・・・でも私だってずっと寝てる訳じゃ、」
「ああ、だから会ってみたいと思ったんだ。・・・会ってみて、ますます好きになった」
ドキドキ、と高鳴り始めた私の心臓。
・・・・・私だって、もう30年生きてる。
ただ信じたくないだけかもしれないけど、
この人は詐欺師じゃない・・・そう思う。
「どんなところが、ですか?」
「食の好みが合う」
「・・・・・・・・漬物?」
「山芋の糠漬けを知っているか?」
「山芋?何それ美味しそう」
ごくりと喉が鳴る。
「機会があれば持ってこよう、美味いんだ」
「・・・・シャンクスは詐欺師?」
気がついたら口に出ていたこの質問にシャンクスは、
「だっはっはっは!こりゃまた正面から来たな!」
と大口開けて大爆笑。
そして、
「詐欺師だったらどうする?」
とご機嫌で聞いてきた。
「・・・今まで騙し取ったお金を返金させて出頭するように説得します」
「残念だが詐欺師じゃねェな。だがその反応、ますます気に入った」
「え、」
「アコ」
「は・・・・はい?」
「結婚を前提に俺と付き合う気はないか?」
「漬物だけで!?」
まさかの発言にまさかのツッコミ。
シャンクスはそれに対して本当に楽しそうにくつくつと笑いながら、
「それだけじゃないさ。会って話して見て愛おしく思った、と言ったら迷惑か?」
「け・・・・・結婚詐欺じゃないなら、大歓迎、です」
呆然としながら何とか返した返事にシャンクスは、
「じゃあまずは漬物交換からだな、アコ」
「・・・・・・・・ごちそうさまです。いや、いただきます」
「はははっ、こちらこそだ」
漬物交換から始まった、
お見合いは。
その後盛大な結婚式に繋がりましたとさ。
フリーター。
パートで数時間働いているだけで、
実家にお世話になっている身で、
彼氏なし。
「・・・・・で?」
「だからいい人よって」
「絶対嫌」
「カッコイイ人なのよ!」
「無理」
「社長さんでもあるんだから!」
「ますます無理」
「・・・・・してみない?お見合い」
「してみない」
そんな私に母親が持ってきたお見合い話。
冗談じゃない、
イケメンていい人で社長なんて私に吊り合う筈がない。
「アコのこと気に入ってくれてるのよ?」
「どんな修正写真送ったの?それとも別人?」
「そのままの送ったわよ、隠し撮りしたやつ」
あっけらかんと言い放つ母に私は言葉を失った。
「・・・・・・・・・普通お見合い写真に隠し撮りしたやつ使う?」
「だってお見合い用の写真撮るからって言ったらあんた納得するの?」
「・・・・・・・・しない」
「ほら見なさい」
やられた・・・・!
「とにかく1度会ってみて、もう約束してあるから。明日の11時だからね」
「・・・・・・・・・・・・げぇ」
「じゃあ後はお若いお2人で」
・・・・・・・・・お決まりの台詞にため息が漏れそうになった。
もう若くないんですけど。
母さんも向こうの付き人も居なくなり、
残された私とお見合い相手。
・・・・・・・シャンクスさん、というらしい。
確かに写真の通りのイケメンで、
印象もいい。
・・・・・・・・でも私にはわかる。
こんなイケメンで性格も良さそうで社長という地位にある人が、
こんな私を気に入ってお見合いなんかする訳ない。
普通なら周りの女性選び放題だ。
ってことはよっぽど性格に難があるか、
結婚詐欺に決まってる。
母さんは騙されても私は騙せないんだからね!
「・・・・えーと、社長さんならお忙しいでしょうし、今日はこの辺で」
「いや、大丈夫だ」
・・・・これ以上関わりたくなかったんだけど。
「・・・・大丈夫なんですか?」
「ああ、今日のことは言ってあるし・・・それに相方からそろそろ落ち着けと言われているんだ」
「・・・・・はあ、そうなんですね」
相方って何、詐欺の相方かしら。
「腹がすかないか?」
「・・・・・・・・・はあ、まあ」
「ここを出て飯でも食いに行こう」
人懐っこい笑顔。
・・・・・・・・・騙されませんよ私は。
「何が食いたい?」
「・・・・・・・・・牛丼で」
よし、本性を現しなさい。
牛丼なんて、と見下すがいいわ!
「ああ、いいな」
・・・・・・・・いいんだ!?
「・・・・えーとじゃあ、近くに○屋があるので」
「よし、行こう」
颯爽と立ち上がるシャンクスさんはやっぱりカッコイイ。
・・・・・・じゃなくて。
「あの、シャンクスさん?」
「シャンクスでいい。アコ、と呼んでも?」
「・・・・どうぞ」
いきなり、な馴れ馴れしさだけど、決して嫌な感じはしない。
・・・・これがプロの技なのか。
「で、牛丼でいいのか?」
「・・・・・・シャンクスは牛丼でいいんですか?」
「俺は構わない」
爽やかな笑顔を見せて、先導して歩いていく。
「・・・・あの、私料理はそこそこですが家事はあまり得意ではないです」
「なら得意なことを頼む。苦手なことは俺がやろう」
・・・・・・・やるんだ。
社長なのに。
牛丼屋に入って、
「牛丼大盛り漬物も」
これが私。
「牛丼大盛り卵味噌汁漬物」
・・・・・・・・・・さすが社長サン。
「やっぱご飯に漬物は欠かせませんよね?」
「ああ、そうだな。漬物が好きか?」
「漬物のない食卓は有り得ません」
「ということは、」
「勿論マイ糠床持ちで」
「興味深いな」
「・・・・今度、持ってきましょうか」
「いいのか?」
ふわ、と優しい笑顔。
・・・・・・きゅん。
いやいや落ち着け。
これはワナだ。
・・・・・・・・・でも、
「美味しー!!」
変わらない味にご飯をかっ込む私を見ながら、
シャンクスも、
「美味いな、変わらない味だ」
なんて美味しそうに食べる姿。
・・・・・・・・・悪い人じゃないのかもしれない、なんて思えてきた。
「・・・・聞いてもいいですか?」
「ああ、何でも聞いてくれ」
「シャンクスってモテるでしょう?」
シャンクスは私の質問に面食らったような顔で答えてくれた。
「まあ、言い寄られることは少なくはない」
「・・・・にも関わらず私とお見合いをしたのは冷やかしですか?」
「・・・・写真が、気に入ってな」
「写真?って、それ隠し撮りのやつですよね!?」
「そうだったな。・・・・それで会う気になった」
・・・・・・・・・なんということ!
「ち・・・ちなみにその写真ってどんなやつでした?」
「可愛い寝顔だった」
「ねっ・・・・!」
寝顔をお見合い写真に使う!?
しかも隠し撮り!
有り得ない・・・・さすが我が母親・・・!
「この寝顔の為なら俺は頑張れる、と思った」
・・・・っていうか知らない男の人に寝顔見られた・・・!!
「・・・・・・・・・でも私だってずっと寝てる訳じゃ、」
「ああ、だから会ってみたいと思ったんだ。・・・会ってみて、ますます好きになった」
ドキドキ、と高鳴り始めた私の心臓。
・・・・・私だって、もう30年生きてる。
ただ信じたくないだけかもしれないけど、
この人は詐欺師じゃない・・・そう思う。
「どんなところが、ですか?」
「食の好みが合う」
「・・・・・・・・漬物?」
「山芋の糠漬けを知っているか?」
「山芋?何それ美味しそう」
ごくりと喉が鳴る。
「機会があれば持ってこよう、美味いんだ」
「・・・・シャンクスは詐欺師?」
気がついたら口に出ていたこの質問にシャンクスは、
「だっはっはっは!こりゃまた正面から来たな!」
と大口開けて大爆笑。
そして、
「詐欺師だったらどうする?」
とご機嫌で聞いてきた。
「・・・今まで騙し取ったお金を返金させて出頭するように説得します」
「残念だが詐欺師じゃねェな。だがその反応、ますます気に入った」
「え、」
「アコ」
「は・・・・はい?」
「結婚を前提に俺と付き合う気はないか?」
「漬物だけで!?」
まさかの発言にまさかのツッコミ。
シャンクスはそれに対して本当に楽しそうにくつくつと笑いながら、
「それだけじゃないさ。会って話して見て愛おしく思った、と言ったら迷惑か?」
「け・・・・・結婚詐欺じゃないなら、大歓迎、です」
呆然としながら何とか返した返事にシャンクスは、
「じゃあまずは漬物交換からだな、アコ」
「・・・・・・・・ごちそうさまです。いや、いただきます」
「はははっ、こちらこそだ」
漬物交換から始まった、
お見合いは。
その後盛大な結婚式に繋がりましたとさ。