短編①
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「もうすぐホワイトデーねぇ、アコ」
「え、うん。そうだね」
ミリアがまだ半分しか食べてないケーキ。
私はもう食べきってしまった。
・・・・・・・・・早食いやめなきゃなあ。
なんて思いながらお茶を啜る。
エースの了解を得てのすっかり恒例になったお茶会。
ミリアは目を丸くした。
「・・・・・・・・そうだね、ってアコ。楽しみじゃないの?」
「え、何が?」
「エース隊長からのお返し。あげたんでしょう?チョコ」
「あげたけど・・・・・・・エースだよ?」
「・・・・・・どういう意味かしら」
「エースがホワイトデーなんてものを知ってると思わないし、お返しは正直期待してない」
だってエースだよ?
って言ったらミリアが目を閉じた。
そして俯いて、大きなため息。
「・・・・・ミリア?どうしたの?」
「駄目よ!」
「・・・・・・・・・・・・・何が?」
ミリアが叫ぶなんて珍しい・・・・!
「駄目よアコ。ホワイトデーがあってこそのバレンタイン!」
「え、でも」
「でもじゃないわ!いい、アコ。エース隊長には私がよーく聞かせておくから!」
安心して!
と、興奮気味のミリアを、
・・・・・・・・・・・期待はしないでおこう。と心の隅で思う私。
私は別に・・・・チョコあげたエースがすっごく喜んでて、
それだけで十分なんだけど。
・・・・・・・・・・・・お返し、かあ。
くれるとしたら何くれるんだろう。
キャンディ?マシュマロ?クッキー?
・・・・・・・・アクセサリー、とか。
・・・・・・・・・・・・・・ないか。
うん、忘れよう。
今はエースの隣に居られるだけで、幸せだから。
「エース隊長!!」
「・・・・・・・・・・・・何かあったか?」
ミリアが珍しくノックもせずに勢い良くドアを開けた。
「お話しが御座います!アコのことで!」
「アコ?アコに何かあったのか!?」
惚れた女に一大事、かと思いきや。
「ホワイトデーをご存知ですか!?」
「・・・・・・・・・・白い日?オヤジの日?」
「違いますっっ!!いけませんわエース隊長そんなことでは!!」
「・・・・・・・・はァ?」
ミリアのでけェ声っつーのもレアだな、なんてのんきに思って聞いていたら、
「アコを悲しませたら許しません」
「・・・・・何でそこでアコの名前が出てくんだよ」
訳わかんねェ。
「バレンタイン、チョコもらいましたわね?」
「・・・・・・・・・ああ、もらった」
アコがルフィより生ゾロより俺を選んでくれた。
チョコはすげェ美味かったし、
アコも可愛かった・・・・じゃなくて。
「それが何か関係あんのか?」
「ホワイトデーというのはバレンタインのチョコに対するお返しをする日です」
「・・・・・・・・お返し?」
「その通りです。飴やクッキー、はたまたアクセサリーなどが定番ですわね」
「・・・・・・・・何やりゃいいんだ?」
「それはご自分でお考え下さい。アコが喜ぶものをお願いしますわ」
「・・・・・・・・・マジか」
アコが喜ぶプレゼント。
・・・・・・・・・・・・・俺に考えろって。
「ちなみにそのホワイトデーっていつだ?」
「明後日です。明日は島に着くことはご存知ですわね?」
「あ、あァ」
「明日は私がアコとおりますから、エース隊長はその間にプレゼントを買いに行って下さい」
「・・・・・・・・・わかった」
「エース隊長。アコはエース隊長からのお返しは期待してないと言っておりました」
「・・・・・・・・・・え」
「ここでアコに対する気持ちをがっとお掴み頂きませんと、そのうち・・・・」
「だぁぁぁ!!わかった!!やってやるよ!」
アコを離してたまるか。
・・・・・・・・・・・ちくしょう。
船が新しい島に着いた。
いつもなら当然のようにエースと島を見て回るのに・・・・今日は断られちゃった。
「アコが気にすることないわ」
「・・・・・・うん、でも」
「でも・・・・何?」
「エース何か気合入ってたし、この島に好きな女の人とか・・・・居たりして」
・・・・・・いつもと違うエースの態度に少し不安になる。
「大丈夫よアコ。この島上陸するのは初めてだから」
「そうなの?」
「そうよ。だから、大丈夫。それより、ゆっくりお話しましょう?」
「・・・・・・・・・・・うん、有り難う」
でもやっぱり不安を隠せないまま、
ミリアといろんな話をした。
夜帰ってきたエースは少し疲れたような顔で、
「明日は一緒に島回ろうな」
と言ってくれた。
・・・・・・・・・そりゃエースだって私に言いたくないことはあるだろうけど。
でも寂しい。
隣に居られるだけで幸せなんて。
・・・・・・・・・・・・寂しい。
翌日、昨日とは打って変わって元気なエースが居た。
「・・・・・・エース昨日は何してたの?」
2人でいつものように手を繋いで町を歩きながら、
思い切って聞いてみる。
「へへっ、ちょっとな」
でもエースは嬉しそうに笑うだけで言おうとしない。
・・・・・・・・・・怪しい。
「・・・・・女の子に会いに行ってた?」
これでもエースのことはわかるつもり。
嘘つけば、わかる。
「はァ!?ンな訳ねェだろ!?」
うん、これは嘘じゃない。
ほっとしながら、次の質問をぶつける。
「じゃあ怪しいお店に行ってたり」
「・・・・・・・・してねェよ」
・・・・・・・・・・・してたんだ。
でも待って。
女の子の居ない怪しいお店って何?
・・・・・・・・・・・・エースって、
もしかして、
・・・・・・・・・・そっち系の趣味があったり、して。
「んなことより、この店美味いんだ、入ろうぜ」
「・・・・・・・何で知ってるのそんなこと」
この島来たの初めて、じゃないの?
「昨日来た」
「・・・・・・・・・1人で?」
「当たり前だろ?・・・・・金はちゃんと払ったぜ?」
エースは私が食い逃げを疑ってると思ってるらしい。
でもそれ以上問い詰めることも出来ず、
言われるがままお店に入った。
エースおススメのピラフを頼んで(エースはいつも通り大量のメニュー)、
何気ない話をしながら食べる。
ピラフはエースの言葉通りすごく美味しくて、
あっという間に食べ終わった。
「美味しかったー!!」
「そっか!良かった」
・・・・・・・・・あれ、何か違和感。
「アコ?」
・・・・・・・・・・・・えーと。
「エース・・・・今日起きてる」
ああ、そっか。
私がご飯を早く食べるようになったのは、
エースの寝顔を見る為、だ。
「あ?ああ・・・・まぁ、何だ・・・・その」
「・・・・・・・・何」
言いにくそうなエースに、心臓が動き出す。
・・・・・・やだな、何か怖い。
「コレ。・・・・・ホワイトデーってやつ、だ」
そっと差し出された袋。
「・・・・・・・・・・え、ホワイトデー?」
「あるんだろ?チョコの・・・礼。俺だって礼くらいするからな」
「わ・・・・あ、有り難う。開けてもいい?」
「おう」
嬉しい。まさかエースがお返しくれるなんて。
ミリアに言われたんだとしても。
・・・・・何くれたんだろうってドキドキしながら開けた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・エース?何、これ」
衣服らしいそれを広げて、
私はすぐにしまった。
だってこれ・・・!!
「アコにつけて欲しいなーと思って選んだんだ」
「・・・・・・・・・・っこんな透けてる下着つけられる訳ないでしょ!?」
赤が透けた、下着。
・・・・・・・・・・期待した私が馬鹿だった!
と思うのは駄目ですか。
少しだけがっかりしながら、でも、これでもいいかぁなんてちょっとだけ嬉しい自分も居る。
「・・・・・・ちぇ」
なんて舌打ちするエースに、
お礼を言おうと思ったら。
「アコ。後ろ向け」
「え?後ろ?」
「いいから、早く」
「え、あ」
今度は後ろ向け、って言う。
慌てて後ろを向いたら、
胸元がキラリと光った。
「・・・・・・・・・・・・こ、れ」
振り返ると悪戯っ子みたいに笑うエースが居た。
「ダイヤモンドってアレだろ?永遠の絆、だろ」
「・・・・・・・うん」
「アコが喜びそうなモン考えたらこれになった」
「・・・・・・・・じゃあ、あの下着は」
「俺が喜ぶやつ」
・・・・・・・・エースらしい。
でも嬉しくて、
嬉しくて。
「有り難うエース。大好き。・・・・・下着はつけないけど」
「・・・・・・・・・・・せっかく買ったんだぜ?」
「つけません」
断固拒否したらエースは、
ちぇーなんて言いながら、
ごつん!と頭を机の上に乗せた。
・・・・・・その寝顔は愛おしくて。
この寝顔の隣にある私は、
やっぱり幸せだ。